相変わらずの閉塞感が続く株式市場 | 太田忠の縦横無尽

相変わらずの閉塞感が続く株式市場

とうとう10月に突入である。


年初から新しい月になるごとに「今年もあと×ヶ月」という表現を使ってきたが、いやもう本当に「今年もわずか3ヶ月」を残すだけとなった。そして、大納会を迎えて、大晦日になるのか…。早い、早すぎる。


9月の弊社の個人投資家向け投資講座の「投資実践コース」 におけるモデルポートフォリオのパフォーマンスは+0.9%で終了した。昨年からの累計では+24.0%、今年からの年初来では+9.5%である。8月は景気減速への懸念および異常なレベルで円高が常態化したことでマーケットは急落したが、9月はリバウンドに転じた。とはいえ、市場間での格差は意外に大きく、日経平均は+6.2%、Topixは+3.1%、ジャスダック平均は+0.9%と時価総額が小さくなるほど報われなかったことがわかる。それに対して米国市場は9月の騰落率としては1939年以来71年ぶりの高い記録となり、NYダウは+7.7%、ナスダックは+12.0%とブルマーケットの様相である。


円高になっている分、日本市場は欧米市場に対してパフォーマンス負けをしている状況が続いているのだが、9/15の政府・日銀による6年半ぶりの円売り・ドル買いの為替介入は評価できる。ちょうど1ヶ月前のブログ「どうして日本政府はこんなにも無策なのか?」 で異常な円高を放置し続ける姿勢を嘆いたのだったが、とにかく「82円台は許さない」というメッセージを出したことだけでも意義は大きかった。さる党の党首W氏は「国が82円台を許さないなどと発言すればどうなりますか。それがスペキュレーションの対象になるではありませんか」というトンチンカンな発言をしていたが、事実は逆である。あの日を境に仕掛け的なスペキュレーションはめっきりお目にかからなくなった。


ただし、これとても日本の単独介入であり協調介入ではないため、欧米諸国の思惑に反しており、その効果の持続性には疑問が残る。なぜならば、欧米諸国にとって「円高、自国の通貨安」は国益となるからである。ドル売り・ユーロ売りがもたらす円高という構造的状況から抜け出せていないため、政府・日銀による再度の為替介入があったとしても一定レベルの為替水準を死守する程度の意味合いしか持たず(資金が続かなければ、一気に円高が進む)、本格的な円安のきっかけはしばらくは期待薄である。


ということで、厚い雲に覆われた株式市場は相変わらず閉塞感が漂い、市場参加者のヤル気がまるで感じられず、つまらないマーケットのままだ。「こうした状況が続く」と弊社の投資講座では7月から言い続け、10月の今も同じことを言っている。資産運用にとっては停滞期である。


ただし、この閉塞感に自分の心も同調していてはダメだ。

前向きな発想ができなくなり、積極的な行動力が奪われて、わが身がドン詰まってしまう。そうならないようご注意を。


太田忠の縦横無尽 2010.10.5

「相変わらずの閉塞感が続く株式市場」

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