10年5月のモデルポートフォリオのパフォーマンス:ヘッジ効果
戦いすんで日が暮れて……。
まさにそんな感じで5月も終了した。相場動向に関係なく、凡人天才に関係なく、貧富の差に関係なく、そしてあらゆる生物に平等に、時間は宇宙のありとあらゆるものに対して顔色ひとつ変えずに同じペースで過ぎてゆく。
今年の初めから問題となっていたギリシャの国債問題がユーロ通貨の信認問題に発展し、欧州の財政緊縮政策が景気減速への懸念にまで発展した今月は世界中のマーケットが大混乱した。日本はこれらの問題からはかなり遠い存在であるにもかかわらず、日経平均は-11.7%と先進国中では最も悪い記録となった。NYダウは-7.9%、英国FTSEは-6.6%、空売り規制するとの宣言で市場に逆効果を与えたドイツに至っては-3.1%というありさまで、またまた今回も日本市場が「とばっちり」で「一人負け」となったことに合点がいかないのは私だけだろうか?
それにしても厳しい展開だった。日経平均は-11.7%だったが、小型株も大きな痛手を負いジャスダック指数-9.7%、マザーズ-18.1%、ヘラクレス-12.7%と4月まで調子の良かった新興市場も激変した。
弊社の個人投資家向け投資講座の「投資実践コース」 におけるモデルポートフォリオの5月のパフォーマンスは-1.7%となり、昨年からの累計では+27.2%、今年からの年初来では+12.3%で着地。「-5%ルール」を守るという大前提があるため、どんなマーケット状況になっても月間-5%を越えるパフォーマンスにならないように「リスク管理」をおこなっているが、それでも5/21の時点で-4.1%にまで追い詰められた。だが、そこから相場がもう一段ガクンと下がったのが幸いした。5/27の反転にてほぼフルヘッジだった先物ショートポジションを安値にて買い戻し、かつ現物株が上昇したことで-1.7%にまで回復した。
ようやく総悲観ムードからは脱却する兆候を見せており、「売り一辺倒」から「割安感重視」に投資家の姿勢が変わりつつあるようだ。ただし、依然としてマーケットのボラティリティが大きいこと、欧州問題は何も変わっていないことから単純な上昇相場を期待するのは時期尚早だろう。世の中そんなに甘くはない。
6月のマーケットの見極めは非常に重要である。
太田忠の縦横無尽 2010.5.31
「10年5月のモデルポートフォリオのパフォーマンス:ヘッジ効果」