福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べ
8月30日(日)に私が主宰するスタジオ・マルルーにて「福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べ」を開催した。
福田重男さん は日本を代表するジャズピアニストであり、その実力もまさにトップクラス。精力的に活動をおこなわれているのだが、なかなかソロピアノを聴かせてもらう機会がないため、「ぜひ、ソロピアノのライブをお願いします」ということで快諾をいただいたのが5月の終わりだった。「ソロライブが終わった後は、おいしい料理とお酒で楽しむというのはどうでしょうか」「うん、いいねぇ」という感じで「料理とワインの夕べ」というタイトルも併記されることとなった。スタジオ・マルルーとしてはこれはまさに「一大イベント」である。
超一流の福田さんに思う存分パフォーマンスしてもらうため、こちらも完璧を目指さねばならない。「よし、やらねば!」ということで多大なる配慮をしつつ入念なる準備をおこなった。こういう時は、私は通常よりも何倍も気合が入る。
まずライブだが、前日に専属のコンサートチューナーに来てもらい、調律・整調・整音を8時間かけてみっちりおこなった。スタインウェイのコンサートチューナーなので、日頃はサントリーホールや東京文化会館などのコンサートピアノを調律しているスペシャリストである。ハンマーの調整、微妙なタッチを実現するための細かな手入れ、ペダルのミリ単位の調整、音色のレベルアップと「サントリーホールのグランドピアノ以上の念入りな作業をしてくれ!」と私は強要した。そして日もとっぷりと暮れた作業終了後、「うーん、これはすごいことになりましたよ」と我がコンサートチューナーも太鼓判を押してくれるコンディションになった。
また、料理のほうも私の妻が主宰する料理教室のサロン・ド・マルルー に協力してもらい、16品にも上るレシピの組み立てから、材料の買出し、調理とアシスタントの強力なサポートも得て万全の体制で臨んだ。
「日常から逸脱した、夢のような企画を」という意欲的なコンセプトであったため、会費は1万円/人(!)というジャズライブとしては破格な価格設定だった(こんなにお財布にやさしくないジャズライブは普通ありません)。
完全予約制の限定20名で受付を開始したのだが、あっという間に完売。キャンセル待ちが何人も出てしまった(キャンセルする人は1人も出ず)。遠くは京都や浜松から来られる方もいて、その人気ぶりはおわかりいただけると思う。
ソロライブは想像していたよりもはるかにすばらしく、時折聴衆から「ため息」がもれるのを私は聞き逃さなかった。さすが名人芸である。立食パーティーは料理をサーブする時間が若干遅くなってしまったのだが(20名もの料理を2人で担当するのはかなりハードでした)、なかなか好評をいただき、ほっとした。
立食パーティーが始まると、今度は聴衆のほうでピアノを弾きだす人、歌を歌いだす人が出るという普通ありえない光景が展開された。実はプロのミュージシャンやセミプロ級の人たちが何名も参加しており、さながら「ライブハウス第二弾」という状況で二度おいしい会となった。主宰者もいつの間にか自分の立場を忘れて参加者として楽しんでいた。皆さんありがとうございました。
しかし、8月30日がまさか決戦の日になるとは思ってもみなかった。これだけが「想定の範囲外」だった。立食パーティーも終盤に差し掛かると、皆で選挙速報を観戦して盛り上がり、「歴史的な選挙」もコラボするという実に盛りだくさんな1日となった。
またこのような楽しく充実した企画をおこないます。
太田忠の縦横無尽 2009.9.1
「福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べ」