往復ダブルで人身事故に遭遇 | 太田忠の縦横無尽

往復ダブルで人身事故に遭遇

昨日、あまり愉快でない出来事に遭遇した。


夕方から丸の内で重要なミーティングがあったため、会社の最寄り駅から電車に乗ろうとすると、駅の入り口付近に人だかりができている。駅のすぐ前にあるバス停も長蛇の列。この光景を見た瞬間、これまでの経験から人身事故だとすぐにわかったので、即タクシーをつかまえようとしたのだが、同じ考えの人ばかりで、みんな道路に身を乗り出して手を挙げている。しかもタクシーが来たなと思っても、実車のタクシーだけが空しく通り過ぎるばかり。


とっさに独自の行動に出た。みんなが手を挙げている国道246号から少し脇に入ったところに実はタクシーの抜け道ともいうべき小さな通りがある。地元の人間しかあまり知らないところなのだが、他人より先に車を拾うべく、そちらの通りに入って100メートルくらい直進したところで空車のタクシーがやってきたためにすぐに飛び乗った。


「ここで臨時の交通ニュースです。午後2時頃発生した用賀駅での人身事故のため、東急田園都市線は現在ストップしております」。乗った瞬間にちょうどいいタイミングでラジオのニュースが流れてきた。やはり、人身事故だったのだ。だが、タクシーに乗ったからといって油断は出来ない。渋滞につかまってひょっとしたら遅れるかもしれないので、タクシーの中からすぐさま相手方にケータイで連絡をとり、事情を話した。


結局、拍子抜けしたように道はスイスイで、ミーティング時間の15分前に到着。3700円かかったのだが、財布にはあいにく小銭がなく、1万円札数枚と1000円札が3枚しかない。1万円札を差し出すと、運転手が「申し訳ないのですが、今おつりを切らしておりまして」と言われたので「じゃあ、こちらも1000円札3枚しかない」と返すと、「いや、結構です。3000円で大丈夫です。個人タクシーですから問題ありません」という意外な返事だった。数百円の電車賃で行けるところを700円まけてもらって3000円で15分前に着いたのは、果たして高いのか安いのか。ツイていたのか、ツイてなかったのか。


だが、話はこれで終わらなかった。ミーティングの帰りに半蔵門線に乗ったのだが、一駅進んだところで、電車が急にストップ。「えー、ただいま青葉台駅にて人身事故が発生いたしました。皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、今しばらくお待ち下さい」。


「うーん、何たること」。結局、約15分ほどして動き始めたのだが、前に電車がつかえているため、一駅ごとに時間調整しながらしか動かない。いつもより30分以上時間がよけいにかかってしまった。あいにくラッシュ時間にかかっていたため、想像を絶する混雑ぶりで、車内には殺気のようなものがみなぎり、不愉快の集団と化していた。


人身事故にはもちろん何度も遭遇しているが、1日に往復でダブルというのは初めての経験である。自殺した人に向かってとやかく言うことはあまりないが、それにしても世知辛い世の中を改めて思い知らされたようで、愉快ではない出来事だった。


太田忠の縦横無尽 2009.7.1

「往復ダブルで人身事故に遭遇」

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