アニメスタイルより
平松禎史 PRIVATE ILLUSTRATION が刊行されました。
下記の「SketchBook」からオリジナルの楽描きに的を絞った再編集版です。
A5版で手に取りやすい。
こうしてWebで表示すると角が丸くなるよう白抜きにした効果がよくわかります。おしゃれ。
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7月7日投開票の東京都知事選挙が熱を帯びてきましたねー。
設置された選挙ポスターには30人分のスペースがあるんですが、現在立候補予定者は40名近くという報道もある。
足らない分はどうすんでしょう。もう一枚立てるのかな。
取り下げる人が出てくるかも知れないけどね。
さて、東京都の知事を選ぶ選挙なので、「東京をどうするのか」が問われるはずです。
しかし、現状の報道は小池vs蓮舫の構図に偏向しており、他の出馬表明者については「こんな人もいます」程度のもの。まだ告示前とは言え、あきらかに偏りすぎです。
自民党の裏金問題はそれとして責任を取らせないとダメですが、国政政党の対立構図ばかり話題になるのは筋違いです。東京の問題点を洗い出しこれを改善できる政策を議論すべきでしょう。
そのための都知事選挙ですから。
東京は国家並の経済力と人口を抱える都市です。
しかし。過去このブログでも取り上げてますが、近年は東京都も凋落傾向にあります。合計特殊出生率が低いのは大都市圏共通の悩みとは言え、最新の調査で0.99% ついに1%を切りました。少子化の最先端を進んでいる。
高齢化が進み、独居老人の問題も深刻化。空き家も増えており、物価や家賃が高いためか他県への転出も増えている。
他方、地方自治体で進む過疎は深刻で、大都市圏との格差拡大は悪化しつづけています。
元日におきた能登半島地震のその後を見れば、災害が起きても都市圏以外は捨て置かれるのではないかという恐怖をおぼえます。
儲かる場所にしか投資をしない政治が東京一極集中を進め、一周回って東京都が地方からの衰退に引きずられる衰退スパイラルに陥っているのです。
首都直下型地震への対策も重要なテーマです。南海トラフ地震の際、東京からの支援も必要になるでしょう。緊急支援は能登へもやっているが、東京のポテンシャルなら中長期的な支援もできるでしょう。
「東京が変われば日本が変わる」
都知事選にかぎらずよく言われることですが、実際そうだろうと思います。
しかしその前に、広く国民の意識が変わらないと東京は変えられない。なぜなら東京には日本全国から人が集まっているからです。
小池都政は総じて不人気ですが、無電柱化事業の加速化や、コロナ禍の財政支援はある程度評価して良いのではないかと思っている。ただ、無電柱化等インフラ政策は小池都政より前からあり、財政支援は十分とは言えないので前向きな評価には不十分だった。公約の「7つのゼロ」はコロナ禍がなければ改善しなかった課題もあったでしょう。それを含めてできていると強弁するのは無理があります。
東京の取り組みが地方をリードするように、お手本にならないといけません。
都政と無関係な話題による二項対立から脱するためにも他の候補者に目を向ける必要があります。
現在最も注目している石丸伸二氏について書きましょう。
石丸氏には、ありきたりな対立構図に一石を投じれば十分勝機があるのでは?と思えます。
では、石丸伸二とはどんな政治家なのでしょう。
次期市長選に出馬しない意向を示した少し前、たまたまYoutubeにあがってた安芸高田市議会の動画を見て興味を持った。そして驚いた。
どうしてこんなに対立してるの? と。
調べてみると、石丸氏が市長選に出た動機には、河井克行・安里夫妻による公職選挙法違反事件があったという。当時の安芸高田市長や市議会にも金銭を受け取った政治家がおり、市長含む何人かが辞職した。その後の市長選ではカネを受け取った前市長が推す人物が出馬し、市議会全員がこれを支持し、対抗馬が一人もいない状態だった。つまり、腐敗政治が無投票で継続してしまう局面だったわけです。失礼ながら、地方の小さな共同体でありがちななあなあ政治だなーという印象を持たざるを得ない。
石丸氏はこの状態を止めねばならぬという意志で急遽出馬を決意したと語っていた。
で、60%の得票で市長に当選。守旧派市議との対立がはじまる。
カネを受け取って辞職していた議員が再選(!)され、露骨な石丸つぶしを公言する守旧的な市議が中心となって「清志会」を結成。15人のうち8人(つまり過半数)が反石丸という異常な状態となった。以来、市のための議論は置き去りとなり、石丸つぶしの質疑が横行、市長提案はことごとく否決された。その過程で出てきたのが「恥を知れ、恥を!」だとか「議員バッジを置いて出ていけ!」だった。この発言の前提には、市民からの「(市議は)仕事をしろ」という投書も影響している。
安芸高田市に注目を集めるのに、議会との対立は良いネタだったのです。
安芸高田市議会との対立は、立場を守ることに汲々として責任を取らない腐った国政政治の縮図として充分な演出だった。もちろん、そういう手法への疑問の声はある。
石丸市の政治姿勢はどんなものなのか。
そんな石丸市長がネットで話題となり、去年にはひろゆき氏ホリエモン氏橋下氏との対談が配信されていた。古舘伊知郎氏もいたくお気に入りのご様子。こういう人たちがこぞって高評価する石丸氏に対して「保守系」の言論人等は強い反発を覚えたようだ。炎上政治的手法も維新的だと映ったようですね。どうしてそれだけで人の評価を決定づけられるのか不思議なんですけどね。
それぞれの対談は、おそらくだが、議会対立で暴れてる石丸氏をホストが気に入りそうだからと選んだのだろうと思う。(あの三人は嫌いなので番組を見る気はなかったのだが、調査目的で見ました)ひろゆき氏はやや距離を取りつつ落ち着かない様子で(いつもあんな感じなの?…)リアクションしてる印象だったが、他のふたりは気の合う人に違いないというノリで一方的に喋ってる感じが強く、仲間に取り込みたい欲が顔に出ていた。特にホリエモン氏は自前ビジネスの宣伝が目立った。気前よく笑顔で応える石丸氏自身は、既出の話題(よくある質問への答え)以外、多くを語っていませんでした。
そこへいくと古舘伊知郎氏はプロだなと思わせられます。マシンガンのように喋りつつ気分を高め石丸氏の本音を引き出していた。
この対談では、大阪都構想を強く支持したと語った。道州制にも賛成だと。
このあたりも「保守系」から嫌われる所以だろう。
リベラル系ベンチャー系と仲良しに見え、都構想や道州制に賛成となれば、保守系にとって「敵」ですもん。わかりやすい?
都構想や道州制への賛意は、その根底に「現状維持では日本は限界だ」があるのだと思う。この点において以前から考えは同じです。問題は方法論です。
都構想は最初の住民投票の時点で反対でした。政令指定都市である大阪市を廃止し、強い経済力で府の財政補填に使う意図が明白だった。大阪の問題は東京一極集中と日本全体の経済衰退の問題であって、市を解体廃止してどうにかなるものじゃないだろう。低迷中の大規模制度改革はかえって大阪を疲弊させる懸念の方が大きかった。
石丸氏の考えは詳しくはわからない。「橋下氏が言うように」という文脈だと大変危険だと思わざるを得ないのですが、現状維持でズルズル衰退を止めるには相当ラディカルな改革が必要だという考えなら理解できる。橋下流「突破力」で壊すのではない、コンサバティブ(*)な姿勢にも理解があるのなら一考の余地はあるでしょう
石丸氏にコンサバティブな意識はあるのか。
アンチ姿勢を決めてしまった人は怒り出しそうな論点ですが、落ち着きましょう。
これまでの政策や発言の要所に伝統や地域文化の継承を重視する姿勢が見えます。
印象的だったのは、東京ニュービジネス協議会というチャンネルでの鼎談でした。
都知事選絡みでは誰も見そうにない地味な動画ですよね。でも、とてもおもしろかった。
チャンネルの趣旨としては全国の地方自治体が協力しあっていく取組みです。そのなかで安芸高田市の取組みの一部を石丸氏が紹介している。
新しい安芸高田市のキャッチコピーは全国から公募し、市役所や教職員が選抜。最終決定は市の中学高校生徒会長たちに任せたというのです。
ご当地料理として「あきたかた焼き」も同様の仕組みで作ったという。
次世代の若者に、地元のために何かをしたという政治経験を積ませるのは大変重要だと思う。
他には「安芸高田神楽」を熱心に推していること。トーク番組にリモート出演する際にも背景に神楽のポスターを貼って周知に努めている様子がうかがえる。
教育環境については小中学校の給食無償化を実現している。
それから教員の過剰労働の改善を、年間3000万円の予算をつけて実現したそうだ。
それによって教員の意欲が増した報告を受けたと語っている。
あまり報道されない実績については本人の紹介に頼らざるを得ない。
夕刊フジの、おそらく最新のインタビューで諸々語っています。
通貨発行権のない経済力の弱い地方自治体ですから、財源の捻出には停止した事業も多々あった。国政では安易にすべきでない「選択と集中」だが、財政に限界のある自治体では何を優先すべきか選ばざるを得ない。結果は出していると言って良いでしょう。
市職員への敬意が厚い点もあまり報道されない。定例記者会見やライブ配信等で度々市役所を労っていた。このあたり、職員を敵視して叩きまくったり、伝統文化を蔑視する橋下氏とは大きく違っている。
また、「愛国心」についても語ったことがある。
昔は良いイメージがなかったが、アメリカで仕事をするうちに自分の中に国を思う気持ちがあることを確認したという。心理療法士の河合隼雄氏も同様のことを語っていた。
故郷の危機に安定した仕事を捨てて市長に立候補した経緯と重ねて考えれば、ネットで語られる「目立ちたがりの危険な男」というイメージは実態と乖離しているのではないか。まー、目立つのが好きなのは当たってるんでしょうけどね。嫌いなら政治家はできないでしょう。
人口が減っていく現実を受け止め、そんな状況でもできる地元ならではの地域活性化を考えてきたのだと理解できます。本人は意識していないかも知れないが、ごく普通のコンサバティブ感覚を持っているのではないか。
コンサバティブな意識と改革はすべてが相反するわけではありません。
間違った政治姿勢、弊害の多い制度は改革してしかるべしです。
中野剛志さんも言ってましたよね。「改革を改革せよ!」て。
改める、その目的。軸はどこにあるのか。このあたりはまだわからないところが多いが、初期の噂レベルの情報で否定するのは拙速に過ぎると思います。
*日本の政治界隈でよく使われる「保守」と、思想としてのコンサバティブは分けています。
というわけで
ネットの噂ではなく、議会の記録や本人発言に基づいてその人物像や政治観をざっくりまとめてみました。
改革思考で新自由主義的な考えが基本にありそうな感じはする。
権力欲は相当強そう…というより、本人の発言からは取組みと結果のスピード感を重視するタイプだと思える。国政政治家より権限の強い首長を選ぶのはその合理性ゆえなのだろう。
確かに、国政なら支持しないタイプの政治家かもしれない。
しかし、都知事選挙ですからね。いくら東京都でも通貨発行権は持っていません。
東京一極集中と言いますが、正確には都心一極集中です。東部と西部では大変な格差がある。過疎もはじまっている。
巨大自治体の歪みを是正するには、これまでの東京観とは別な視点が必要でしょう。
そうそう、都内の地域格差を是正するのに財政支援があっても良い、とも言ってましたね。貨幣観は金本位制的かも知れないが、がちがちの緊縮派だと断定するのは早計かもしれませんよ。
小池氏3選で緩慢な現状維持にブツクサ文句を垂れる停滞よりは、石丸都政でなにかとんでもないことやり出して都民が真剣に怒り出すとか応援するとか「動き出す」ほうがよほどマシ…というか、おもしろみはあると思います。まだなんとも言えないので楽観は禁物かも知れないけどね。
++++
もう何年も前から異口同音書いていることですが、どの選挙でも共通に議論されるべきは「このままでは衰退は止められない」という危機感です。この危機感を持ち、これまでの考え方は間違いだったと認識できる政治家が必要です。
まともな現状認識ができてなくては改善もありませんから。
自民党にNOを突きつけるのはもちろん良いんですが、それは総選挙でやりましょう。
政治に関心を持ちましょう。投票に行こう。
「誰が」でなく「中身で」考える。
「敵」を作り出して「敵」に依存する主体性の無さを自覚する。
賛否は公約を見てからでも遅くありません。
他にも注目に値する候補者がいないか、観察してみましょう。
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