何食わぬ顔でパーティー会場に

戻ったヨンとウンス。


「ねえ?雷攻って凄いのね?」


「前はドラゴンソードに少し気を込め

戦っていたが、使い過ぎるとウンスと

同じく、三日は寝ていたな。

ウンスと夜を共にするようになってから

力が漲ってきたんだ。」


「あっ!私もそうなの。ヨンと結ばれて

から、力が溢れてくるの。」


「ところで、あの聖女の話は?」


「初めて聞いた話よ?私は努力して

魔法陣を完成させたのよ?」


「しかし、願った事が叶うと聞いた。

まあ、どちらにしても、この国は、

もっと強くなり、大国になるであろう。」


「あまり忙しくならないでね?」


「いや…その…なかなか言い出せなかった

のだが、3日後に隣国だった領地に出向かわ

なければならなくなった。

魔獣が出始めたと報告を受けたんだ。

少しの間、留守にするが、それが

済んだら、二人の時間を多くする!

新婚旅行にもまだ行ってないしな?」


「魔獣ですって!大丈夫なの?」

「ああ、今までも何度か倒してきた。

今回はゴブリンとザクロスらしい。

行く前にユソーウルの者達の裁きも

しなければな?」


「うん。わかったわ。もしも、

危険だと思ったら逃げてね?」


「フッ…逃げるのも有りだな?

だが、黒の騎士団は、そんなに弱くないぞ?」


「私も行っちゃダメ?治療する人が

必要でしょ?」


「ダメだ!」

「どうして?自分の身は守れるわ!」

「ザクロスには、魔法は効かないんだ!」

「そうなの?じゃあ、足手まといよね…」

「直ぐに片付けて、戻ってくるから、

心配するな!」


「うん…」


パーティー会場は、ご馳走に舌鼓をうち

ダンスを踊り、他国間同士の交流も

深めていた。


そしてヨンには、もう一つ懸念する事

があった。

少し遠い東の大国がサンダー大帝国を

煙たがっていると言う事だ。

もしも、ウンスが聖女だと噂が広まれば

必ず手に入れようとするだろう。

聖女とは国を護る為にその力を発揮する

昔から伝わる神の賜物だ。


それがソンゲール帝国に伝われば、

あの国のイシャル皇子が黙っては

いないであろう。ウンスが狙われる。

戦争になれば、サンダー大帝国には、

敵わないだろうが、どんな汚い手でも

使うと聞いていた。


華やかなパーティーが終わり、

来客を見送った後、ヨンは、ビンと

マボルに目で合図した。


「ウンス?兄上の結婚式の事で、

叔父上と兄上と話してから、部屋に

戻る!着替えて、風呂に浸かって、

ピカピカに磨いてろよ?」


「もお〜、ヨンったら!」


メイド達に連れられて行くのを見ると

雷神殿の隠し部屋へと入った。


「どうした?ヨン?ユソーウルが

反乱でも起こしたのか?」


「いや…ユソーウルは落とし、王宮も

壊滅させてきました…。

神殿で大神官に言われたの

だけど…ウンスは聖女だ!」


「なんだってぇ〜!!」


「それが本当なら、敵対国の

ソンゲールが動くと言う事か?」


「兄上…ウンスは聖女なんて、初めて

聞いたと言ってましたが、目の前で

怪我をしたベトルの傷を治した。

大神官には、明日には雨が降ると

言ってたんだ。腕に星型の刻印が

現れたが、本人は、叩かれた時の

あざの痕だと言ってたがそうは

見えなかったんだ。眩い光りを放った!」


「だったら!先に潰せばいいじゃない!」


「ウ、ウンス!!」

「エ、エルナ!!」


「何だか険しい顔をしていたから、

変だと思ったのよ!こんな所に

隠し部屋があったのね?」


「姫?潰すとは?あの国に行くのも

大軍を連れて行くとなると

3週間程かかるんだよ?」


「私が聖女で、願った事が叶うなら、

そのソンゲールが衰退する事を願うわ!

そして、ヨンが魔獣退治から戻ったら、

時空間魔法で、その国の様子を

見に行けばいいわ!」


「大した皇后を貰ったな?ヨン!」


「叔父上、俺には過ぎた妻です!」


「心配するな!交流船の出入りも

強化する!」


「皇宮も護りを固める!魔獣退治は

最小限に抑えろ!お前なら簡単だろ?」


「兄上…」


「だけど…もしも…この国に迷惑が

かかるなら…私と離婚して…」


「ウンス!!何を言ってるんだ!!

俺がウンスを守れない程、頼りない男に

見えるか?やっと…やっと妻にできた

心底惚れた女を手放すと思ってるのか?」


「だって…聖女だなんて…知らないし…

迷惑がかかる…グスッ」


「ウンス様が離縁したら、私も

ビン様と別れます…」


「ちょ、ちょっと待て!エルナ!」


「私達は、二人で生きて来ました。

見放されるのは、慣れてます!

それに、ウンス様は聖女じゃありません!

もっともっと凄いお方です!」


「もっと凄いとは?」


「離れの塔にいる時…矢で射られて、

息絶えた子ウサギを生き返らせたのです!

私は、神かと思いました!聖女様の

話は聞いた事がありますが、どれも、

ウンス様に劣ります!それは、ウンス様が

毎日、魔法陣の研究を必死にしていた

結果だと思ってます。

もしも、聖女様なら他国の者は、

喉から手が出る程、欲しがるでしょう。

そんな騒動に巻き込まれのなら、

ウンス様の時空間魔法で、異世界で

二人で暮らした方が良いかと思います。」


「エルナ!それは、最終手段だ!」


「お父様!」


「皇后に危険が迫った時は、暫く、

ヨンと二人で異世界に行かせる!

離縁だとか、別れるなんて、駄目だ!

それに、この国は強い!騎士団が

黙ってないさ。」


「ウンス?頼む!離婚等という言葉は

二度と言わないでくれ!たぶん、

幼い時から虐げられてきた環境で

ウンスが、そう思ってしまったのは、

無理もないが、俺にはウンスが必要だ!」


「ヨン…グスッグスッ」


「叔父上!兄上!すまない!

ウンスを部屋に連れて行く!」


「ああ、それがいい!」

ヨンはウンスを抱き上げると、

寝室へと向かった。


「エルナもだ!ビン!二人でちゃんと

話せ!今日は、帰さなくていい!」


「わかってます!叔父上!」


ビンは、エルナの手を引いて、

離宮へと向かった。





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いきなり聖女と言われて、

戸惑うのはウンスですよね?

ヨン!ちゃんと話してね。

ジークフリード公爵😂

今日は家に帰さなくていいって!

そういう事?💗


今から仕事です。いってきま〜す💨