“ロンドン食の旅”終盤は、料理関係の人でも意外と知らない、
イギリスの『大さじ小さじ物語』について。
…という私も、7年前くらいまでは知らなかったお話です💗
(写真は、ヴィクトリア&アルバート博物館に展示されている英国貴族のテーブル)
それはアメリカのお料理の歴史を取材していたときのこと。
大さじ、小さじ、カップって、レシピに必ず出てくるけれど、
それはどこから来たのだろうと。
ちなみにヨーロッパは、ご存じの通りグラム計算法です(現在は、カップ計量もどちらにも対応していますが)。
そう、イギリスからメイフラワー号🚢に乗ってやってきた入植者たちが、新大陸の食材を目の前にどう料理すればいいのか?インディアンたちが育てているトウモロコシをおいしく食べるにはどうすればいいのか?、家庭料理の指南書📕のような形で出された民俗書の中に、この大さじ小さじカップが使われていたのです。
今や、料理をするときには当たり前のように使うこの計量法ですが、当時、貴族たちの間ではいわゆる料理は存在したものの、一般庶民の間にはほぼありませんでした。
そのため、誰もがわかりやすく料理できるよう、このモノサシが生まれたのです。
となると、大さじ小さじカップは何から来ていると思いますか?
大さじ=テーブルスプーン
小さじ=ティースプーン
カップ=ティーカップ
です。イギリス人の生活の中にあった食器がもとになったのですね。
ヨーロッパなどに行くと、先祖代々受け継がれている食器やカトラリーをよく目にしますが、食器は家族の歴史であるため、新天地を目指しても多くの人が大切に持参したのでしょう。
(写真はロンドンのお料理教室にて。そういえばロンドンのお料理教室では、いわゆる調理器具としての大さじ小さじなどはありませんでした。ふだん使いのスプーンで計量します)
そしてアメリカの大さじ小さじカップ計量法を日本は受け継ぎました。
料理する時によく、「グラムとか言われてもはかるの面倒くさ~い💦」という声は、料理番組など携わっているときでもよく聞かれる声でした(笑)。
それほど日本人になじんでいる計量法なんですよね。
近年、某有名レシピサイトなどで、「大さじ小さじの計量の表記が違ってて、しょっぱくなった!」とか「スーパーで売っている大さじ小さじが、メーカーで微妙に違うからどうすればいいんだ!」などの問い合わせがあるそうです。
でも、この歴史を知れば、その細かすぎる考え方自体が、ナンセンスなものだということに気づくかもしれません💡
ヨーロッパは南のほうをのぞいて、あまり食べ物に恵まれず、新天地を目指し、肥沃な大地を獲得するため大航海しました。
国を捨て、新しい土地で見たこともない食べ物と向き合い、それでもなおその食材たちを使って、どんなふうに料理すればいいのか。
家族を健康にしたい、幸せな未来を作りたいと、家族を日々守るための大きな仕事を任されたのが、女性たちでした。
そしてその中心には、家庭料理があったのです✨
大さじ小さじカップには、こんな物語が秘められていることを知ったら、料理を作らずにはいられなくなるかもしれません(笑)。
イギリスにはそんな歴史があるのだな~と、感慨深い思いで眺めたロンドンの景色でした💛
(写真はバッキンガム宮殿。私が訪れた5月は“ヘンリー王子とメーガン妃のロイヤルウェデイング”の冷めやらぬ熱気でムンムン💕でした)
(写真は、お土産にもらった、ロイヤルウェデングの限定ショートブレッド🍪)