『悪魔がはらわたでいけにえが私』★★
『コヴェナント 約束の救出』★★★★★
(満点は★★★★★)




先週公開の映画の試写は1本も観ていなくて、このコラムもお休みでした。
本音を言えば、毎週2~3本ぐらいずつバラけてくれていると、書き手としては楽なんですけどね(笑)。
さぁ、今週は2本です!




『悪魔がはらわたでいけにえが私』は、エクストリーム配給のバイオレンス・ホラー。


ハルカ、ナナ、タカノリの3人は、バンドメンバーのソウタと連絡が取れなくなったことを不安に思い、車でソウタの家を訪ねます。
なんとも不気味な家の戸を叩くと、ソウタが顔を出します。誘われるままに、3人は中へと入るのですが、明らかに何かがおかしい。
ナナが、貼られていたお札を剥がした瞬間、嫌な予感は現実のものとなり、3人は魔物へと変わってしまいます。
こちらはビルの地下にあるバー。音楽プロデューサーのコウスケが目を覚ますと、なぜか手足を縛られている状態。同様に拘束されていた若者と協力して、なんとか縄をほどいたコウスケでしたが、その若者が人間でないことに気づくんですね。
階段を駆け上がり、逃げようとした時、魔物と化したハルカとすれ違います。そのハルカを盾にするかのように、逃げ出すコウスケ。
あれから1年。人間と化け物が抗争を繰り返す中、コウスケは車で全国を回っていました。
互いを救えるのは音楽だと悟り、楽曲作りに励んできたコウスケ。1年前、自分だけが逃げたことを後ろめたく思っていたコウスケは、もしハルカに出会えたなら、出来上がった曲をハルカに聴いてもらいたいと、ずっと考えていたのです。
そんなある日のこと、コウスケはハルカと偶然の再会を果たすのでした…。


まず、タイトルからしてすごいですよね(笑)。
スプラッター系と言うのでしょうか、血も、内蔵も、緑の吐瀉物も、虫もいっぱい。好きな人にはたまらないのでしょうが、ボクにはなんとも…。
ただ、先日亡くなった映画プロデューサーの叶井俊太郎さんが宣伝を手掛けていると。試写の案内メールにも、問い合わせ先としての叶井さんのメールアドレスがありました。
居並ぶキャッチフレーズは、観る危険物、バイオレンス・ホラー、鬼畜系ファンタジー、トンデモ系SF、激ヤバB級グルメ系etc。
叶井さんのご冥福をお祈りすると共に、振り切ったエクストリームの配給作には、この★の数が誉め言葉だと思います。★2つ。





『コヴェナント 約束の救出』は、ガイ・リッチー監督最新作。


アメリカがアフガニスタンから撤退する以前の、2018年。
ジョン・キンリーは、タリバンの武器庫を探し出す米軍部隊の曹長です。
その日も部隊は検問所を置き、怪しい車両がないかをチェックしていました。
すると自爆テロが発生。部下とアフガニスタン人の通訳が、命を落としてしまいます。
新たな通訳としてやってきたのは、アーメッドという男性。屈強そうな反面、頑固な性格のよう。
キンリーはアーメッドに、なぜこの仕事をするのかと尋ねると「金のためだ」と答えます。実は、アフガニスタン人通訳には、任務終了後にアメリカ行きのビザが約束されていたのです。
数日後、爆発物製造工場を発見した部隊は、破壊のため、現地に向かうのですがが、そのことを察知したタリバンが大量の兵が送り込み、部隊はほぼ壊滅状態に。キンリーも銃弾を受け、生死の境をさまようことになります。
そんなキンリーを、アーメッドはバレないように運送。何度も危険な目に遭いながら、100キロもの距離を逃げ果せ、米軍に助けられたのです。
おかげで、キンリーはアメリカに暮らす家族のもとに帰れたのですが、思い返すのはアーメッドのことばかり。
アメリカ行きのビザを受け取れないどころか、タリバンから家族共々、命を狙われていることを知るんですね。
キンリーは決意します。今度は、自分がアーメッドを助けるべきだと。そして、再び単身、アフガニスタンに乗り込むのでした…。


戦争映画に取り組みたいと思っていたガイ・リッチー監督が、アフガニスタンのドキュメンタリー映像を観た時に取り上げられていたのが、アフガニスタン人通訳の問題だったそう。
そこからインスピレーションを受け、この映画はできたといいます。
米軍につかえるのは、異教徒の手助けをすることだと、周りからは白い目で見られる通訳の仕事。ですが、アーメッドには、敢えてこの職に就く理由がありました。
命を賭して自分を助けてくれたアーメッドを救うため、今度はキンリーが、自ら窮地に飛び込んでいく。男の“義と友情”の物語です。もちろん、その裏には、それぞれを支える妻という存在も実に大きくて。
誰かの映画評にもありましたが、確かに日本の時代劇にも通じる世界観があります。
いい映画でした。劇場で胸を熱くして下さい。満点!★5つ。


Xは@hasetake36