福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べⅡ
9月20日(月)に私が主宰するスタジオ・マルルーにて「福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べⅡ」を開催した。
Ⅱという数字が入っているように、今回が第2回目の福田重男ライブであり、第1回は昨年の8月30日(日)におこなった。この日を見てすぐにピンと来る方は、日頃から社会情勢に注意をはらっている人である。そう、あの歴史的政権交代の日だったのだ(もちろん最初から日程を合わせたわけではなく、ライブのスケジュールが決まった後になって、選挙日がたまたま同じ日になっただけなのだが)。
日本のジャズ界のトップピアニストである福田さんの生演奏を間近で楽しむだけではなく、おいしい料理とワインも堪能するという贅沢な会であり、会費は1万円(!)とこのデフレの世の中において破格の設定にもかかわらず、昨年と同様に満員御礼となった。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
私が目指したコンセプトは「非日常」「ハレの日」「夢のイベント」の三拍子を揃えることだった。要するに上質な「大人の時間」を創出することを最重視した。大人にこそ真の「ゆとり」が必要である。子供に「ゆとり」などいるものか(「ゆとり」と称した手抜きを「ゆとり教育」と命名するほどバカでチープな発想しかないのが政府の役人どもだ)。あ、ライブとは関係なかったか。
まず、当たり前のことだがピアノの状態に厳格にこだわった。最高のコンディションで最高のプレイをしてもらうために、前日に専属のコンサートチューナーのIさんに来てもらい、丸1日かけて調律・整調・整音を完璧にしてもらった。日頃はサントリーホールなどで調律をおこなっている文字通りのプロフェッショナルで私が全面的な信頼を置いている方である。これでピアノはどんな表現も自由自在にこなせる状態に仕上がった。
今年もライブ録音をしたのだが、録音エンジニアのY氏は何とマイクを4本も持ち込んで(上の写真では2本しか見えないが、ピアノの下にもう2本セッティング)、録音をおこなった。昨年は2本のマイクだったが大幅にパワーアップされた。また、YouTubeアップ用のカメラは昨年はピアニストの正面から撮影したが、今年は左後方にセッティング。
そして、主役の福田さんの熱演が始まると、会場の雰囲気は一気に高まった。セカンドステージの後半、一番盛り上がったのが「Autumn Leaves(枯葉)」である。私は福田さんの演奏を随分と聴いてきたが、「枯葉」は初めてである(あまりにもスタンダードすぎる曲は普段は弾かれないようだ)。すごい演奏だった。風が起こり、どよめきが起こった。なかなか味わうことのできない、プレーヤーと聴衆が一体となったリアルな臨場感に思わずこちらも熱くなった。
ライブ録音の状態はすばらしいとのフィードバックをもらった。YouTube用の映像も昨日、チェックしてみたのだが非常に良好である(今後、順次アップ予定)。バラードのような静かな曲では、耳を澄ますと虫の音が…。まさに秋を感じさせてくれる録音である。
ライブ後のパーティーでは、料理・ワインを妻が主宰する料理教室のサロン・ド・マルルー に協力してもらい、昨年よりもクオリティーをアップしたものをサーブしてもらうように要請。十数品の料理とデザート、そして最後に「たこ焼き」もサプライズとして登場。大阪出身の私が「たこ焼き」を焼く係だったのだが、同じく大阪出身の参加者Sさんも飛び入り参加し、「天王寺風」(Sさん)「藤井寺風」(私)の二種類の「たこ焼き」を楽しんでもらった。別に天王寺や藤井寺というご当地たこ焼きがあるわけではないが、焼き方にそれぞれこだわりがあり、勝手に命名しただけの話である。どうでもよいバカバカしいことだが、これが実に楽しかった。
また、ピアノを開放して、参加者の人たちがピアノを弾いたり、歌を歌ったりという普段のライブでは絶対にお目にかかることのないシーンが展開された(こういうのが実は面白いのだ)。このあたりから我が家のチャッピー(生後6ヶ月のトイ・プードル)も参加して、一段とにぎやかに。チャッピーも皆に抱っこされてご機嫌だった。
今年は昨年の至らなかった点を教訓にし、いろいろと事前対策を打ったために運営側としてもスムーズなイベントになり、胸をなでおろした次第である。失敗の教訓を生かすことは本当に大事だと改めて実感した。
「非日常」は私が生きる上でとても大切にしているテーマだが、それを自ら作り出し経験することをもっと積極的にやっていきたい。さらに、1人ではなく大勢の人たちと共有すれば楽しさが何倍にもなることを教えてくれたイベントだった。
皆さん、本当にありがとう!
太田忠の縦横無尽 2010.9.22
『福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べⅡ』