『物語のつづき』



階段を3段上っては一呼吸置き、再び手すりにつかまり上る。



これの繰り返しで入口を目指す。



『関取』は、ボクのペースに合わせてゆっくりと上っていく。



入口に着く頃には、苦しさで顔が歪んでいた。



『関取』に先導させて、店員さんのアプローチに答えてもらう。



禁煙席に座り、メニューを見ながら苦しさが落ち着くのを待つ。



お水はセルフサービスで『関取』が用意してくれた。



苦しさが落ち着くと、テンションが上がって行き楽しくて仕方ない。



「何にしよう!!迷うわ!どうしよう。メッチャ楽しくなってきた!!」



メニューを見ると目移りしてしまい、全部一口ずつ食べたい気分になる。



さらに別のメニューにも手を伸ばすと、それはセットメニューで、今のボクの心境にぴったりだった。



「おっ!これいいねぇ『春日井セット』決めた!」


チャーハン、こってりラーメン、餃子のセット。



ただ、『こってり』のラーメンを『あっさり』したラーメンに変えて欲しかった。

店員さんに尋ねるが、あえなくNG。



『関取』も同じセットで注文した。



待ってる間、家から持ってきた生命保険の契約書を取り出し、内容を確認する。



この生命保険に入ったのは、3年前になる。



きっかけは、20歳そこそこの頃に営業職で、給料は同年代の倍程もらっていたが、お金の使い方も分からなかった。



その頃、遠い親戚に生命保険に勤めている人がいて、薦められるがまま複数加入し、気付けば自分自身に毎月約6万円程の保険料を払っていた。



いくら遠い親戚だからと言っても、営業だから踊らされてる気がして嫌気がさし、全て解約した。


もちろん引き留める言葉を出して来たけど、営業トークとしか聞こえなかった。

ボクも当時営業マンだから、よくわかる。



それ以来、生命保険会社に不信感を抱き『まだ若いから病気なんてしない』と何の根拠もない理由を自分に言い聞かせ、生命保険に一切加入しなかった。



それから、10数年大きな病気もなく来たけど、4年前に突然『胸膜炎』を発症し、2回に渡り4ヶ月間入院する。



この事もあり、生命保険への関心が強まって『保険相談センター』に話を聞きに行った。



ここは、複数の生命保険を取り扱ってる所で、自分に合った保険選びが出来るらしい。



カウンターに3つ仕切りがされていて、ボクは右側の席に座り相談をする。



スタッフから言われたのは『胸膜炎は、完治してから5年経過しないと保険に加入出来ない』と言う答えだった。



他に保険は無いか尋ねると、『分類分けされている特定の疾患と、部位を不担保にする』条件なら加入出来る物があるそうで話を聞く。



ボクの場合は、肺の疾患と呼吸器系の疾患以外は保険対象になると言う事だ。



不担保の条件は仕方ない。

この時点では、『取り敢えず加入しておきたい』と言う安易な思いもあった。



他にもじっくり調べればあったのかもしれないが、保険料が低額と言う事もあり、その場で契約をした。



それが、今の生命保険に入るきっかけだ。