第三回口頭弁論---その7---傷~終結 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

第三回口頭弁論---その7---傷~終結

さて……どんな返し技が待っているのか……。

興味津々、心ドキドキである。


川畑      「えっとですね……被告の準備書面のですね……」


と書面を確認しながら川畑………。


川畑      「被告の準備書面 の7ページですね。『原告準備書面4ページの4項目に対する答弁⑦

         右後方部分に長さ約7cmの白線状の傷』ですね……。」


と自身満面。


川畑      「傷の大きさですね……長さと幅………これを詳しく教えてください。」

タロウ     「………はぁ?書証で出してるでしょ……写真。」


しっかりワタシは出している。

火サス調査隊が撮影した約7cmのガードレールに擦ったような白線状の傷を。


川畑      「え……?どれですか?」


と……とぼける川畑。


タロウ     「乙6号証の②ですよ!……メジャー(定規)と一緒に写っているじゃないか!」

川畑      「いやーーーー。これですか……?」

タロウ     「そうですよ……それしかないでしょう!!」


わざとらしく首を傾げる川畑……。


川畑      「この写真の傷なんですけどね……………無いんですよ………。」

タロウ     「ぶっ!!」


驚いた……。

正直に驚いた。

何か大技は用意している予感はしたのであるが……まさかそんなところで仕掛けるとは……。


「四方八方」「ネコの摩り替え」「準備書面の二択」………

数々の大技が頭の中にダイジェストで思い出される。



瞬間……周りの様子を伺う。




傍聴席……


皆、驚いた様子……。

更に開廷前に裁判資料を見せてあげた「学生風」に至っては開いた口が塞がらない様子。


だって川畑の車の白い傷の写真を見せていますから……。




裁判官……


目が怒っている……。

マジで怒っている……。

「もう付き合いきれない……仕事とは言え……」って声が聞こえてくる。




タロウ     「………ふぅ~~~。」


と一呼吸。


タロウ     「あのねぇ……乙6号証の②と③を見てくださいな……。」

川畑      「だからこれは捏造じゃないんですか?」


捏造……。

言葉を選んだほうがいい。

名誉毀損で告訴するぞ……。


タロウ     「②についてはメジャーと一緒に傷のアップの写真ですよね?」


言い聞かせる。


タロウ     「③については車のナンバーも含めた傷の写真ですよね?………わかりますか?」

川畑      「………だから……これが無いんですよ!無いものは無いでしょうがっ!!」



きっとその部分の傷だけ、しっかり磨いて消したのではないのか……。

それはそれで報告しなければならない……。


それを最初から「無かった事」と主張すれば「偽証」となる。


「だったら書証で……」と言いかけたところで裁判官が割って入る。


裁判官    「もういいです!!その件も今更争うところでも無いでしょうっ!!」


怒っている。

当たり前である。

ロクな書証も提出せずに主張だけを繰り広げる原告……。

被告のワタシでさえ……実際付き合いきれない……。


川畑      「ですがっ!!裁判官っ!!無いものは………。」


更に遮る


裁判官    「いいですっ!!もういいですっ!!これ以上は無駄ですっ!!弁論終結しますっ!!」


マジギレである……。


あ~あ……裁判官、キレてしまったではないか……。


そしてワタシまで一緒に怒られた様子ではないか………。


裁判官    「弁論終結っ!!結審っ!!………判決は9月25日1時半っ!!」


そう言い残すと資料をワシ掴みにして怒ったまま足早に退廷……。

終了時の一礼も無しである。


廷内には、ちょっぴり気まずい雰囲気が漂う……。



……………。



ちょっぴり焦った様子の書記官……


書記官    「えーーー。弁論終結……。結審です。………判決は9月25日の1時半です……。」


そして片付けはじめる。


驚いたまま立ちすくす川畑。

唇はフルフル……。


こっちも驚いたのではあるが……まぁ………終わってしまったので仕方ない……。


ワラワラと身支度に入る傍聴席……。

退廷してしまった人もチラホラ……。



ワタシも片づけをしながら書記官にもう一度日程の確認。


タロウ     「25日の1時半ですね。」

書記官    「そうですね……まぁ……判決は来なくても結構ですが……。

         すぐに特別送達で送りますので……。」

タロウ     「わかりました……来てもいいんですね?」

書記官    「ええ……構いません。」


せっかくなので来る事にする。

裁判なんて滅多に体験出来る事ではない。

ならば最後まで体験するのが流儀であろう。


ここでちょっぴりいつものイタヅラ心である。


タロウ     「原告さん……。」

川畑      「……………。」


聞こえているはずではあるが、無視である。


タロウ     「あのーーーすいません……原告さーーん!!」


法廷の隅にいても聞こえるように声をかける。

それでも無視の様子である。


ここで引っ込むのも格好が悪いので、更に……


タロウ     「原告の川畑さーーん!!ちょっと話があるんですけど……」


嫌々そうに川畑が顔を上げる。


川畑      「なんですか?」

タロウ     「あのですね……。」


と少しもったいぶる。


タロウ     「判決ですが……聞きに来ますか?」

川畑      「……………。」

タロウ     「ワタシは聞きに来ますよ。……その予定ですが……。」


ムッとする川畑。

唇フルフルは言うまでも無い。


川畑      「ワタシは来ません……忙しいですから……。」


これしきで忙しい?

おまえに訴えられて、ワタシは「忙しい」「死ぬほど忙しい」になっている……。


仕事もロクに出来ず…嫁とゆっくり晩酌も出来ず…子供と遊ぶ事も出来ず……

そんな怒りを堪えながら、さらりと


タロウ     「あ……そうですか……残念ですね。」



……………。



荷物をまとめて退廷する。


2階の窓から外を見ると建物の外にはまだ

傍聴していた人がチラホラ……。


せっかくなので感想でも聞こうと思い足早に後を追う。

                                第三回その7 イラスト:

以下次号。