昨日の館山基地。

もっともためになった、おもしろかった話です。説明の自衛官さんが教えてくれました。自衛隊のSH-60には、左舷のテールブームに「チャフ発射装置」がついています。ちなみに右舷には「フレア発射装置」がついています。

 



チャフというのは、レーダー照準ミサイルで狙われた際に、細かな糸状の金属箔を射出して、電波を攪乱する、ないし虚像を認識させてミサイルをかわそう、というものです。フレアのほうは、赤外線誘導ミサイルに対して、花火のようなものを射出して赤外線の発生源を多数作って、同じくミサイルを攪乱しようというものです。

このチャフ発射機、斜め上に発射するようになっています。当然に自分の機体のローターに当たってしまうわけなのですが、これが故意にぶつかるように作ってあるのだそうです。ぶつかったチャフの「糸」は、ローターで粉砕されて細かな断片になりますが、それによって表面積が極大化するために、レーダーには巨大な虚像が映り、誘導を乱すことができるかもしれない、のだそうで。

 



現代のミサイルはそんなに単純なものではなく、最初にロックオンしたものをずっと追尾し続ける、あるいは巨大な像が出現した場合には近接地点で爆発する、といった、化かし合いのようになっています。

それにしても、故意にローターにぶつけて粉砕する仕組みになっているとは思いませんでした。いろんなことを考えるものですね。

 



チャフ発射機の下にある円盤状のものですが、これはフライトレコーダーです。海上自衛隊機の場合、着水したらこれが分離して浮かび上がり、フライトデータが失われない、という仕組みになっています。これは陸自のUH-60には装備されていないため、宮古島近海での事故の際に、捜索に手間取ることとなりました。

説明の海上自衛官によると、陸自は陸上しか飛行しない前提なので、これもなしに洋上も飛んでいたのは賢明とは言えない、といったことであるようでした。

いろんな工夫があるものですね。だから、こういうことに興味のない人がただ無料の娯楽だからとそういうところに行っても、結局「パンとサーカス」を与えられていれば満足だった古代ローマ人のように低いレベルのものしか、得ることはできないんですよ。