冒険 | こころの色…  ~love you, so "Nice Smile"

こころの色…  ~love you, so "Nice Smile"

はじめまして。
とうとう、ブログを始めることにしました‼️

アークエンジェル、始動します。

 

「彼らのように、非難を浴びるのが嫌で一軒にとどまってる、って人たちの方が多いってことが原因だな。周囲の人と同じだと安心するからなあ。

 

・・・比率の高い方の意識が、世間一般の常識としてある。“常識=正しい”っていう論理がな。だから彼らは常識から外れているものは何でも間違ってると言って片付けてしまうんだ。そういう癖を持っておる。一つのことを一生続けることが正しくて途中で止めてしまうのは間違い、っていう固定観念に縛られておるのさ。

 

・・・単なる価値観の違いだけで、どちらが正しいなんてものはないのになぁ。

 

・・・彼らは、ただ単にそれが分からずに、周囲がつくった価値観を正しいと思い込んでるだけではあるが、世の中には価値観なんて星の数ほどあるし、どれを選択するかは自分次第っていうか、・・・価値観は自分のなかに潜んでることを知らないんだろう。・・・彼らの心理はそういったところかな。」

 

音楽家は新しい煙草に火をつけて一息吸うと、再び話し始めた。

 

「私も昔、彼らの一人だったんだよ。だから、大体のことはわかる。」

 

「そうなんですか。何をしていたんです?」

 

「もう遠い昔のことだが、私はスクールに行っていた。・・・ちょうど君たちと同じくらいの頃かな。・・・豪華な生活を夢見ていたんだが、あるとき何もかも嫌になってね、彼らの言う“常識”の壁をぶち壊した。そして別の意識の世界にやってきた。まったく違う価値観の世界にね。私のなかの本当の世界にやってきたんだ。

 

その時わかったのさ、彼らは馬鹿げているって。

 

自分自身に嘘をついて生きてるってね。

 

彼らは自分を成長させてくれるあらゆる経験を放棄して、進化することを止めてしまったんだと思ったよ。・・・まあ、それも一つの価値観で彼らが何を選択するかは自由なんだが、人間はみんな独自の世界観を持っている。ある人が非難することも別の人は賛辞を送る、そんな現実を作り出している。

 

でもなぁ、そういう他人の評価にあまり惑わされないことだ。一応、耳を傾けてみて、吸収できるものだけ吸収してこれまでの自分の価値観に加えていく。自分の幸は、私たちが如何に自分の価値観で自由に選択して行動するか、によって決まるんだから、価値観がひとつでも多ければ判断に役立つからな。」

 

「でも、どうすれば自分の価値観が見付かるんですか?それを探すのはすごく難しそうですけど。」

 

 

「それはひと口には言えないが、まずは自分の心に湧く想いとか直感を頼りに行動してみること。価値観というものは自分で作り上げるものではなくていろんな経験から自然に出来ていくものだから、気が付くと自分のなかに溜まってる。これは人間みんなに言えることだ・・・。」

 

彼はここで言葉を切ってしばらく沈黙を保った。のべつ幕無し喋りつづけて疲れたのか、二人に考える時間を与えているのか、穏和な表情からはどちらとも読み取れなかったが今宵の語らいに満足しているように見える。

 

ときおり吹く風にロマンスグレーの髪が揺れ、吐き出される紫煙がたなびく。

 

パブリロは、彼の話に今一つピンとこなかった。

 

確かに価値観というものは人によって違う。おいらにもオーディルにもあるんだろうけど・・、でも、価値観の違いから生じる孤独を思うとやっぱり淋しいし絶えられないかもしれない。独りぼっちでいることに、懐疑の目で見られることに、負けてしまうかもしれない。

 

シビルはどうだろう。彼はあらゆる孤独に打ち勝ってきたんだろうか、多分そうなんだろう。あのニヒルな顔つきやクールな態度、近寄りがたい雰囲気、彼の持ってる価値観があれなのかもしれない。この世界のすべてを知り尽くしたのかどうかは解らないけど、言葉には言い表せない強さを感じる。

 

それに引き替え、おいらはどうだろう。美しい姿や優しい眼に心を奪われ安易に信じてしまったおいらは・・、心の弱い人間なのかな。人に嫌われたくないがために自分をごまかしているのかな。

 

パブリロはためらわずにそう尋いてみた。

 

「孤独というものは確かに寂しいもだ。」音を失くした音楽家が、再び口を開いた。「それに、人から白い眼で見られることが辛いのもわかる。でもな・・・、人はもともと一人なんだよ、生れてくる時も死ぬ時も。

 

シビルはそれを知ってるんだよ、おそらく。・・彼は孤独と共に自由だし、寂しいのと同じくらい自分らしいんだ。彼の気持ちのなかには孤独と感じるよりも自由と感じるほうが多いんだろう

 

・・これは気の持ちようだが、ほとんどの人は孤独を寂しいと考える。しかし、少し考え方を変えると孤独はこの上なく自由なんだよ。自由を選択した者には必ず孤独が付きまとう。それに勝たなければ本当の自由はないことを彼は承知しているんだよ。・・・単なる考え方の違いだがこれも価値観の違いになるのかなぁ。

 

・・・もしもその孤独に耐えられないとしたら、君は自分と同じような価値観を持つ人を探すしかない。そうすれば寂しさもあまり感じないだろうし相談相手にも事欠かない。だが、自分と同じ価値観を持つ人を探すのは大変なことなんだよ。」

 

「どうしてですか?」

 

「それはな、ありのままの自分を常に表現しないといけないから。・・君が素直に自分自身を出さないと、相手の人は警戒して自分を出してはくれない。君の本当の姿を出して相手も本当の自分を出す。

 

互いにそうやって自分自身を曝け出したとき初めて相手のことが分かるし、相手も君のことが分かるんだよ。・・・でも、そのあと相手が君とは全く違う価値観を持っていたと解ったら、君は彼の懐疑の目に触れることになる...、それに耐えられず無理に相手に合わせてしまうと君自身がつくった自分ではなく相手がつくった自分を演じることになる。

 

・・・すると、君の中にもう一人の自分が生まれる。本当の君ではない自分がな。・・そのあと、嘘の自分を放っておくとそいつはどんどん大きくなって幅をきかし、本当の君を影に追いやる。

 

心のなかに居座って他人のコピーに撤するわけだ。そして、他人が生み出した価値観を君のものと勘違いして生きることになる。これはとっても不幸なことだと思うよ、私は。世間の操り人形になってしまうんだからね。

 

そうならないためにも本当の自分は失ってはいけない。・・・君はさっき、私の詩をきいて真実だと言ったよね?」

 

「うん、真実だと思った。何となくだけど・・・。」

 

「それはね、君の価値観がそう言わせたんだ。自分の価値観を探すってことは真実を見付けることなんだよ。他の誰でもなく君自身の真実をね。・・・世間が“正しい”と付加することではなく君自身にとって正しいと思えることを選んでいくんだ。

 

たとえ、孤独になって寂しいと思っても君のなかの本当の自分が出す答えに素直に行動すれば、自然に君の価値観が見つけられるのさ。・・・自分は他の誰とも違う人間なんだ、この世にたった一人しかいないんだ、って言い聞かせるんだよ。

 

すると、君は臆せず自分を表現できるようになる。そうすれば、君と同じような価値観を持ってる人と出会えるはずさ。

 

・・・でも、結局はその人も君とは違う人間なんだけど・・・。

 

とにかく自分と全く同じ人間はこの世に存在しないってことだ。だから、生まれてきた意味があると私は思っているんだよ。」

 

パブリロは、まだ彼の話がつかみきれなかった。こうして説明されたところで経験の少ない彼には全く見当がつかず、孤独を克服する自信など微塵もなかった。ただ単に、シビルへの憧れが大きくなっただけだった。

 

半信半疑なパブリロの左からオーディルが話しだした。

 

次回へ続く