Tempo rubato

アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


テーマ:
~橋下市長「大阪都構想」問題について~
権力による言論封殺には屈しません
 藤井 聡
http://satoshi-fujii.com/

大阪都構想を巡る橋下市長とのやりとりを通じて、藤井聡教授が上記サイトを立ち上げました。

事の発端は、あくまで「大阪都構想」について藤井教授が記した
「大阪都構想:知っていてほしい7つの事実」
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/27/fijii/

「大阪都構想(2):「大阪市民に,自分たちの市を解体して5つに分割してもよいですか?」を問う投票」
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/02/03/fujii-129/
です。

さて、ここまでの経緯をざっくり書くと以下の通りです。

「大阪都構想 7つの事実」を知った橋下市長が激怒します。
「おバカなことをおっしゃるお世間お知らずのお学者様」橋下氏、ツイッターで怒りの連投
http://www.sankei.com/west/news/150128/wst1501280016-n1.html
の記事にあるように、Twitterで「バカな学者の典型」「専門外のことに口を出すな」と書き、それ以外では「デマ」「嘘八百」と全否定。

上の記事では藤井教授がしたとされる「非礼極まりない言葉」は明かしませんでしたが、その後
「橋下市長、京大教授の「ヘドロチック」発言に怒りあらわ 「こチンピラただす」 京大総長に見解要求へ」
http://www.sankei.com/west/news/150205/wst1502050067-n1.html
橋下市長を「ヘドロちっく」と表現したことを示した上で、藤井教授を「こチンピラ」と表現。
京都大学総長に見解を要求し、国会でも取上げることをほのめかした。

さらにそれを受けて藤井教授は
「藤井教授がヒトラー引き合いに橋下氏批判「公権力による言論封殺だ」「風刺”としてヘドロの比喩」」
http://www.sankei.com/west/news/150206/wst1502060101-n1.html
「ヒトラーを引き合いに出し、「都構想について自由な議論を始めた矢先に、大学や国会などの公権力装置を活用して抗議を始めるのは、公権力による言論封殺に他ならない」と主張した。」

言論を確保するために藤井教授が個人サイトを立ち上げ。

2月8日現在、ここまで

何が議論されているのか?

橋下大阪市長に対する無礼な発言ですか?
違います。
「大阪都構想」についてです。

上記記事(なぜか産経新聞が連続してとりあげているので産経記事ばかりになりましたが)の中で、藤井教授が「大阪都構想」がどんなものなのかを検証した「事実」を発表し、その正当性を問うていることがわかります。
話はそこから始まっています。
それに対し、橋下市長は「7つの事実」の内容に対する間違いを具体的に指摘してはいません。

藤井教授に送りつけた申入書の中にも、指摘は一文もありません。

橋下市長の口から出ているのは、まさに「ヘドロちっく」な悪口雑言の連続です。

藤井教授自身が言っていますが、「ヘドロちっく」は2年以上前の発言で、今回の議題「大阪都構想」とは関係のない、橋下大阪市長個人への論評です。
過去の発言を取り出して、「今」議題に登っている「大阪都構想」に関連して藤井教授を罵るのは不誠実です。

たとえば
学校でも会社でも良いですが、ある議題に対して議論している時に、意見の対立する相手に対して「お前は去年◯◯と俺を罵った!」と言い出して、議論を悪口の言い合いの場にするのは誠実な態度ではありません。
個人的な好き嫌いを議論の場に持ち込むことをボクらの社会では不誠実と考えるでしょう。

事の発端、藤井教授の提示した「大阪都構想 7つの事実」には橋下市長個人に対する批判も悪口も書かれておりません。
それどころか、「大阪都構想」に賛成とも反対とも書いていないのです。
つまり、橋下大阪市長がどんな人か?…とか、都構想への賛否…ではなく、「大阪都構想」で何が起こるのか「事実」を示したにすぎません。

「大阪都構想 7つの事実」の間違いを指摘せず、藤井教授個人の過去の発言を掘り返して悪口雑言を「相手が先に言ったのだ」と正当化するのは卑怯です。
そもそも「大阪都構想 7つの事実」の間違いが指摘できないのであり、それを隠すための行動なのではないか?
と考えられるわけです。

学校や会社の喩え話からもわかるでしょう。相手の主張に論理的に反論できないから、議論自体を破壊しようとするのです。

この橋下市長の態度そのものが、「大阪都構想」の性質を見事に端的に表現していて、感動すら覚えます。


橋下市長個人についてアレコレ書いても建設的なことはひとつもありそうにないのでこの辺でやめておきます。

しかし「橋下徹現象」なるものは(仕事の上でも)非常に重要です。
このことは、別な機会で考えみたいと思います。


「都」とは?
東京都は23の特別区と26の市、5つの町、8つの村から構成されています。

東京都と特別区は戦時中に作られたものです。
その目的は、人口や会社が集中し、行政の中心である旧東京市を一体的に運営するためのものでした。
戦時という特殊な状況で、安全保障として、特別区の各区の自治を抑え一体的に運営するためだったと言えるでしょう。
そのため特別区の税収も都全体で考えられているわけです。

都と特別区はあらゆるものが集中する東京中心部を一体的に運営するためのものなのですね。

さて、そのような「都」の目的から「大阪都構想」を見てみましょう。

大阪都構想では税制の問題が指摘されており、藤井教授も「【事実3】年間2200億円の大阪市民の税金が市外に「流出」します.」として指摘しています。
これも「デマ」なんでしょうか?

特別区の行政はこれまで何度か改正されてきていますが、その目的は、特別区の各区の自治性を確保するためです。
つまり、「都」の制度は市町村に対して特別区が不利益を被る構造にあるため、それを解消する努力が行われてきたと見做すことができます。


「寄生獣 セイの格率」の1話の作業中、中野区の会社に通っていましたが、駅近くの喫煙所で一服していると、灰皿に「たばこは中野区の区税になります」と書かれてあり、タバコを中野区で買うように促しているのです。
これはどういうことなんだろう?と疑問に思いましたが、特別区の税の仕組みを見て納得しました。

東京都では、住民税が特別区民税(6%)と都民税(4%)の合計になっています。
市では市民税と都民税になり、他県でも同じです。(税率同じ)
しかし特別区が得る税収には法人や事務所などの税が含まれません。
大阪でも同じでしょうが、人口が集中しているところほど会社や事務所が多いのですから、その税収が特別区にはいらないのであれば「損」ということになります。

たばこ税の内、地方税の25.67%が特別区に入るのです。これは大きいよね。
そんなことを灰皿に書くくらい、特別区は税収にシビアだとも言えますね。


藤井教授が指摘しているように、東京都では特別区に7割の都民が暮らしていますから、特別区以外の3割に税収が流れても7割が損をする割合は小さくなります。
しかし、大阪府では大阪市に暮らす人は3割程度だそうですから、都になって今の市が特別区になると3割から7割へ税収が流れることになる。
分母が小さいのですから、特別区になった大阪市は多くの「損」をすることになります。

橋下大阪市長は、大阪を都にすることで二重行政が解消され4000億の新たな税収が生まれ「大阪都」の成長につながると説明していましたが、5区に分割したコストで相殺されることが指摘されると(事実だったために)発言をこう変えてきました。

MBSの「都構想特集」動画
http://www.mbs.jp/voice/special/archive/20141022/

「財政効果は問題ではない」
「財政運用上破綻しませんよというところさえ確保できればそれで十分だ」
と述べています。

つまり、特別区の税収で「大阪都」…今の府の財政を支えますと言っているのに等しいのではないでしょうか?

自ら、【事実3】をお認めになっているのでは?と思うわけです。

藤井教授も「大阪都構想(2)」で別な例を取り出して具体的な指摘をしています。

都と特別区である必然性
東京都でも同じ問題があり、改正で以下の様なものがあります。
特別区は地方交付税は対象外になっていますから市町村のように交付を受けられません。
その代替として「都区財政調整制度」があります。
「都が課税・徴収する市町村税のうち、固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税の収入額の一定割合(平成19年度から55%)を財源として、各区に「特別区財政調整交付金」として交付するものです。」

特別区とは「市に準ずる基礎的地方公共団体」であって、独立した自治や交付対象になる「市」未満の存在なのです。
故に、東京都では様々な改正で自治を高め、交付できる制度を作っているわけです。
言い換えれば、東京都の特別区は少しずつ「市」に近づけているとも言えます。

さて、ここまで見て来て気がつくことがあると思います。
東京都が特別区に対して行ってきた法改正を生かすのであれば、「大阪都構想」は必要ない、或いは止めた方が良い、ということです。


橋下大阪市長は上でご紹介したMBSの動画の中でこうも言っておられます。
「車のエンジンの仕組みなんかいちいち市民が知る必要はないんですよ。いちいち皆さん、設計図を取り出してエンジンの構造調べますか?」

橋下市長は、「大阪都構想」が如何なるものか市民が知る必要はないと言っているに等しい。
言われたことに従えば良いとすら考えているのでは?

それで良いんでしょうか?

藤井教授がヒトラーになぞらえて「公権力を使った言論封殺」と言った論拠と言えます。


なぜ東京は栄え、大阪は栄えないのか
「大阪都構想」とは少しだけ離れた話題ですが重要な論点なので短く書きます。

藤井教授が提言し、政府が進めている「国土強靭化基本法」は、まさにこの問題を解決していくものなのです。
これは、東日本大震災より前から藤井教授は中野剛志氏とともに検証し、震災後に作り上げた「列島強靭化」の考え方が結実したものです。

日本全体を俯瞰し、東京一極集中を解消して地方都市を活性化させることは、国の政策として大規模予算を組み長期的に行う必要があるものです。

大阪の繁栄を、大阪府の構造改革で成し遂げるのはほとんど無理なのです。

東京が繁栄したのは各種インフラが東京に集中するように作られてきたからです。
長きに渡る集中化政策が、東京の一極集中を実現してしまいました。
正確には、元々日本全体をあまねく成長させる計画が財政問題を理由に縮小されて東京集中化が優先されて他地域が取り残されたと言えます。

国土強靭化基本法が決まり、これは解消に向かうと思います。
しかし、政府の緊縮財政の壁が阻んでしまっているのでのろのろ運転になってしまってますが…

グレートリセット思考が大阪を…日本を破壊へ導く
「大阪都構想」は、言わば地方内一極集中の解消と言えるでしょう。
実際にそういう趣旨の発言も見られます。
はっきり言って無理です。
ていうか弊害のほうが大きいでしょう。
なぜなら、通貨発行権がなく金融財政政策も限界のある地方都市がやれば、中心地の富が薄く広がるだけになる可能性が高いのは、これまで検証してきた東京都の問題点や「大阪都構想」の事実からも蓋然性が高いと理解できますよね。

国家として取り組むべき問題なのです。

日本全体が衰退するデフレ下で「大阪都構想」を実現すれば大阪は弱ってしまうのでは?と危惧します。
また、東京一極集中が解消に向かい、日本全体が豊かになって行く過程で各地方都市は成長していきます。
そうすれば「大阪都構想」など必要なくなるでしょう。
大阪府のままでも、様々な改善は可能なはずなのです。

デフレ脱却、経済成長、国土強靭化、大変時間のかかる話です。

めんどくさいから理屈をつけてまっさらにしてしまえ!
グレートリセットだ!
構造改革だ!
革命だ!
これは最も危険な発想ですよ。


繰り返し書いていることですが
デフレ下では、経済成長を実現するために、萎んでいる民間に代わって国家・政府が率先して仕事を作り足りない総需要を埋めて高める必要があります。

デフレギャップは14兆円と言われます。

残念ながら、地方単位で対処できることではないのです。

財政均衡主義・緊縮財政、構造改革、グローバル化…
みなデフレを促進し文化を破壊するものです。
政府が採用しているこの考え方を早急に転換させないと、大阪の繁栄もあり得ません。

デフレ脱却のための処方箋はすでにあり余るほど出されています。
前例もあり、やる気があれば出来ることなのです。


最初に戻ります。
藤井聡教授は、橋下大阪市長への支持・不支持、「大阪都構想」への賛成・反対で、この議論を始めたのではありません。

それは、藤井教授の個人サイトトップの最後一文にも表れています。
「私、藤井聡は今後とも、日本、そして何より我が愛する青春の街、大阪のために、大阪都構想に対して発言し続けます。」

恐縮ながら、あやかりまして
ボクは、安倍晋三氏や今後のどの内閣であれ支持か不支持か、ではなく、我が愛する日本のために政治経済など含めて幅広く考えを深めつつ発言し、アニメ制作に従事し続けます。
未熟で不完全で間違えることはあっても、この基本が変わることはないでしょう。
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