続・ネコ探し | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

続・ネコ探し

日付は8月12日

少々曇り……第二回口頭弁論から3日目。

「ネコ探し」3日目である。


今日は昼前からユミコが店を手伝う日である。


初日、二日目と同じく朝一番にイチロウを叩き起こしてネコ探しの散歩に出発する。


……三日目であるが……。

ネコは未だに発見出来ず……。


一日あたり30分程度……。

今日で1時間半である。



今日もいない……ネコ……。



不思議だ……本当に不思議だ……。

あれだけいつも見かけていたネコ達がいない………。


今日は前の二日と違って、朝から少々曇りである。

日差しが無い分、ネコが外をウロついている可能性が高いかもしれない。


でもいない………。


いったい町内のネコはどこに行ったんだ?


イチロウ    「父さん……。今日もいないよ。」

タロウ     「ああ……。いないな……。」


ちょっと落ち込みムードである。


タロウ     「今日は母さんが昼前に来るからさ……。ちょっとその時に暇見つけてさ……。もう一回探そう。」

イチロウ    「うん。そうしよう。」


とりあえず一時撤退である。



………………。



10時半過ぎ……ユミコと娘のイチコが到着。


ユミコ     「おはようございまーす」

イチコ     「オアヨー」


イチコがワタシに一目散に駆け寄る。


イチコ     「パパ。シオト…アンバッテー。」


最近やっと宇宙語から日本語に変わってきたイチコ。

よく喋る……。本当によく喋る。

母の血のほうが濃いらしい……。

2歳と2ヶ月……。

こんなに喋ったら……ちょっぴり先が思いやられる……。


ユミコにここ三日間の調査を報告。

カクカクシカジカこう言うわけで……。


タロウ     「だから今からネコ探しの旅に行ってくるわー。」

イチロウ    「行ってくるわー。」


と言うと……。


ユミコ     「ちょっと待った!!本当ダメダメ過ぎ!!……あんた仕事してなっ!」


とユミコ………。


ユミコ     「ちょっとイチコ見といてよっ!」


と言うとイチコ専用の前カゴを親父(ハジメ)の自転車に取り付け出した……。

イチコは既に店の冷蔵庫を漁っている……。


イチコ     「マグロー。サシミ!サシミ!」


……………。


ユミコ     「よしっ!イチロウ……あんたも行くよっ!!」

イチロウ    「あ……。うん……。ボクも……?」
ユミコ     「もちろん!!あんたが行かないと100円貰えないんだろ?」

イチロウ    「………そうだね……。」


イチコを無理矢理冷蔵庫から引き剥がし…自転車の前カゴにセットすると……。


ユミコ     「カメラ貸して!」

タロウ     「あ……。はい。」


と……デジカメとケータイを差し出す。


ユミコ     「一個でいいよ。電話あるかもしれないでしょ!デジカメだけでいいよ。」

イチロウ    「ボク、デジカメだよ。」

ユミコ     「だったらあんたが持ってなっ!ワタシとイチコが探すから。」


役割分担である。

確かにこの方が効率がいい……。


ユミコ     「だいたいあんた達……。わざわざ歩いて行く事ないじゃない!自転車!自転車!

         機動力を活かさなきゃ!」


……時々思うのであるが……。

ユミコはイチコといると性格が変わる……。



「女は弱し…されど母は強し」

……誰が言ったかは知らないが………まさにその通りであると思う。



イチコがいない時は「女」であるが……。

イチコがいる時は「母」となる……。

それも飛びっきりの「肝っ玉母さん」である。


タロウ     「気をつけて行ってこいよ…。……イチコ連れて大丈夫か?」

ユミコ     「大丈夫よ!それにイチコ連れて行かなきゃダメでしょう!?

         ……『高性能動物探知機』なんだから!」


確かに……。


イチコは動物を見つける才能を持っている……。

遠くで散歩しているイヌを見つけても反応するし……。

車の中からハト・カラス・スズメを見かけても反応する。


ネコなんかは尚更である。

今、イチコのマイブームは「おしゃれキャット」「魔女の宅急便」だ。


ユミコ     「待ってなさいよ……。ネコ10匹でも20匹でも撮って来るから!」


いや……。さすがに町内に……そんなにネコはいない……。

いても5~6匹だろう……。


第一、そんなにいたら……いくら川畑でも気が付く。


ユミコ     「行ってきまーす。」

イチコ     「イテキマー」


ユミコ号出発。

その後をイチロウが子供自転車で追う……。



まぁ……。期待せずに待つことにする。



………………。



11時頃……。出発から約30分……。

店の前に「調査団」一行が帰ってきた。


イチコを降ろしユミコが足早にワタシの元へ……。


ユミコ     「これ見てごらん!」


差し出されたデジカメの画像に……「ネコ」!!


ユミコ     「楽勝よ。楽勝。………ま…今日は一匹で勘弁してやったけど……。」


20匹はさすがに無理であったか……。

まぁ…無理である。


でも、この三日間の労力を考えると……さすがである。


タロウ     「どこで撮ったの?」

ユミコ     「八百屋の鈴木さんの裏。」


調査範囲内である。


ユミコ     「だいたいさー。『男』に探し物なんて無理なんだよ。無理!!

         探し物と片付けは無理!!

         あんたの普段の生活態度を見ていればわかるじゃん!!」


えらく強気である……。が……言い返す言葉が無い。


イチロウ    「父さんには無理だなー。絶対。」


イチロウも便乗する。


ユミコ     「アホ。あんたも父さんと一緒だよ!」


イチロウ……藪蛇………。


ユミコ     「あのさー。もっとネコの目線になって探さなきゃダメだよ……。もっと姿勢を低くしてさー。

         もっとネコの気持ちになってさー。」


一匹見つけただけで大層な御高説である。


タロウ     「で…誰が最初に見つけたの?」

ユミコ     「イチコ。」

イチロウ    「イチコ。」


…………。

お前じゃないのか………。

言いかけて「ぐっ!」と堪えた。


タロウ     「で……。以上?」


聞いてみた。


ユミコ     「甘い!」

タロウ     「ん?」

ユミコ     「ほれ。」


デジカメを操作してもう一枚の写真を出す。


………BMだ……っ!!

川畑の車である。


タロウ     「お!!どこにあった?」

ユミコ     「同じく鈴木さんの裏。」


ほぅ……。あそこの駐車場であったか………。


ユミコ     「いったいどこ見てんのよ!?一発だよ。」

タロウ     「……………。」


「ワタシが探しに行った時は「外出」してたんだろう……」と言おうと思ったが……これも「ぐっ!」と堪えた。


ユミコ     「相変わらず埃まみれで真っ白だったから……すぐにわかったよ。」

タロウ     「あ。そう……。」


自信満々のユミコ……。


ユミコ     「タロちゃん『黒い車』って探してたんでしょ……。『グレー』だよ……グレー。埃まみれで……」


酷い言われようである。川畑マイカー……。


ユミコ     「………とりあえず……。イチロウに100円ね。」

タロウ     「え?イチコが見つけたんでしょ?イチコにじゃないの?」

ユミコ     「あ…そうか……。みんなで行ったんだから……。みんなにでしょ……。

         ワタシとイチコにも100円ずつね。」


今度はワタシが藪蛇であった……。


ユミコ     「あと……。車発見賞金は?」

タロウ     「はぁ?」

ユミコ     「当然でしょ。」


あぁ……。自分で行けば良かった……。

後悔先に立たず……。


ユミコ     「タロちゃん……。欲しいブラウスがあるんだけどさー。日曜に見に行かない?」


かなり高くつく予感である……。

                                       続ネコ探し イラスト:
以下次号。