「太子堂8人家族の家」1か月後の暮らし | 建築家 田口知子の日常をつづったブログ

「太子堂8人家族の家」1か月後の暮らし

先日、新建築の取材で、「太子堂の8人家族の家」に1か月ぶりに訪問しました。


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玄関先には、お母様が植えられたさまざまな花が色とりどりに植えられ、シンボルツリーのまわりにもタマリュウが丁寧に植栽されていました。



ご両親世帯が1階で、お二人のお嬢様の家族2世帯が左右に分かれて2階に住まわれています。

 お嬢様の2世帯のお子様は、それぞれひとりづつ、小学生の男の子と女の子。いとこ同士で一緒に宿題をやったり遊んだりする子供書斎が、共用玄関ホールの中間階に配置してあります。「子供はみなに見守られて育つ」をテーマにしています。


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核家族の生活の課題をふまえ、子育てには、今の時代は、周囲のさまざまな大人が皆でかかわり、見守りつつ育てることが見直されていると思います。今回の訪問で、3世帯の家族がそれぞれに楽しそうに、のびのびと暮らしている様子を拝見でき、とてもうれしく思いました。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 玄関から子供書斎を見上げると視線が会います。


建て主の長姉Yさんいわく「子供が外遊びに行かないで、家の中の子供書斎で遊ぶ時間が増えたんですよ。家の中で遊ぶなんて、前はそんなことなかったんですけど。

あと、朝は鳥の声で目覚めて、一日、緑や空の変化を楽しみながら過ごします。とても明るいので、日が沈むまでは電気をつけない。そして夜は9時、10時には眠ってしまうという、とても健康的な毎日です。このままTVを買わなくても良いかもしれないと思ってしまいます。休日は、真ん中のバルコニーで朝ごはんを食べ、子供の友達が来たら大喜びでかくれんぼしたり、走り回って、まるで子供の城みたい、と言われました。」


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ああ、こういう瞬間、自分はこの仕事をやってきてよかった、と心から思います。家族のつながり、自然を感じながら暮らすこと、子供が元気に育つこと、さまざまな自分の思いが凝縮して、建築の中にちりばめられています。

建築家がつくれるのは、家のほんの一部です。本来の大切な部分は、住まう人によってゆっくりと形づくられていくものだと思います。建築は、そのような舞台装置として、周辺の自然と呼応しつつ、環境として、ほんの少しユーモアも取り混ぜてデザインできればよいな、と思っています。


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今回、そのような仕事をさせていただいたことをとても幸せに感じます。

これからのご家族の暮らしが、幸せで健やかな毎日であることを祈っています。