名画座の「目黒シネマ」で、松田優作主演の『甦る金狼』と『野獣死すべし』が二本立てで期間限定の1週間上演される。今日が初日。11:00〜の一日一回の上映。
私は一度も観たことがなく、どうしても観に行きたかった。帯状疱疹の予防接種が思ったより早く済み、15分待っての副作用もなかったので真っ直ぐ目黒に向かった。
土曜日なのできっと満席なんじゃないかと思っていたらそうでもなく、殆どが私より歳上の男性ばかりだった。
「狼は生きろ 豚は死ね」
上映当時8歳だった私がいまだ覚えている"蘇る金狼"のCMのナレーションの言葉。
今じゃNGになっちゃうんでしょうね。
いつも思うけれど、邦画は街並みがスクリーンを通して映し出されると湿気を感じる。昭和の雰囲気で更に湿気が増して感じられる、、
公開当時、29歳だったんだ。
わかっていたけど、今こんな俳優はいないとあらためて感じた。凄いわ、松田優作って。
ゴルフの打ちっぱなしの場面で、吹雪ジュンの気を引くために下手でクラブが手から離れ放り出してしまうのをわざとやるんだけど、それを取りに行く時の姿が、何となくワイルドな横浜流星に見えなくもなかったが(笑)いやいや、やっぱりね誰も当てはまらないんですよ。
黒のジャンプスーツがあんなに似合う人いますかね。
驚いたのが吹雪ジュンさん。
ビッックリする程変わらない!そして、体当たりの演技をしている。昔の若い女優さんってそうですよね。そこも今とは違う。そう考えると、全くそれがなかった吉永小百合さんってある意味凄い。
どれだけ特別だったのか。
ストーリーは全然好きじゃないですけど、松田優作を観る!というにはピッタリな映画なのかなと。
もうこういうのだけで松田優作ですもん。
フォルムというか、雰囲気というかね。
そして『野獣死すべし』
こんな映画だったんだ。。
…というのが率直な感想。
東大卒のエリートが、大手通信社外信部記者として世界の戦場を渡り歩き、その中で目醒めた狂気。
常人として生きられなくなり野獣と化していく。
…って、タイトルの野獣ってそういう意味だったなんて。
なんて言うのかな、凄くマニアックな苦手な舞台を観ているような感じで、これ映画じゃなくて舞台向きですよねという感じ。
洞窟のシーンなんてもう観てられなくて、正直出てしまいたいくらい。松田優作の狂気が凄いんだけど映画じゃなくて舞台を観せられているような違和感。
ポスターにも出ている小林麻美さん、キレイでした。でも、ポスターに出る程そこまでの役でもなく無理矢理感を感じてしまった。
松田優作を追う刑事役を室田日出男さんがやっていて、懐かしいなぁ…と。そして上手い。
電車の中で狂気×100の松田優作と室田さんのロシアンルーレットは有名なシーンらしいのですが、あの表情をさせたら松田優作の右に出るものはいないでしょうね。やっぱり松田龍平は似てるなぁ…と思いながら、彼が絶対に出さないであろう狂気だよなぁ。。とか思いながら。。
この役をやるのに、奥歯を4本抜いたとか、10キロ痩せたとか、それで監督と大喧嘩したとか、いろいろ逸話があるみたいで、これをやるに当たって相当な思い入れがあったそうな。
私が思うに、きっとこの作品は小説のままの方が良かったのかもしれない。
久しぶりの目黒シネマ、やっぱり好きだわ。
俳優さんや監督さんのサインが。
次回はこちらが上映される。
音楽好きの息子に教えてあげようかな。
…果たして行くかな。
観終わって、ずっと行きたかったこちらへ。
サイフォンで淹れるコーヒーの店を探していた時に見つけた。
サイフォンで淹れ、目の前でカップに注いでくれる。コーヒー、美味しかった。
ロールケーキが食べたかったけれど売り切れでガトーショコラ。
のんびり出来る、大人のカフェで居心地が良かった。
映画は好みではなかったけれど、松田優作を観る、映画を知ることは良かった。
松田優作はやっぱり凄いや。
それとやっぱり、映画館が好き。
この街には、最寄り駅から10分程で行けてしまう。
名画座に選ばれる映画って特別感がある。なかなか観たい映画が上映されないのだけど、ポイントカードも作って貰ったし、また映画を観にぶらりと来たい。