棒のごと眠り落ちゆく田植あと  下平しず子


今は減反で雑草の茂った休耕田があちこちに見られます。

棚田や能登の千枚田に見られるように、

耕す土地もなく空に向かって延びた

先祖の涙は何処へ行ったのでしょうか。


一昔前までは考えられなかった事です。

古米どころか古古米が倉庫に眠っているといいます。


夜遅くまでサラリーマンばかりか

学生までもバイトに追われる昨今です。


朝はスイッチポンとトーストとコーヒーで

食事をすませます。。

生活習慣の変化が食生活までかえて

米離れにつながってしまったのでしょうか。


それでは今の日本に電気釜がなかったら

三食ともパンになりかねません。


健康のために濃いめの味噌汁は敬遠されて

炊き立てのご飯に味噌汁の香りは

遠い昔の物語です。


その昔日出づる瑞穂の国といわれ

米にあこがれ米を主食とし、

豊かな土地、そこへ引く水の豊富な土地へと

同じ日本人でありながら血を流し

戦った事が嘘のようです。


人々は産業に目を向けて生活が潤い、

食生活が豊かになり

食材もいつしか輸入物に押されて

米離れがますます進む昨今です。


日本の農業とは、米造りとは何だろうかと考える時、

水飲み百姓といわれても耐え、

妻子のために戦い血を流した先祖の苦しみは

なんだったのだろうかと考えてしまいます。