『複数の時計』
アガサ・クリスティー著 ハヤカワ・ミステリ文庫刊
を読みました
名探偵ポワロシリーズのミステリ小説です

英国軍情報部(MI6)のコリン・ラムは調査中に
ある住宅から飛び出して来た若い女性シェイラ・ウェップに助けを求められる
出張速記タイピストの彼女が依頼宅を訪れるとそこに男性の他殺死体が転がって居たのだ
その家の住人は盲目の女教師でありタイピストを要請した憶えは無い云う
遺体の発見された部屋には家主の物では無い幾つもの置き時計が置かれてあり
その全てが4時十三分を指して居た
地元警察署のハードキャッスル警部はコリンの友人で二人は共同して捜査を開始するが
被害者の身元すらなかなか判明しない
上司に調査報告の為にロンドンへ帰った時にコリンは
旧知の名探偵エルキュール・ポアロを訪れ事件について話す
ポアロはかねがね犯罪は足を使わずとも居ながらにして解決出来ると豪語して居た為だ
こうして名探偵ポアロはアームチェアディティクティヴを始めるのだが…

クリスティのほぼ晩年に発表された作品です
ポワロも相当高齢の様子ですがその推理力は衰えては居ません
往年の名作の様な派手さは無いモノの
スパイ小説の要素も加味された展開で新しい作風を常に模索して居た様を感じる佳作です