しわくちゃ | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

しわくちゃ

ガチャ……。


玄関のドアが開き……中から川畑が出てきた。


川畑      「あ……どうも……。」

タロウ     「ああ……こんにちは……。」


……………。


なんとも不思議な空気である。


……………。


川畑      「早速ですけど……訴訟費用の負担分……。」

タロウ     「はいはい……。」


裁判所からの支払いが確定している分「20580円」の事である。


川畑      「じゃ……これ……。」


ズボンのポケットを探る川畑。


モゾモゾと……

モゾモゾと………。


右のポケットに左のポケット……

そして取り出されたのは2つに畳んでしわくちゃになりかけた一万円札が2枚……。


川畑      「あと……。」


小銭を数える川畑……。


川畑      「580円……っと……。」


それを右手のゲンコツの中に一旦まとめると……ワタシの前で開く……そして差し出す。

シワシワの2万円と小銭……それを見て少々切なくなった……。

……………。


「本当にお金が無いのかもな……」と思った。


川畑      「……どうぞ……。」

タロウ     「あ……どうも……。」


裸で受け渡される訴訟費用負担分20580円……。


「今日もなんかあるかな?」なんて思って道中歩いてきたが……意外とあっさりしたものであった。


川畑      「あ……すいません……領収のサインを頂けますか?」

タロウ     「ああ……はいはい……。」


一旦部屋に半身乗り出して戻ると……多分玄関の下駄箱の上にでも置いてあったのだろう……

小さなメモ帳とボールペンをワタシに差し出した。


見ると


「事件番号(ハ)1345号訴訟費用負担分20580円、領収いたしました。」


と決して綺麗とは言えない字で書いてある。


この下にワタシの名前と今日の日付を書けと言うのであろう。


どんな紙でも領収書にはなるだろうが……

電話の横に置いてあるようなメモ帳を領収書代わりにするであろうか?


ツッコ見たい気持ちは山盛りだったが……今日はなるべく平和に行こう……。

川畑も昨日の一喝のせいか……少々しおらしい様子である。


ググっと堪えて……


タロウ     「じゃ……ここに書けばいいね?」

川畑      「あ……はい……。」


「山田タロウ」と日付……11月2日と書く……。


タロウ     「これでいい?」

川畑      「あ……はい……OKです……。」


とりあえずミッションQの用件1は片付いた。

これでワタシの今日の用事は終了である。

また昨日のように収拾がつかなくなるのも適わない。

さっさと退散する事とする。


タロウ     「じゃ……。」

川畑      「あ……ちょっと……。」


呼び止める川畑……。




以下次号。