帯に「朝ドラのよう」と謳われていますが、まさにそのとおりの人生を感じます。戦後の時代を自分を曲げずに生きていく母リョウコを、娘ヤマザキマリを通して語られる本書は、いかにしてヤマザキマリが出来たかというのにも通じるところです。序盤ではリョウコさんはとてもお嬢様な出自で書かれていますが、その父にしても祖父にしても家系からどこか破天荒という気質を持ち合わせていたからこそ、今のマリさんに繋がるひとつの線を感じるところです。生まれるべくして生まれてきた、というような。

本書で一番に思うことは、正解のない子育てというものにどう悩んでいくか、というのも千差万別なんだな、と。ただ、真実の愛情さえあれば、あとはなんとかなっていくもの。親を観て子は育つし、親もそれに合わせて成長していくワケで、悩むことそのものは間違いじゃないけれども、理想と現実との溝にはまって動けなくなってしまうようではダメなんだと感じるところです。もちろん、“破天荒な母”と付いているだけあって育児書としては参考になるところはありませんが、心の拠り所というのでしょうか、子育てに関して適度に肩の力を抜いてくれる、そんな楽しい一冊です。