郵便局 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

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その夜、ミッションQを少々修正した。


少し大きめの茶封筒に、裁判所から預かった

「訴訟費用額確定処分申立書」と一緒にミッションQを同封し封をする。


「諸消費用確定処分申立書」は普通郵便で送れば良いという事であるから、

ミッションQを同封した封書でも問題無いであろう。


そして翌日の朝一番に郵便局に向かう。


問題は、川畑が「ワタシからの書面を受け取らない」と頑なになっているという事。


まぁ……受け取らないなら受け取らないで次の手段となるのであるが、

面倒なので出来れば受け取って頂きたい。


とりあえず局員さんに聞いてみる。


タロウ     「あのーすいません……郵便の種類について教えてください。」

局員      「はいはいー。」


愛想の良さそうな若い局員さんである。


タロウ     「相手に確実に届ける為の郵便ってあります?」

局員      「それでしたら……いわゆる書留ですね……配達記録といいます。」

タロウ     「なるほど……他にもあります?」

局員      「ええ……ありますよ……内容証明郵便とか……。」


よく聞く名前である。


局員      「これは所定の用紙……原稿用紙みたいなものに書いて頂いて、

         三枚複写になってまして……差出人・受取人そして局が一枚保管するというものです。」

タロウ     「なるほど……それって所定の用紙じゃないと駄目ですか?」

局員      「そうですね……駄目です。」


ミッションQは既にA4で作ってしまったので、出来ればこのまま行きたいし、

別に局に保管してもらわなくても良い。

なので内容証明郵便はパスである。


大切なのは確実に届ける事。


タロウ     「ちなみに……全ての郵便物って……受取人が拒否できますよね……。」

局員      「そうですね……拒否できます……。」

タロウ     「裁判所が出す『特別送達』のように、拒否できない郵便って無いですか?」

局員      「う~~~ん……残念ながらありませんね……。」


「特別送達」は裁判所などの、一部特別な公的機関のみ送付できるらしい。


局員      「でも…配達記録なら……拒否する場合でも拒否の署名捺印が必要ですので……。」

タロウ     「ほぅ……。」

局員      「もし……不在の場合は宅配便と同じ様な連絡通知を置いて行きますし……

         その後、局預かりか再配送か選べるようになっています。」


とりあえず配達記録が最良のようである。


タロウ     「じゃ……それで……。」

局員      「はい……。」


と、なにやらマニュアルを取り出して、確認している。


局員      「普通の『配達記録』と『本人限定配達記録』がありますが……。」

タロウ     「本人限定ですか?」

局員      「そうです。」


せっかくなので説明を聞く事にした。


局員      「配達記録がご家族でも受け取れる物なのに対して……

         本人限定は本人しか受け取れません。」

タロウ     「ほぅ……。」

局員      「本人である事を、免許証などで確認します。」

タロウ     「なるほど……。」


訴状の住所がワンルームマンションだったので、川畑は一人暮らしの様子であるが、

せっかくなので本人限定にしてしまおう。


こうすれば、「友達が……」とか「兄弟が……」とか不思議な言い訳は聞かなくなる。

それに車に乗っている以上、免許証くらいは持っているであろう。


タロウ     「じゃ……その本人限定でお願いします。」

局員      「はい……では、この書類にも書いてください。」


小さな紙を貰った。

ちょうど貯金を窓口でする時のような用紙である。


それに自分の住所氏名と受取人の氏名を書く。


タロウ     「はい。どうぞ。」

局員      「はい。」


住所と氏名を封書のものと同じか確認すると……


局員      「受取人の電話番号ってわかります?」

タロウ     「ええ……。」

局員      「配達の際に連絡を取る場合がありますので……。」

タロウ     「これです。090-1234-1234。」

局員      「封書の宛先の下に、書いてもらえます?」

タロウ     「はい。」


差し出されたボールペンで書く。


局員      「これでOKです。……料金は……620円ですね……。」

タロウ     「はい。」


完了した。


局員      「あとは……この番号をケータイかパソコンで調べてくれれば配達したかどうか判ります。」

タロウ     「なるほど……。」

局員      「インターネットで登録すれば、メールでお知らせしてくれるシステムもありますよ。」


便利な世の中である。


タロウ     「わかりました。ありがとう。」



ミッションQは620円で放たれた。

封筒に用紙代を含めても700円もしないであろう。


そして、もう回収は不可能である。


送った後の帰り道……一人ふと考えた。


ある意味、川畑の言う「訴訟」の方が彼には楽なのかもしれない。




以下次号。