債権を回収するには、
債務者情報の取得
からはいっていくことになりましょう。
債権者のヒアリングについては、
個人なら
住所,性別,年齢,職業,親族関係,交友関係
法人なら
沿革,業種,事業内容,取扱品,取引先 等々
の要素がファクターになりますね。
ざっと、株式会社の保有資料には、会計帳簿,確定申告書類などはありますが、とりいそぎは、
会社案内、HPなどは入手が容易です。
ほかにも,第三者からの情報取得
個人:友人,知人,親族,交際相手
法人:同業者,取引先,役員の知人 等々の方法が考えられます。
債権回収において期待すべき想定財産は、
1 不動産
2 動産
3 預貯金
4 株式・投資信託
5 給与・報酬等
6 売掛金・貸金債権
7 自動車
8 ゴルフ会員権
9 保険 等々ありますが、具体的には、
1 不動産
→登記簿,債務者の前住所,会社関係先等
2 動産
→債務者等からの調査,現地調査,登記簿
3 預貯金
→自宅,本店所在地等に近い金融機関等
4 株式・投資信託
→債務者等からの聴取
5 給与・報酬等
→関係者から勤務先等を聴取
6 売掛金・貸金債権
→関係者からの聴取
7 自動車
→弁護士会照会等で車検証入手
8 ゴルフ会員権
→債務者等から聴取
ざっとこんな手段が考えられましょう。
弁護士が駆使する手段は、ざっと思いつきではありますが、
1 調査嘱託の申立(民訴法186条)
2 文書送付嘱託の申立(民訴法226条)
3 文書提出命令の申立(民訴法220~225条)
4 弁護士会照会
5 財産開示手続
6 不動産執行
7 債権執行
8 動産執行
あたりですが、各種手続は万全ではありません。たとえば、
1 調査嘱託,文書送付嘱託,文書提出命令の申立
→必ず債務者に事前に知らせることになる
2 弁護士会照会
⑴「照会を求める理由」の記載は適切に
…照会不適当とされてしまう,
⑵回答者は法律家でない
…回答者が短時間で回答できるような照会事項の起案
⑶照会先を通じて受任事件の相手方に知られる惧れ
⑷弁護士会照会活用例
・預貯金の口座の有無・口座内容→金融機関(支店まで)
※ ゆうちょ銀行は貯金事務センター
・株式等の預かり資産の有無,有価証券や取引の内容
→証券会社
・保険の内容
→㈳日本損害保険協会,㈳生命保険協会事務局長
・宅建業者の営業保証金の供託内容
→各都道府県の不動産業課免許係等
・宅建業者の弁済業務保証金分担金の供託内容
→㈳全国宅建業保証協会,㈳不動産保証協会
3 財産開示手続(民事執行法4章以下)
⑴ 手続の概要
・申立→実施決定→期日,財産目録提出期限指定
→財産開示期日:財産内容陳述,質疑→調書
⑵ 利用状況は少ない(約年間1000件程度)
∵強制する実効的な手段がない(違反は過料のみ)
開示直後に財産の隠匿を図る危険性
⑶ 財産開示手続が奏功した例
・勤務先が判明→給与債権の差押
・心理的強制手段(任意弁済を促す)
4 動産執行
⑴執行不能率が極めて高い(約90%)
(理由)
①差押禁止財産が多い
…タンス,ベッド,洗濯機,冷蔵庫,エアコン,テレビetc
※ PCもプライバシー保護の観点から執行対象外とされ る場合が多い
②中古動産の価値が下がった
→軒下競売(業者が同行してその場で買い取る)がされなくなった。
⑵奏功した例
ア 営業店舗の現金差押え
…店舗にお金がある日時の把握
イ 小売業者の商品の差押,営業用動産の差押
…債務者から解除の申し出を契機に任意弁済の示談
※ 但し,債務者が自然人の場合,差押禁止財産に注意
ウ 執行官との協力
…隠している財産,預金口座の発見等
= 執行官との事前の打合せは極めて重要
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弁護士 齋 藤 健 博 (虎ノ門法律経済事務所)
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