過眠症体質の僕は数時間ごとに強い眠気が来るので、職場で睡魔に襲われないために、会社に行く前の時間をなるべく睡眠時間に宛てるようにしている。例えば、信じられないってよく言われるけど、朝ごはんを食べたら、出発直前まで2,30分ほど二度寝をする。もちろんちゃんと時間になったら起きて会社に行く。そして行きの電車は始発なので、席を確保して眠るのだ。ここで寝られると会社では結構スッキリする。

だけどせっかく席を確保しても、イヤな気分になるとなぜか眠れないのだ。普段はいつでもどこでも寝れるのに。例えば整列乗車の時にマナーの悪いヤツがいたりとか、車内でウォークマンが異常にうるさいとか。でも最近気になるのは、静かな車内で気にも留めずに大声でベチャクチャしゃべるヤツ。ま、車内でしゃべるなというルールは無いので、彼等が決して道徳に反してることは無いのだが、眠りを妨げられるので僕にとってはなるべく現れてほしくない。聞きたくもない内輪話が否応無くずっと耳に入ってくる中、無理に眠ろうと思えば思うほど、眠れない。彼等は高校生だったり、OL二人組だったり、カップルだったり、オバサングループだったり様々であるが、どういうわけか僕の座っている近辺にやって来る。他のエリアはいたって静かなのに。耳栓でもしたいぐらいだが、降りる駅のアナウンスを聞き逃すのが心配なので、そこまではしていない。

ところで僕は車両端っこの席がお気に入りで、いつも同じ場所を狙って座っている。ところがそこは実は優先席。まぁ、通勤ラッシュの時間帯あんまり老人が乗ってくるということは少ないので、暗黙の了解でこの時間帯はフツーの人も座っている。で、本日。僕の座る席近辺に高校生カップルが乗ってきて、またもや大声でくっちゃべり始めた。ま、多くの場合高校生は中野までの間の駅で降りるので、じっと我慢しながらいつものように無理に眠ろうとしていた。その時、僕の手前に立つ人が「ハァ~」と、頻繁に溜息をついているのに気付いた。が、僕の頭の中では「何とか眠らないと!」という気持ちと「高校生、早く降りてくれぇ!」という気持ちがほぼ支配しており、手前の人物に気を留める余裕は無かった。

しばらくこの状態が続いたが、中野駅に着くちょっと前だったか、前から声がした。
「みんな疲れてるんでしょうかねぇ~。ま、しょうがないのかもねぇ。」 
どうやら前に立っていたのはややお年を召した女性のよう。その隣に立つ若い女性に同情を求めるように声をかけたのだった。思わず眠る努力をやめて前を向く。白髪ではあるが、それほど年寄りって感じでもない女性である。でも何か罪悪感を感じ、「座りますか?」と聞いたら、その女性、目も合わさずに「次の駅で降りますからっ!」と捨てゼリフを吐くように早口でボソっと言うと、降車口の方へ足早に歩いて行った。明らかに「フン、いまさら何よ」という語気が感じられた。

その一件ですっかり悪者になったせいでかなりテンション下がり、しかも先のベチャクチャ高校生はその後も大手町までずっと居続けたので、結局一睡もできなかった。

あ~あ、「優先席に座りながら年配の人に席を譲らない極悪非道の男」になっちまった。腹の底では「何だ、あのイヤミなオバハン」なんて思いながらも、今回は明らかに僕のが悪いな。明日あの席に座る勇気、もう無いかも。

先週末はイベントで楽しかっただけに、何ともユーウツな月曜日の始まりでした。



とりあえず今週のお気に入りの曲。
イスラエルが生んだ永遠の歌姫、今は亡きオフラ・ハザの美声に癒しを求めることと致します。
Kaddish