第一回口頭弁論---その8---証人 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

第一回口頭弁論---その8---証人

川畑      「では、どのような写真や証拠を出せばいいんですか?」


また聞いている……。

なんか同じ事を何度も聞いている印象だ…。


裁判官     「ですからそれは原告側で判断していただかないと…。

          証拠・写真・証人…。何か無いんでしょうか?」

川畑      「証人でもいいんですか?」

裁判官     「結構ですよ。こちらに次の出廷の日に来て頂けるように手配して頂ければ…。」

川畑      「では証人を呼びます。」

裁判官     「わかりました。ではその手配をしてください。」

川畑      「はい。」


ほほぅ…。証人を呼ぶ事になったか…。ちょっと裁判らしくなった様子である。


裁判官     「原告。念の為に聞きますが、

          その証人は『被告が該当ネコを飼っている』と証言してくれる人ですね?」

川畑      「えっと、今のところ協力してくれる友達が2人いますので…。

          そのどちらかに頼もうと思っています。」

裁判官     「で、何を証言していただけるのですか?」

川畑      「えっと、一人は『僕の車にネコが乗っていた事』

          もう一人は『このネコが被告宅に上がって餌を食べている事を目撃したことがある』人です」

裁判官     「……………。」


大丈夫か!!!???ちゃんと話を聞いていたか!!!???

ネコが車の上に乗っているのも、宅内に上がっているのも、餌を食べているのも甲号証と被告答弁書で

確定済みだぞ!!!???


今、原告に求められているのは『該当ネコが被告の飼い猫』である事を証明する証拠又は証人だぞ!!!


裁判官     「わかりました。その証人で原告が訴訟内容を立証できると思うのであれば

          出廷の手続きをしてください……。」


この裁判官の一言でワタシは思った……。

裁判官…あきらめた……。


裁判官     「では証人を呼ぶに当たって証人に対する日当等の費用が発生します。

          それは前納で裁判所に収めて頂いて証人にお渡しするやり方と、

          原告が立て替えておいて後日、裁判が確定してから支払うやり方がありますが…。

          原告のお知り合いでしたら、後者の方がやり易いかと…。

          まぁ詳しい事は後ほど書記官から聞いてください。」

川畑      「わかりました。」


大丈夫か?本当にわかったのか?


裁判官     「では、今日宣誓書に署名捺印してもらいましたが、

           証人を呼ぶ次回に原告・被告の口頭弁論・質疑をしましょうか・・・。」

タロウ     「わかりました。」

川畑      「はい。」


では、次回までに川畑に対する質問を用意して置けば良いわけであるか・・・・。


裁判官     「では書記官、次の日程を決めましょうか」

書記官     「そうですね…。スケジュールからですと…。一番早いのが8月の7日ですね3時半」

裁判官     「わかりました。原告、その日時に証人を呼べますか?」

川畑      「確認してみます。……もしダメだったら?」

裁判官     「その場合は連絡をしてください。次の日程にずらします。書記官、次だといつですか?」

書記官     「……9月になりますね……。」

裁判官     「随分先ですね。原告、出来るだけ8月7日にしましょうか」

川畑      「わかりました。なんとかしてみます。」

裁判官     「被告、その日程でよろしいですか?」

タロウ     「結構ですよ。当方としては早いほうがいいですから」

裁判官     「では次回は8月7日の3時半で」


3週間ほどある。

まあいい。


書記官     「では次回は呼び出し状とかありませんから、今、メモして置いてください。」


裁判官・書記官も帰り支度を始めだした。

どうやら今日は、これで終わりの様子である。


ちょっと拍子抜けである。

もう少し、ドラマみたいにとは言わないが…。

やり取りが欲しかった…。

実際の裁判では「ドラマみたいなやり取り」はないらしいが……。


書記官     「では本日はこれで閉廷いたします。一同起立。」


ワラワラと立つ。

終わった様子だ。


書記官に呼ばれて川畑が連れ立って出て行く。

証人の出廷手続きの為であろう。


裁判官も裁判委員も出て行った。

ワタシも出て行く。


ユミコ     「おつかれさん」


ユミコが寄ってきた。久しぶりに嫁が可愛く見えた…。


タロウ     「疲れた…って言うより緊張した。途中笑いそうになったけど…。」

ユミコ     「『食べてますよね?』のあたりでしょ?アンタ小さく首傾げてたもん…」

タロウ     「まぁ、そこもそうだけどね…。全体的にヌル過ぎじゃない?」

ユミコ     「『ヌル過ぎ』って言うより…。知識無さ過ぎだよね。」

タロウ     「その表現のほうが的確かな?」


ユミコも手厳しい。

普段ワタシにも手厳しいのであるが…。


ユミコ     「でも一個確信したことがある」

タロウ     「なに?」

ユミコ     「向こうは絶対弁護士とかに相談してないよ」

タロウ     「だろうな。」

ユミコ     「だってさ。ある程度知識のある人に相談していれば、あんな質問したりしないもん」

タロウ     「確かにな」


「確かにな」と言いつつ「ある程度知識のある人に相談していれば、こんな訴訟は起こさないと思った。

                                  第一回その8 イラスト:

以下次号。