久々に上昇基調の株式市場
11月に入ってから、久々に日本の株式市場が出直り基調にある。
G20で「通貨安競争是正」の合意がなされた後も一向に円高に変わりはない為替、金融緩和策を頼りに年初来高値水準を更新する米国株への高値警戒感という2つのリスク要因は相変わらずであるが、今月に入ってから「日本株は出遅れいている」という新たな投資の視点が入ることによって、売られ過ぎの状況が改善されている。
「出遅れ」、何と久々に聞く言葉であろうか。「出遅れ」という事実は厳然としてありながらもそれを根拠に投資行動が起こらないため、完全に無視されていた投資要因がクローズアップされるのはおそらく今年になって初めての出来事ではないか。
あれほどまでに絶不調を極めていた大手銀行の株価も昨日から売り方の買い戻しと、新規買いの両面でリバウンドし始めている。
どこまで上昇すれば「出遅れ感」の修正が終了するかが短期的焦点だろう。冒頭に述べた2つのリスク要因が横たわっていることに変わりはないし、最近ではPIIGSの財政問題が蒸し返されたり、本日は中国人民銀行が預金準備率の0.5%の引き上げを決めたというニュースが飛び込んできた。
マーケットはひとつのイベントで体の色がいくらでも柔軟に変化する。変化しているものについて行かねば(=「マーケットと同調する」)、思ったような投資成果は上がらない。変化できる投資家だけが生き残っていく。いや、これは自然界でも全く同じこと。決して「強い者」が生き残るわけではない。そういうことを実感させてくれるマーケット展開である。
太田忠の縦横無尽 2010.11.11
『久々に上昇基調の株式市場』