わたしの場合は、かなり年齢が行ってからのトランス&SRSなので、特殊なケースだと思います。

 

もしかしたら、特殊なケースにもそれなりの意味があるかもしれないので、手術することや術式を決めた経緯と今の心境を書いておきますね。

 

わたしもそもそもは理想的な状態を目指したかったというか、手術までするのなら、完全にトランスして戸籍も変更して(できれば埋没して)暮らしたかったし、そういう未来像にとらわれていた時期がありました。

 

実際、年齢が若いうちにトランスをするなら、できる限り理想的な状態を目指した方が良い気がする。未来の選択肢が広がるから。だから、一般論としては造膣無しの手術や、除睾にも(膣を作る材料が不足したり術式に制限が出来てしまうので)わたしは賛成じゃなかったりします。

 

でも。それまでの生活や仕事や付き合いや財産・借金状況など、人それぞれに事情が大きく違います。SRSはゴールじゃなくて、スタートにしか過ぎません。だから、わたしは完璧を求めたり理想に過度にこだわるのを止めました。

 

わたしは幸いにも、やりがいを感じる、社会的にも意義のある仕事をすることが出来ています。ただ、在職トランスを押し通すならグループ会社内で内勤の部署に異動になってしまい、職種としても未経験の仕事をすることになるでしょう。それを嫌って転職をしようにも、人前に出る今と同じ職種は難しいでしょうし、そもそも年齢的に転職自体がかなり難しいでしょう。

 

だから、在職トランスにはこだわらないことにしました。実は先日、手術のための有給を取るときに役員の面談があって、「雰囲気が大きく変わるなら内勤の部署への異動も…」的な話もあったんですが(バレバレだってことね)、トランスって手術して一発OKみたいなもんじゃないでしょ? 手術したって雰囲気なんか変わらないよ。それで以前は男性として仕事していた本社に突然 女性として戻るとか、他の女性社員との関係も作ってないのに出来るわけない(笑)

 

女性らしい声だって、まだまだ全然出せてないです。

 

だけれども、わたしの年齢でこういったことを全てクリアしてから手術するなら、いつになったら出来るんでしょう。年齢的に諦めるしかないかなぁ、と思っていました。でも、それで本当に良いの?

 

今は自分でいろいろ動けるから良いとしても、将来高齢になって自分のことが自分では出来ない時が来るかもしれない。医療や介護の現場で女性らしい配慮をしてもらうには、戸籍が変わっていないときっと辛い思いをする。

 

そういう意味でも、たとえ理想とした景色とは違っていても、少しずつでも望んでいる方向に進んで行きたいと思いました。

 

造膣無しの術式を選んでいるのは、半分は妥協です。今の仕事を続けながら解雇の口実を会社に与えないようにって考えると、ダイレーションの期間をちゃんと取るのが難しいから、それで精一杯かなって予想していました。正直、手術に関係して後悔するかもしれないって思ってるのは造膣無しに決めたことかな…

 

ただ、上手く言えないし全然 ちゃんと理由になってないんだけど、膣は要らないって決めたもう半分の理由は、ウチの人に操を立ててるみたいなとこがある。そういうことを言われたとかじゃなくて、わたし自身がなんか直感的にそれが良いって思った。ずいぶん前の話。こういう事って直感って大事だと思うんだよね。

 

そんな訳で、完全とは程遠かったり何だか歪な形だったりだけど。時期的にもきっと今しかできない手術を決めました。わたしの年齢でわたしの身長でのトランスは、完全に女性として認識されることは多分ない。ネガティブに誤解されそうだけど、そうでは無いんです。そんなわたしでも、それがわたしだから。どうせ…って考えるのは止めて、自分の気持ちに素直になることにしたって言う事です。

 

 

明日、もう1日出勤したら、明後日は出発の日です。本当に待ち遠しいです。