『剣の道殺人事件』
鳥羽亮 著 講談社 刊
を読みました
第三十六回江戸川乱歩賞受賞作品の推理小説です

大学生の剣道の全国大会で対戦中の選手が突然倒れる
胴着の中に鋭利な刃物が刺さって居た
急ぎ救急病院へ搬送されるが死亡する
衆人環視の剣道試合中での殺人事件
謂わば三重の見えない密室殺人事件とも云えた
所轄の警察署の捜査課長は大学で剣道をして居た甥っ子に剣道について相談するのだが
彼の交際して居た恋人が一年前に自殺して居り
やがてその一年前の自殺事件と今回の殺人事件が複雑に絡み合い始める

初めの頃は正直新人らしい稚拙な文章力が気になって居ましたが
作品の背後に流れる人間関係と剣の道の深い話が
メイントリックの衆人環視の三重の見えない密室と共に良い味を出して居て
なかなかの作品に仕上がって居ました

この作品は先週読んだ「フェニックスの弔鐘」と共に平成二年に江戸川乱歩賞を受賞した
ダブル受賞の作品の一つで
あちらがスパイ小説ならばこちらは本格派の推理小説と云った処です