式が行われる前にホテルのロビーで


ひと騒動あった。

ロビーに集まったサシャの会社の

企画部の者、重役達、総務部の者、

それなりに着飾ってきたが、

室長のミョンファとその仲間数人だけは

見下したように、スリムのジーンズに

水色のカットソーや、ブラウスに

スカート、会社や遊びに行く様な

服装だった。


警備の者がやって来た。


失礼ですが?こちらの方々は?


な、何よ?


チャ室長!失礼だぞ!


はい…



支配人がやって来た。


新婦様の会社の方ですか?



はい!そうです!



親族の方から、ドレスも買えない方も

いるだろうけど、お通しするようにと

言われております。当ホテルには、

ドレスコードがある事も知らない

だろうとのご配慮です。

フロントにて、祝いの品を承って

おります。


チャ・ミョンファ達は、赤っ恥を

かかされた。

勿論、祝い金も包んでない!


社長に咎められた!


君達は、何様なんだ!

今日の式の責任者は、AN機器、

アン・テクノロジーの社長だ!



えっ?そ、そんな…


君達の処罰は、後で言い渡す!



祝い金は、受け取らないとの事です。

何か渡す物があれば、

フロントで預かります。



祝い金を受け取らないとは?



さあ?



きっと、料理をケチったのよ!



そうよ!恥ずかしい程、質素な

披露宴だから、祝い金はいらない

とか、見栄張ってるのよ!


コソコソと話すミョンファ側の

女性社員達。



披露宴会場でウェルカムドリンクを

飲みながら、お待ち下さい。

席順は、こちらです。


ちょっ、ちょっと待って下さい!

この方は、議員では?



そうでございます。

先程から、少し無礼な方々が

おいでですが、警視総監も、

弁護士会会長も、医師会会長、

名の知れた医師達、

聞き覚えのある

会社社長も沢山来ております。

ご無礼がないように。



えっ?彼女にそんな人脈が

あったとは、知りませんでした。


報道関係者も来ています!


ど、どういう事ですか?


ご新婦様は、当ホテルのオーナー

であり、代表のカン・チュオン様と

ご結婚されました。

さあ、披露宴会場へ急いで下さい!



な、なんですって!

なぜ、あの女が?


あの女とは、先程から失礼では

ありませんか?

代表の夫人でございます!



呆然としながら、披露宴会場に

皆んな入っていった。


テレビで見た事がある人ばかりが

其処に居た。



か、会場を間違ったのでは

ないのですか?


いいから、座りなさい!

社長のシジンは、ことごとく醜い言葉を

放つ企画部の傲慢さに苛立った。


新郎新婦が歩くであろう所は、

少し高くなっており、ひな壇へと

続いていた。


式が終わったのか、親族達が、

ぞろぞろと入って来て、社員達の

近くの円卓に座った。



見て!あの人、この前テレビに

出てた、このホテルのもう一人の

代表じゃない?すっごいイケメンだけど

隣りに居るのが、奥さんの

ユ・ウンスでしょ?綺麗な人…

チーフとどんな関係なの?



本当に此処のもう一人の代表と

結婚したの?



アン・ジンがマイクを取った。


皆様、お忙しい所、おこし下さり

ありがとうございます。

私は、新郎の友人であり、

新郎は其処にいらっしゃる

チェ・ヨン氏と並び、我が社の

筆頭株主です!

サシャさんとカン・チュオン氏は、

古くからの許嫁同士でした。

本日、目出度く夫婦となるのを

見届けました。

さあ、新郎新婦の入場です。大きな

拍手でお迎え下さい!


扉が開くと、豪華な衣装を着た、

二人が入ってきた。その前に、

ちょこんと小さな可愛い男の子が

花籠を持っていた。



サシャは、ドレスに散りばめられた

宝石に負けない位キラキラと美しく、

チュオンは、

白のタキシードがよく似合う

かなりのイケメンぶりを発揮した。



大喝采の中、腕を組んで、

歩いてきた。



歩けるようになったの?


本当なの?この結婚…


花嫁の前を天使の羽が付いた衣装を

着たレンがバラの花びらを

小さな手で、エイッて声を出して

まいていた。



可愛い〜!誰?あの子?



フラワーボーイは、

チェ・ヨン氏と開京大学病院の

ユ・ウンス教授の愛息子の

レンちゃんです!



きゃあ~、可愛い!レンちゃ〜ん!


ユ教授〜ステキ〜!


サシャさーん!綺麗よ〜!


チュオンさーん!こっち向いて〜!


ヨン様〜!


シネ達病院側の女性陣は、

歓喜の声をあげた。



ひな壇に着く前にお花が余って

しまったレン。


チュオンしゃん!おねーしゃん!


ん?どうした?レンちゃん?


かがんだ二人にお花に光を添えて、

ふぁ~っとかけた。



きゃあ~〜!ステキ〜!


ステキ過ぎる演出だわ〜!

レンの力を少し入れたようだ。



おい!ヨン!やっぱり、レンちゃん

くれ!



駄目よ!


駄目だ!自分で作れ!



しょです!レンわぁ、

とおしゃまとかあしゃまの

まにゃむしゅこでしゅ!



カワイイ〜〜!



な、な、なんなの?あの可愛さは?



知らないです!

天使みたいです…荒んだ心が

洗われるようです!


サシャの会社の者達もレンに

魅せられた。



いや〜、レンちゃんは可愛いですね!

ユ教授?従姉妹のサシャさんに

可愛い子供の作り方を教えて

あげて下さいね!


ちょっと、ジンさん!!


会場がドッとわいた。



えっ?チーフの従姉妹って、

あのユ・ウンス教授だったの?

まずいわ…


な、何がまずいのよ?



室長!知らないんですか?

ユ教授は、瀕死のアン社長を

助けた事で有名ですし、今でも

手術して欲しいって人が世界中に

いるとか…アン社長に目をつけられたら

働く所がなくなるわ!


独身のイケメンで有名なアン社長を

私が落としたら?



ミョンファ!!


何よ!スンギなんかただの捨て駒よ!



おっと!何か揉め事ですか?

この場に相応しくないですね?

会場を間違えましたか?



す、すみません!!

ほら!謝れ!


社長のシジンも見の置き場がない。



すみませんでした…



新郎新婦がひな壇に着き、

向き直り、一礼した。



拍手で湧き上がった。



この度は、誠におめでとうございます!

チュオン代表からひと言

お願い致します!



俺とサーシャ…ああ、サシャの呼び名だ!

俺だけが呼べる名だ!

昔から一緒になる運命だった!

ヨンと今の地位を築くまで、

少し離れてる間に歩けなくなった!

幸い治ったが、

仕事も真面目にしていたはずだ!

そうだろ?ソン・シジン?




は、はい!



何故だ?何故俺のサーシャが

蔑まられた?

俺は、根に持つ男だ!

上官が部下を育てず、貶めるのは、

罪にならないのか?

(これは、ジンとヨンとチュオンが

考えた策だ。)



立派な犯罪ですね!

イジメやパワハラは、今は我々警察も

徹底的に取り組んでいます!



その通りです!私達弁護士も、

女性被害者の味方です!

加害者は、反省もせず、まるで

自分が一番偉いのだと錯覚する

傾向がみられます!そういった者は、

悪です!



いるのよね〜!そう言う妬み女!


ほんと、信じられないわ!

身の程知らずって、恥ずかしいわ!


ユ教授の従姉妹のサシャさんをイジメた

なんて、ヨン様とチュオン様の財力を

知らないのかしら?この国で

一番の大富豪よ?潰されるわよ!


病院側の女性陣だ。


サシャは、真面目で仕事のできる

同期としても誇れる人よ!

変な噂を流したのは、室長だって

聞いたわ!


そうよ!私はミョンファと同期だけど

仕事もする気がないし、毎晩

遊び歩いてるのに、どうして室長に

なれたのか、不思議だったわ!

でも、見たのよ!チ部長といかがわしい

ホテルに入って行くのを!

部長の後押しで室長になったんだと

わかったわ!


総務部の女性達だ。



この1年で、優秀な部下を失ったせいで、

JAV社の株価も下がっていったのは、

そのせいだったとは、誠に遺憾ですな!



我が社は、そういった事が無いよう、

徹底してますよ!パワハラやイジメは、

犯罪ですからね!


他社社長達の言葉だ。




そういう事だ!俺の妻に敬意をはらえ!

お前達を潰す事等、簡単な事だ!

だが、今日をもって、サーシャは、

会社を辞めさせる!サーシャには、

一生贅沢させて、俺のそばに置く!


うんうん!私も贅沢三昧させて

貰ってるわ!


当たり前だぞ?

男は愛する者の為なら何だってできる!

ウンスとレンには、例え金がない

男だったとしても、一生贅沢させる!



皆様にも誓う!連理之枝の如く

俺とサーシャは、一つの枝になり

幸せになります!



チュオン!幸せになれ!


おお!


拍手喝采だった!



さあ、皆さん!存分に楽しんで下さい!



軽快な音楽と共に現れたのが、

今は世界でも有名なグループだった。

歌って踊って、宴会の幕が開いた。


出てくる料理は、最強シェフが

腕によりをかけたフルコースだ。


ブルブルと手が震える企画部の面々。

総務部の女子達は、笑顔で、

美味しいと料理を堪能した。

彼女達は、サシャを尊敬していたからだ。



お食事の途中ですが、此処で

花嫁のブーケトスを行います!


サシャが後ろ向きで投げたブーケは

高々と上がり、シネの手に

ストンと落ちた。



きゃあ~!次は、シネ先生よ!


お相手は、誰かしら?



私が立候補します!

シネ先生!デートの約束は、まだ

有効ですよね?


はい!



きゃあ~〜〜!


うわぁ~、ジンさんったら、

やっぱり、シネ先生だったの?



まあ…そういう事です!



残念だったな?ミョンファ!

お前こそ、捨て駒だ!


スンギ…


一部を除いて、料理に舌鼓を打ち、

多くの人脈を作り、大盛り上がりの

披露宴だった。



帰り際、シネがウンスの所に来た。


ユ教授、明日、病院へ来て下さい。



あっ、がん検診の結果?

まさか…



がん検診は、異常がありませんでした。

昔の話を聞き、抗生剤は、打ったと

聞きましたが、明日、詳しく

調べてみましょう。炎症反応は、

なかったと聞きましたが、

念の為に、もう一本、打って

おきましょう。



ああ、宜しく頼みます!

ウンスの身体には、三種の毒が

入ったので、念には念を。


わかったわ!明日、行くわ!

それより、ジンさんでいいの?



なんですか?俺でいいのとは?


ジンさんがいいんです!


シ、シネ先生!


アンジェにも見習って欲しいな!


あっ、ところで、アンジェさんの

奥さんって、誰なの?



えっ?おそらく将軍の屋敷に居ました。

綺麗な名前ですよ?


伊月(イ・ウォル)でした。


マジ?

マジか?


ちょっと、無理矢理とか、

やめて下さいよ?


わかってるわよ!静かに見守るわ!


将軍!お願いしましたよ。

ユ先生は、何かやりそうです。


ああ、楽しみだ!


将軍!!


チュオンとサーシャと両親、

ウンスの両親も来賓の方々を見送った。



シジン…本当にがっかりだったよ!

近くの席に居たから、

サシャをイジメた者が直ぐにわかった!


先生…なんとお詫びすれば…

私は…何も知らずに…社長の資格が

無いも同然です…



見誤るな!長たる者ならば、

部下を把握するのは、当たり前の事だ!

会社は潰さないが、その女達は、

罰を受ける事になるだろう!


チュオン?もういいわよ!

私は、今、幸せだもの。



俺が許せないんだ!


申し訳ございませんでした!

この者達は、解雇に値する罪を

犯しました!

お前達も謝れ!



すみませんでした…

ミョンファとその仲間は青ざめ、

肩を落として帰って行った。





チュオンとサシャは、着替えて

部屋へ行った。


サーシャ?腹が減っただろ?

俺達は、あまり食べれなかったから。


うん。


直ぐに電話がなった。


代表!お食事をお持ちします!


ああ、頼む!以心伝心だな?


新郎新婦は、あまり食べれないと

心得ております!


運んで貰った料理を食べて、

今日の話をした。


夜になり、それぞれ、お風呂に

入った。


二人の初夜だ。


チュオンは、サーシャの手を取り

胸にあてた。



わかるか?ドキドキとうるさくて、

サーシャに聞こえるのではないかと

思うと、更にドキドキとしてる。


うん…サーシャは、チュオンの手を

取り、柔らかな胸に手を置いた。


私もよ…わかる?


いや…柔らかい…


二人の唇が重なり、チュオンは

サーシャを優しくベッドに

寝かせたのだった。





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やっと仕事終わりました。

アメ限?書く体力がなかったので、

まあ、事後からです😂