雨除け
「ヨーロッパ系葡萄の栽培には雨よけは必須です」

 

ワインのテイスティングの後、広大な敷地内をカートで巡回します。

このツアーは一日5回やっていますから、ワイナリーをじっくり見学したい人は参加してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 


葡萄園では、全ての葡萄に透明なビニールをかけます。

ビニールをかける大きな理由は、メジロ、ヒヨリドリなどの鳥害からブドウを守るためです。

ついでに、雨からもブドウを守ってくれます。夏の太陽の光を浴び、キラキラ光る傘は、臆病な鳥達をブドウに近づけません。

ビニールハウスの役割は害虫からの被害を避けるだけでなく、雨による農作物へのダメージを避ける役割もあります。

雨水は自然の恵みになることもあれば、水分過多で根腐れを起こす原因にもなります。

場合によっては土からの泥が跳ね、葉の裏側が泥に含まれるウイルスにやられ病気にかかってしまうこともあります。
そういった被害を押さえ、安全に農作物を管理するためにもビニールハウスは重要です。

台風などがきた際にも、余りにも風が強いと倒壊してしまう恐れもありますが、補強してさえあげれば格段に農作物を守れる確率が高くなります。
野ざらしで台風の被害に遭うよりは何倍も農作物の生存率が高くなります。

 

 

 

↑ Do Not Pick the Grapes Fine 2000 Bahtブドウを摘み取ると罰金2000バーツ ↓

 


ビニールハウスのメリット
ビニールハウスは周りを覆ってしまうとはいえ、陽光を遮ることがないので、農作物にしっかりと光を与えることができます。

更に直射日光などが苦手な植物を守ることもできるようになるので、遮光としての役割も果たしてくれます。

害虫の侵入をかなり減らすことができるので、病気に感染することや虫食いの被害に遭うことも格段に減ります。何より、害虫の侵入を減らすことで発生するメリットとして、農薬を使う回数を減らせるという点が非常に大きいです。

 

 

 


農薬はやはり体に良いものではありませんからね。特に食べる農作物を育てている場合には農薬の使用は減らしたいものだと思います。そんな時に役立ってくれるのが、このビニールハウスなのです。

気温をある程度保つこともできるので、旬でない時期の農作物を栽培することも可能です。 時期をずらして販売することはとても需要の高いことですので、狙い目と言っても過言ではありません。

ぶどうの病気は雨によって運ばれ伝染するものが多く、雨除け栽培は病気から果房を守る強力な防除手段(物理的防除)です。

ブドウ樹上にビニールを被覆する雨よけ栽培を導入することで、「展葉2~3枚期」、「開花終期」、「果粒小豆粒大~果粒大豆粒大期」のブドウ晩腐病への殺菌剤の散布を省略(約30%削減)できる。
展葉(てんよう)=たたまれて発芽した葉が開くこと。

ブドウに発生する晩腐病、黒とう病、べと病、さび病などの主要病害に対する防除は、茨城県露地巨峰病害虫防除暦に準じて実施している。

しかし、ブドウ晩腐病は、県内のブドウ主産地において近年多発生傾向にあり、多発生時には十分な防除効果が得られない。

そこで、ブドウ晩腐病に対する耕種的防除法として、雨よけ栽培を導入することで多発生時にも十分な防除効果が得られ、かつ殺菌剤の散布回数を削減できる防除体系を確立する。

 

↑ 私達の同行ガイドが撮ってくれました ↓

 


[成果の内容・特徴]
1.    
甚発生条件下(無処理の発病度が平成16年は55.4、平成17年は81.4)において、雨よけ栽培・殺菌剤削減区では、平成16年の発病度が3.9、防除価が93、平成17年の発病度が3.7、防除価が95を示し、いずれも防除効果が高い。

一方、露地栽培・県防除暦殺菌剤散布区では、平成16年の発病度が20.6、防除価が63、平成17年の発病度が18.4、防除価が77となり、十分な防除効果が得られない。

2.    
雨よけ栽培を導入した場合、現在の茨城県露地巨峰病害虫防除暦における「展葉2~3枚期」、「開花終期」、「果粒小豆粒大期~大豆粒大期」の3回の殺菌剤の散布を省略できる。

これは、「休眠期」から「袋かけ直後」までの期間において、現行の殺菌剤の散布回数の約30%削減(平成16年は36%の削減、平成17年は29%の削減)となる。

 

 

 

 

 


[成果の活用面・留意点]
1.    
雨よけ栽培導入による殺菌剤削減は、黒とう病、べと病、さび病など、主要病害に対しても適用できる。

2.    
ビニール被覆除去直前の防除を徹底するとビニール被覆除去後も病害の発生を抑制できる。

3.    
雨よけ栽培ではうどんこ病の発生が助長されるので、発生が認められたらトリフルミゾール水和剤やイミベンコナゾール水和剤などを散布して初期防除を徹底する。

4.    
アザミウマ類、ハダニ類などの微小害虫の発生に注意し、初期防除を徹底する。

5.    
発芽後、すみやかにビニール被覆を行う。

6.    
果実の着色が悪くなるため、ビニール除去は、袋かけ後に早めに行う。

7.    
雨よけ栽培ではビニールを被覆している期間は施設栽培とみなされるため、マンゼブ剤の開花後の散布はできない。