2015-07-20 17:41:20

祖師谷大蔵の2世帯住宅 一年点検に伺いました。

テーマ:建築のしごと
昨年竣工した祖師谷の住宅、一年点検にお伺いしました。
庭の樹木がだいぶ増えて、芝生も植えられて、とてもきれいに整えておられました。



立派な植栽は、すべてご主人さまが手づから植えられたという話を聞き驚きました。というのも、設計当初、建て主さんは、蚊が発生するから、古い植栽も全部撤去しても良い、とおっしゃっていたくらいなのですから・・。



そうは言っても、敷地が広く、ゆとりのある家なので、中庭を囲むコの字型の住宅として、テラス空間を中心に内外がつながったデザインにしましょう、と、中庭テラスにはタイルを張って、管理しやすい庭をつくりました。
そこには、テーブルや大型の日傘、ガス式のバーベキューセットなども購入あれ、アウトドアライフを楽しんでおられる様子です。



「快適な住まいになってよかったですね」と言って手放しで喜びたいところですが、実は「冬のリビングが寒いんです」という感想をいただいてしまいました。

この家の1階には床の全面に温水式蓄熱床暖房を埋設しており、太陽光パネルの大容量を載せているおかげで、ランニングコストは限りなくゼロに近い住宅です。
床暖房によって蓄熱された熱で、家全体がいつでも20度前後を保てる、という想定でした。断熱材は外断熱に加え内断熱にグラスウールも充填し、最高位の断熱性能を確保したはず・・。

しかし、今回のように中庭形式で外皮面積が多く、窓も多く、アルミサッシである場合、熱損失は床暖房の蓄熱床暖では十分に確保できない可能性があるということを感じました。熱環境については厳密にμ値の計算の必要性を実感します。

同時に、寒い、暑い、の感覚は、個人差や情緒的なものも影響します。厳密に検証するのは実は難しいと思います。
今まで小さい部屋割で部屋ごとに暖房して暮らしに慣れてしまった方は、小さい部屋の暖かさと同じ環境を期待してしまい、大空間で20度という空間、吹き抜けを循環する風や2階の窓からの冷気などにが対流するような空間は十分に暖かく感じられない=「寒い」という感想を持たれる可能性があるということです。



住環境に対する人の感受性は、数字だけでは計れない固有なものです。外部と連続する開放的な家、内部空間のつながり、といった性質が持つ魅力や効果は、住んでみないとわからないですし、そのことの影響は時間がたたないと判断できない場合もあります。
良いところと、欠点は、いつも表裏一体、同時存在するものである、というのは、人間でも建築でも同じこと。
ある意味、完璧なものは創れない、ということが建築の必然でもあります。それでも、あえて何かを優先して、特徴を持った建築をつくることは、その場所に生きる人たちに、力や勇気、喜びを与えると思います。そのような建築をつくりたいと思う。

大切なことは何か、優先することは何か、真に共有できるよう、コミュニケーションを重ねることは、今後も仕事をするうえでとても大切なことだと思いました。
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2015-07-10 22:45:38

SUBURBAN ECOLOGY 郊外生態学~郊外住宅地の再編をかんがえる

テーマ:日々のこと
今日は東大の新領域創成学科のスタジオ課題の最終発表会で、柏の葉キャンパスのUDCKに行って来ました。




町が形成されるのに長い時間がかかる場合、自然の生態系と同じように「環境にそって徐々に形作られ、増殖する」という集落のような形が可能になる。そういった集落の形態には、普遍的な美しさ、懐かしさを感じさせる力がある。

一方、日本の郊外住宅地は、ある時期一気に開発された、大規模で均質な宅地によって構成され、町並みには生態学的な痕跡は失われている。 土地の条件、地勢、歴史を無視した、大きく道路で区画割りを行い、均質に住宅を並べていく手法は、人間が自然とともに生きる動物である、という意識も失わせる。

このような均質な郊外住宅地が、高齢化、少子化の中で、縮小しなくてはならないとき、何を考え、どうモデル化していけばよいのか?
分析、調査まではいろいろなできるのだが、実際、何をつくるか、どう介入するか、という決断するのはとても難しい。建築の設計課題はいつもそこを鍛えられるのだ。

 町を考えるとき、昔の地図から江戸時代の水系を探してよみがえらせる人、古い谷津の地形を復活させる人、陶芸拠点と地形に沿った登り窯を作る人.



いろいろなアイデアの中で、印象的だったのは最初から最後まで「墓地」にこだわった学生だった。



今の町の中には「死」を連想させるものを排除し、見ないようにする構造がある。そのことがもち、人間性を疎外し自分たちの根っこを否定してしまうような価値観につながっているのではないか?死者や宗教、墓を、もう少し町の中に、生活の一部として身近に親しむ価値観は、これからの街を作るうえで大切な指針を与えてくれるかもしれない、というのは新しい発見だった。


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