居間で話してると、

父親が思い出したように、

「そうだ!ヨン君からもらった
高麗青磁はとんでもない金額
だった。だから、遊びに来た時に
使えるように寝室の金庫に
ヨン君のお金が入ってるから、
ここにいる間は、それを使いなさい!
それと、知らぬ間に金塊まで入れて
くれただろ?」

「あっ!お父さん?それは、
ちゃんと使って下さい。」

「使い切れないお金があるが、
家を改築したぐらいで、どうも
貧乏性が抜けなくて…。」

「現代では、お金がかかると
ウンスに聞いた事があります。
もっと贅沢して下さい。婿が
親孝行しているのです。」

「アッパ?お金は生きてるうちに
使うものよ。ヨンの気持ちなら
尚更よ。」

「そうか?わかった!明日は子供達を
遊園地に連れて行くかな?それと、
今日はソウルホテルの高級寿司店に
予約を入れてあるから、
ヨン君と言っておいで。」

「そうよ?ウンス?もう少ししたら、
あまり食べれなくなるわ。だから
今日は美味しいものを食べて、
泊まってらっしゃい。予約してあるの
夕方5時にタクシーが来るから、
綺麗にして行きなさい。」

ウンスもヨンも有り難かった。

「うん!ありがとう!ヨンが
ビックリするくらい綺麗にする。
あっ!でもこのお腹じゃね。」

「マタニティーの素敵なのを
買っておいてあるわ。ヨンさんにも
素敵な服を買ってあるわ。」

「もうーっ!自分達にお金を
使わないで、私達に使ったの?」

「寝室の金庫以上あるから、
心配しないの。番号は、
誕生日よ。」

寝室に行って金庫を開けると
溢れかえるほどのお金が
入っていた!

ヨンがクスクス笑っている。
「どうしたの?」
「いや、昔を思い出した。ウンスを
連れて行って直ぐに王に貰ったとか
で青磁の壺を大事そうに抱えて
おったであろう?そんなに価値が
あったのだな?」
「あっ!そんな事もあったわね。
だって600年以上も前の高麗青磁なら
博物館行きの値段よ。ああ、だから
こんなにお金が入っているのね。」

ウンスは出かけるしたくをした。
ヨンの髪の毛も整えて、クローゼットを
開けたら…高級ブランドのスーツやら
ブレザーやらジャケットやらパンツやら
ワイシャツやらカッターシャツ等が
入っていた。
ウンスは、ヨンのコーディネートを
始めた。
紺色のブレザーにベージュのパンツ、
中には水色のカッターシャツを
選んで着せると…
「キャー素敵!素敵!」と頬を包んで
チュッした。
ウンスも白地に大きめの薔薇の花の
模様が散りばめられた高級ブランドの
マタニティーを来て、化粧も派手過ぎ
ないようにした。

それを見たヨンが
ウンスを囲った。
「ちと短くないか?」
「あら?これくらい大丈夫よ。」
「美しゅうて誰にも見せたくない!」
「それはこっちのセリフよ!素敵
過ぎてみせたくないわ。」

二人で下に降りると、
「まあ!なんてお似合いなの?
ウンス?あなた綺麗になったわね。」

「いやいや、ヨン君はイケメンだ!」

プンが
「ははしゃま。綺麗。」と言う。
バンは
「おおきくなったらははしゃまと
こんいんしましゆ」
「残念だなバン?母様は父様のものだ!」
ぷーっと膨れる顔がウンスに似てる。
クスッと笑って、

「いい子にできるか?」
「あい!おじじしゃまとおばばしゃまと
あした、いいところにいきましゅ」
「そうか!スンとルンも頼むぞ?」
「あんじゅるな」と言われ、
みんなが笑う。

二人は迎えのタクシーに乗った。
「驚く事がたくさんあるけど…
堂々としてろ!」とウンスが言う。

「ああ、最初に来た時に充分驚いた
から、色々楽しみだ。」
「有名な日本のお寿司屋さんだから
ヨンも気にいると思うわ」
「寿司とは?」
「行けばわかるわ!」
ホテルに着くと受付に行き
鍵をもらった。
部屋には行かず、寿司屋に直行だ。
ヨンは宝物を守るように
ウンスを抱き寄せる。
イケメンと美しい妊婦に目が行く。

寿司店に入ると

カウンターに、座り、
「おまかせで、たくさん握って
下さい」と言う。
「ヨンは海釣りした事ある?」
「海かぁ?一度あったかな?」
最初に出されたのが
鯛だった。 
皿に醤油を入れると、
「塩でも美味しいですよ」と言われた。
ウンスは醤油の方が好きなので、
醤油を少しつけて口に入れた。
ヨンも真似してみる。
「美味しい〜」
「美味いな!」と微笑む。
「ヨン?今の鯛よ?」
「鯛とな?釣った事あるぞ?
こう言う食べ方があるんだな?」
「大将、二人共大食いだから
宜しくね。」と言うと次々と出される。

パクパク食べるウンスを見て、
「そんなに食べて大丈夫か?」
「あら?お寿司なら50個は簡単よ」
店主がギョッとする。
言った通り食べた。
ヨンも美味いと言って食べた。
「うーん、もうお腹いっぱい」と
お茶を飲んでると
カップルが入ってきた。
「ここは、韓国一高級で美味しい
ですよ。」と韓国一を強調する
男だった。
「ああいう男ってどこにでも
いるのね」とヨンに耳打ちすると
その男と目が会った。
ん?どっかで見た顔だけど?

「ウンス!ウンスか?アメリカから
帰ってきたのか?綺麗になって
見違えたよ。」
誰だっけ?あっ!先輩?
「あの、先輩ですか?」
「は?忘れたのか?アン・ジェウクだ」
「ああ、お久しぶり。ヨン?行こうか?」
「待てよ!昔は俺の事を好きだっただろ」
「若い頃は誰でも過ちはあるわ。」
そして、ようやくヨンに目がいく。
誰だ?このイケメンは?
ウンスが
「あっ!私の夫よ!」
「なんだって!いつ結婚した!」
「お前に関係ないだろ?」ギロっと
睨むと怯む。
「いくぞ!ウンス?」と肩を抱き
立たせるとウンスのお腹が大きい事に
気づくアン・ジェウク。
「うん!美味しかったね」と極上の
笑みを見せる。ヨンは「ああ」と言って
人目も気にせずくちづけた。
「最高に美味かった!」と言い
二人仲良く出て行った。
店主や従業員が
「いや〜気持ちいい位の食べっぷり
のお似合いの二人だったなぁ」と
話している。

プライドがズタズタのアン・ジェウク。
連れの女をそっちのけで、
跡をつけた。
ヨンは気付いていた。
ウンスの肩を抱き、お腹を撫でる。
ポンポンと動く。
「元気だな?」
「ウフフヨンに似たのよ?」
「そうかぁ?暴れん坊はウンスだろ?」
二人は仲良くエレベーターに乗り、
部屋へむかった。

暴れん坊だと?地味で大人しい女だった
あんなに綺麗になるなんて。
ジェウクは歯をギリギリとさせて
エレベーターが止まった階を
見ていた。

諦めの悪い男だ。


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悲運な男アン・ジェウク!
ここでも登場!

久々の二人きりの夜です。
こちらも久々にアメ限です。

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