昨年3月頃、下記の様な記事がニュースになりました。
「東証が、PBRが1倍を下回る上場企業に対し
株価水準を引き上げるための具体策の開示を求める」
これを踏まえ、低PBR株に追い風が吹くかも、と考え、
以下の基準で東証に上場している企業を3/31時点の数値に
基づいてスクリーニングしました。
① PBRが 0.5未満
② 予想営業利益率が 10%以上
③ 自己資本比率が 50%以上
④ 予想PERが 10未満
その結果、16社がヒットしました。
(詳しくは、当時の記事をご参照ください)
結局これらの株価は上昇したのか?
9月に一度検証してこのブログに記事を上げたのですが、
今回はその後の決算の状況に加えて「配当利回り」という視点も
入れて検証します。
(1) 決算状況;
3月に選んだ16銘柄の直近の決算(3月決算の企業はQ2、
12月決算の企業はQ3)の前年比を見てみると以下の通り;
① 増益; 2社
② 減益; 13社
③ 赤字; 1社
増益は2社のみで、厳しい環境だったようです。
(2) 株価の動き;
昨年3月31日終値からこの週末の1月12日終値までの
株価の動きは、16社中、14社の株価が上昇。
その内、7社は日経平均の上昇率(27%)を上回りました。
その内の2社は増益だったのでうなずけますが、
残りの5社は減益なのに日経平均以上に上昇しました。
この16社を株価上昇率の順に並べたのが下の表です。
各社の配当利回り(3月時点の株価に対する当時の
予想配当額の利回り)も記載し、利回り4%以上には
色付けをしました。
(3)配当利回りと株価上昇率の関係;
下図は横軸に配当利回り、縦軸に株価上昇率を取ったチャートです;
緑は増益の企業、青は減益の企業、赤字の企業は赤です。
前述の通り増益の企業は2社とも日経平均以上に株価が上がりました。
その2社では配当利回りの大きな方が株価がより大きく上昇しました。
減益の企業は概ね点線の楕円に収まっており、
「配当利回りが高い方が株価上昇率も大きい」という
傾向にあるように見えます。
先日「新NISA、いよいよ開始」という記事で
高配当株投資をお薦めしましたが、上記の結果を見ても
「高配当株は強め」と言って良いのではないでしょうか?
(4) 新しいリスト;
上記は全て、昨年3月31日時点の数値でスクリーニングをかけ
ヒットした企業についてのレビューです。
では、今、同じ条件で検索するとどんな企業がヒットするか?
それは、次の8社です。
配当利回りが4%以上なのは今村証券のみでした。
ここは北陸3県が地盤なので能登半島地震の影響が
どう出るか気になります。
他に、3.5%前後の所が3社ありますが、今後の株価の
推移次第では4%を超えてくるかもしれません。
(5) 別のスクリーニング;
先に述べた記事「新NISA、いよいよ開始」の中では
次の広告にある本をお薦めしました。
この本の中にも配当利回り、PERなど種々指標で条件を付けて
スクリーニングをかける事が薦められています。
この本の条件で1月12日の終値で検索したところ、
(4)で述べた8社とは異なる5社がヒットしました。
(私の保有銘柄も1つ入ってました)
この記事ではこの5社のリストを記載するのは控えます。
興味ある方は、ご自分で本を読んで検索してみてください。
(6) PBR引き上げの動き;
日経新聞によれば、東証が明日、1月15日から
資本コストや株価を意識した経営に向けた取り組みを
開示した企業一覧の公表を始めると報じました。
これを見ると、その企業がPBRを引き上げる為の
対策を打っているかどうかが判ると思います。
上記のリストにある企業が対策を打っているのか?
どういう対策か? 株価に影響が出そうか?
今後、見ていきたいと思います。
投資の手法に関しては色々な意見をお持ちの方がおられると思います。
また、上記のリストには漏れや間違いがあるかもしれません。
実際に投資をされる際は、上記を鵜呑みにせず自己の判断と
責任において行なってください。
以上です。