竹谷とし子です。

 

全国で、増えているといわれる所有者不明の土地。

 

司法書士さんなど専門家や地方議員さんとの勉強会の中で、色々問題をご教示頂いています。

 

登記制度があるから大丈夫だと、思いそうになりますが、登記は、「義務」ではなく、「権利」で、相続などで所有権が移転するたびに、きちんと名義変更が行われているというわけではないんですね。

 

実際に、最後の登記が50年以上前という土地が相当数あることが分かっています。

 

 

 

様々な面で、困ることが出てきますが、代表的なものとして、公共事業で土地を買い上げて工事を行う場合に、こういう問題があると、大きな障害になります。

 

最終的に、手を尽くしても所有者がわからない場合には、「不明裁決制度」というものがありますが、例外的な手段です。

 

登記簿の住所から住民票を調べて、本籍地を調べ・・というのが手順だそうですが、住民票が残っていない場合があるそうです。それは、転出後や亡くなった場合も、住民票は5年間保存することになっていますが、その後は保存する義務がないので、各自治体の判断で廃棄されていっています。

 

それは困る、と、所有者不明の土地の調査をしている方々からお声があがっており、日本司法書士連合会からは保存期間を延長するように意見書が出されています。

 

日本商工会議所からも、保存期間を150年間とするように、規定改革ホットラインに提案があげられています。

 

しかし、これに対し、016年6月30日時点における法務省、総務省の見解は、「対応不可」。住民票の目的が「住所の確認」であり、個人情報を長期間保存することが必要かどうか慎重に検討すべき、ということにとどまっており、各市町村の実情に応じて長期保存することは差し支えないとして、判断を市町村に委ねている状況です。

 

所有者不明の土地問題は、現在、規制改革会議投資ワーキンググループにおいて検討されていますが多岐にわたる課題が指摘されています。住民票の保存期間、という個別の問題に絞っても、国レベルで解決策を決定するには、まだ時間を要すると思われます。

 

結論が出るまでの間にも、次々と住民票が廃棄されてしまう可能性があり、これを防ぐことが当面の対処として必要です。

 

地方自治体によっては、この問題を認識し、保存期間を延長しているところもあります。

 

国だけでは解決できない問題でもあります。昨日の司法書士会の方々との勉強会では、都議会、区議会の議員にも入っていただき、この問題を議論しました。

 

粘り強く、取り組んでいかなければならない問題と認識しています。