町の価値を高める集合住宅を考える | 建築家 田口知子の日常をつづったブログ
2019-03-01 19:22:45

町の価値を高める集合住宅を考える

テーマ:建築コラム

最近、二つの集合住宅を見学させていただいた。

つばめ舎+スタジオ伝伝さんが企画設計された「欅の音テラス」ともう一つは駒田設計事務所の「西葛西アパートメント2」だ。

 

地域に開き、町の核となる居場所になるような集合住宅として、興味を持ち、拝見させていただいた。

「欅の音テラス」は小さな生業のできる賃貸で、家賃を抑えた作りと、家の一部で小さな生業を持ちつつ暮らせるというアイデアに富んだ住宅。

欅の音テラス-リビングとデッキテラスに面した開かれた住居↑

 

関前に広いデッキテラスがあり、設計者でもあるつばめ舎さんメンバーが定期的にマルシェを開催するという。そうか、設計者でもそんな能力のある方もいるのか、と感心した。スタジオ伝伝の藤沢さんも企画から入居者の選定まで、敏腕プロヂューサー力を発揮され、個性的な生業を持つ人が集まって満室稼働している。人の力が「まちの居場所」を作る、という好例だ。

 

西葛西アパートメントは、1階に地域でも有名なおいしいパン屋さんが入って、西葛西アパートメント12の間の路地を「7丁目PLACE」と名付けて町に開いた明るいデッキテラスを作っている。

西葛西アパートメント1と2の間にある「7丁目PLACE」の路地空間

毎日パンのにおいが上の住居テラスまで上がってきて、子供が自由に遊ぶ声が聞こえ、犬をつれた散歩がてらの人がくつろいでいる。こんな場所が一階にあったら1人暮らしも寂しくないな、と感じる明るい賃貸だ。最上階の広い住居にはこのパン家さんのご家族が住まわれているそう。住むことと働くことが一体になった幸せな集合住宅の典型を見た。

7丁目PLACEにお散歩に来た犬がリードにつながれて休憩中だ。

 

「生活世界を取り戻すこと」という駒田さんの言葉が耳に残った。建築家であり、オーナーであり、企画、設計、管理まで手がけられている駒田さん。駒田さんの設計事務所も2階にあり、その一部がコワーキングスペースとして貸し出しているとのこと。

生活と一体になっている設計事務所はよくある形だが、地域にアクティブに開いた場所として人を集めるのは、並大抵の企画力ではない。

つばめ舎さんのマルシェも素晴らしいが、西葛西アパートメントのパン屋さんを入れる、ということと、町に開く場所を並行して作ることで開かれた住まい、という抽象的な概念を具体化する方法、自然に人が集まる仕掛けが秀逸なアイデアだと感心した。

このような場所があることで、町の環境がなんとなく明るく良い感じになっていく、そんな場所を作れることは建築の夢なのだ。そのしくみとして、本当に素晴らしい事例を拝見できた。お話しを聞かせてくださった皆様、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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