「含み益」は幻、「含み損」は現実
なかなか難しい相場展開が続いてきたが、理不尽に作用していた外部環境が落ち着きつつあり、明日の月曜日から始まる2月の最終週の株式市場の動向が注目される。
1月30日のブログ
にて、バイ・アンド・ホールドによる「含み益運用」は本当に効率の悪い投資手法になったこと、そして個人投資家の大半が実践している「含み損運用」は全く時代の流れに即さないことを述べたが、もう少し突っ込んで「含み益」「含み損」について述べてみたい。
個人投資家と接していてつくづく思うのが、「含み益」「含み損」に対して正しい認識をほとんど持っていないのではないか、という疑問である。さもなければ、あれほど多くの人たちが何の実りもない惨憺たる「塩漬け戦略」などおこなうはずがないからである。
「含み益」とは実現しない限り「幻」であり、利益ではない。「含み」は取らぬ狸の皮算用である。
一方、「含み損」は幻ではなく冷酷な「現実」である。「含み」は抱えてはいけないものである。
「含み」という言葉が「益」にも「損」にもついているが、それぞれ二者の性格は大いに異なる。それらは決して対照形となっておらず、非対照形になっている点に注目してほしい。
大多数の個人投資家は「含み益」および「含み損」に対してただ眺めているだけという投資行動を取っている。すなわち、長期で投資していれば現在の「含み益」はどんどん増えるだろうという錯覚、その反対に、長期で投資していれば現在の「含み損」はいずれ無くなるだろうという錯覚に支配されている。しかし、現実はどうか。「含み益」などマーケット全体が調整した時などあっという間になくなってしまう。そして、「含み損」は回復するどころか、どんどん損失は増殖していくのである。
「含み益」「含み損」はそもそもこのような性質を備えているにもかかわらず、個人投資家たちは正しい対処を全くしていない。いや、正確に言えば、最初から対処の仕方など考えてもいないし決めてもいないといったほうがよいだろう。
この対策は「リスク管理」をすることにつきる。「含み損」を回避し、「含み益」を実現するための「リスク管理」である。弊社のインターネットによる個人投資家向けの「投資講座」にてまず最初に間違った常識を徹底して是正してもらうのが実はこの「含み益」「含み損」に対する考え方、そしてその正しい対処方法であるのだが、会員からの反響は予想していた通りやはり大きいものがある。
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太田忠の縦横無尽 2010.2.21
「含み益」は幻、「含み損」は現実