デンマークにおいて、緊急通報にかける電話番号、日本で言うなら110番通報のオペレーターとその電話での会話のみで展開するソリッド・シチュエーション・ミステリと、想像力を要求しそれを押し拡げてくれる作品です。とはいえ、デンマークに対する土地勘や法的知識がなくとも、それほどその土地の特異性はあまり感じることなく物語が入ってくるのは、エンターテイメントとしてとても良くできていると思います。
とにかく巧妙という印象です。物語が通信指令室のみで展開するので、閉塞感があって息が詰まりそうになります。主人公のアスガーは本来この仕事に就くべきではなく、今にもその“役目”を終えようとしているところに、誘拐事件の電話を受け取ります。事件解決に固執することによって、彼は苦悩し、本来彼が望む彼自身=彼の“役目”に向き合う。作品は誘拐事件とアスガーが抱えている彼自身の“事件”との二重構造になっていて、それが展開とともに巧妙に解き明かされていくシナリオと演出は素晴らしいと思います。そして最後にタイトルである“ギルティ=罪”というものの言葉の意味が響いてくる。物語的な伏線と予兆を上手く理想と現実との間に潜む罪の意識を掻き立てる、面白い作品です。