1972年、房総特急の新設と同時に投入された国鉄の新しい特急電車に、鉄道ファンはざわめき立った。
「赤とクリームの583系登場か? いや違う、これが新しい183系だ!」という、新車登場を報じた鉄道雑誌の見出しに、当時の衝撃度が感じられる。同時に否定的な反応も多かった。それまでのボンネットスタイルに比べて、スピード感やスマートさは明らかに劣ると受け取られたからだ。先頭部のデザインが変わっても、逆三角形の特急シンボルマークは取り付けられていた。
その後、このゲンコツ顔は国鉄の特急電車のスタンダードになっていく。交直両用の485系もこの顔になった。増備が進むにつれ、使われることがなかった前面貫通扉は廃止されて少し印象が変わった。
大量に製造された485系は多くの車両がJR化後も継承され、それぞれの地域でさまざまな更新改造や塗色変更が行われている。
撮っていた画像を並べてみた。シンボルマークを撤去されたものも見られる。上沼垂カラーと呼ばれる二枚の撮影時期はさほど変わりないのだが、快速で格下げ運用されている方はマークが撤去されている。
JR東日本車で、体質改善のため大改造を受けたグループは、前面デザインも変わってシンボルマークは撤去された。
JR九州のレッドエクスプレスは、ボンネット車だけでなくゲンコツ顔の方もシンボルマークが残っている。(続く)