「やっほぃ、光 今の誰よ~ ?」
後ろから走ってきたのは、多分今一番仲のいい友達、柿本さくら(かきもと さくら)。
「ちょ、何っ」
「彼氏、出来たんだ 聞いてないゾ このこの~っ」
さくらのキレイな黒のロングヘアーが光る。
私は痛んだ茶色で、うらやましいな、と思う。
「聞いてんの !? 何見てんのさっ」
「ぁ、ゴメン ・・・つか、彼氏じゃないっつの」
まぁ、彼氏かもしれないけど。と、またニヤニヤが出てくる。
「今ニヤってしたーっ 光教えてよーっ」
こんな調子で教室まで行った。(笑)
こうみえて美術部、副部長。
一番ダラダラしている部活だから入った。
六時、使った道具(色鉛筆だけ)を片付けて、さくら(部長)と帰る。
「ぅっわ、何あの不良 怖っ」
さくらが指さしたところ、校門。
そこには、今朝の彼が、校門にすがっていた。
「あいつだ」
私は 「は !?」 と驚いているさくらを無視し、彼へと走った。
私の足音に気づいたのか、彼はこちらを振り返った。
「おぉ~光~ お疲れ様、一緒に帰ろうぜ?」
「光、誰、この人 今朝の人だよね やっぱ彼氏?」
うしろから小走りで駆け寄ってきたさくらが言った。
「ち、違うよ そんなわ・・・」
「そうだよ♪ 光の友達? 俺、間崎龍之介 よろしくね♪」
は?
やっぱし彼氏なの?!
「ちょっ」
「そうなんですか♪ 私友人のさくらといいます♪
やっぱり光の彼氏さんだったんですねー、ウフフ♪」
「さくらチャンね 了解~ つか今朝すれちがったような?」
「あれ、やっぱりですかー? 私も思いましたー!」
何故か二人の会話は進んでて、入れない。
多分だけど、彼は私を迎えに来てくれたとか、じゃないの?
さくらと話してばっかりだし、一人でさっさと帰っちゃおうかな。
「あ、わりぃ、さくらチャン。 俺そろそろ光送って帰らないと」
「へ?」「へ?」
びっくりした・・・、私の今思ったことが全部こいつに聞こえちゃってるかと思ったΣ(゚д゚;)
「あ、そうですよね それじゃ私はこれで失礼します♪ 光、バイバーイ」
さくらは続けて「私ここでまだ彼氏待ちしとく」と言って、スキップで校門の後ろに回っていった。
んで、私達は二人きりになった。
「ふぅ、やっと二人きりになったな さて帰りますか光様♪?」
そういって歩き出す。
少し無言で歩いてから、また口を開いた。
「あのさくらチャンて子は、元気だねー
光は光でスネてたし(笑) かわいいなぁ、ったく♪」
ほら、やっぱり心の中、聞こえてる。本当はスネてた。
今朝会った彼のこと、どんどん好きになっていくような気がする。
ぃや、多分、一目惚れ(汗)
「・・・」
隣にいる彼のことを考えてくうちにどんどん顔は真っ赤に。
そんなとき、彼の足が止まった。
自動販売機の前、明るいところで。
「今日の朝、いきなりの出会いでびっくりしただろ?
遊び屋さんなんて、あやしいサイトだし・・・
でも! 俺は光の彼氏な訳で!
・・・・・認めて、くれますか?」
制服のポケットから手を出して、ピシッと姿勢をただして言っている、この顔は本気?
多分五秒くらいの沈黙を経て、沈黙を破るかのように私は口を開く。
「確かに、怪しいよね いきなり彼氏ですって登場したし。
チャラそうだし、年上で抵抗あるし、なんたってやっぱ怪しいし。
・・・でも、正直、あんたのこともっと知りたいと思っちゃうし・・・」
話の途中だった。
これから大事なところ言おうとするところだった。
でも、その前に、彼は私を抱きしめた。
「光、もう一回言う。 ・・・俺と、付き合ってください」
耳元で小さく聞こえた彼の声。
もちろん私の答えは
「・・・はい。 好き・・・」
そして私達は強く強く抱き合った。
少ししてから肩をつかまれ、離れたかと思った時、唇が重なった。
私の、ファーストキスでもあった。
そのキスは、ただくっつけるだけの簡単なキスだったが、すごくすごく幸せだった。
自動販売機の明かりも、いつのまにか良いムードを出していて。(笑)
無言で、微笑みながら私の家へ向かった。
「んじゃなー」
笑顔で手を振り合って、幸せ状態のまま、私は家に入った。
つづく