人間の骨は、コラーゲンをはじめとする骨基質タンパク質とカルシウム・マグネシウム・リンなどのミネラルから形成されている。骨は硬いというイメージがあり、変化しないと思われがちだが、古い骨から新しい骨へと常に新陳代謝が行われている。



骨の量が最も多くなる20~30代を過ぎると、加齢と共に、またホルモン分泌の変化によって骨の量は減少していく。特に閉経後の女性は、骨の量の維持に働いてきた「エストロゲン」女性ホルモンが減少するため、それが元で骨粗しょう症になる場合がある。骨そしょう症とは、この骨の量、主にカルシウムの量の減少によって代謝のバランスも崩れ、腰痛や骨折、背骨の変形を引き起こす病気のことを指す。つまり、骨が軽石のようにスカスカになってしまい、骨折しやすい身体になっているということだ。



なぜ代謝のバランスが崩れるかについては、戦後日本に入った欧米型の食生活の蔓延やインスタント・レトルトなどの加工食品の日常的な摂取も関係していると私は考える。骨粗しょう症にならないためには、動物性食品、化学調味料・食品添加物、単糖類(果物・ハチミツ・チョコレート等)や二糖類(砂糖・牛乳等)および化学的に作られた缶・ペットボトル飲料を摂り過ぎないようにすること。たとえお茶でも、ペットボトル飲料には食品添加物が含まれている。



有効にカルシウムを摂取するなら、牛乳やサプリメントからではなく、海藻や根菜(大根・人参・ゴボウ・レンコン)を毎日の食事に取り入れるようにするべきだと私はすすめている。現代の栄養学では、カルシウムは牛乳やカルシウム剤から摂るようにと指導しているが、牛乳やカルシウム剤を飲んで骨そしょう症が改善・完治されたという話は未だに聞いたことがない。



体内のカルシウムの99%は骨や歯の中にあり、残りの1%は他の組織や血液中に存在している。1%のカルシウムは、全体のカルシウムの量からするとわずかなものだが、筋肉の収縮や血液の凝固、神経伝達に関わるなど重要な働きをしている。そのため、血液中のカルシウムが足りなくなると、骨からカルシウムが溶けだして補おうとする。骨は身体を支える他、カルシウムを貯蔵するという役割も担っていて、カルシウムの摂取量が少ないと、次から次へと骨からカルシウムを血液へ補う必要があるので、骨の中のカルシウムがその都度失われてしまう。







確かに、牛乳にはカルシウムが含まれているが、人間の身体の構造に合った食品とはいえない。本来牛乳は子牛が飲むべきものと私は考えている。健康にいいからと牛乳を毎日飲むよりも、料理やデザートに使う程度にした方がいいと思う。



骨粗しょう症になると、圧迫骨折が生じても自覚症状がなく、単なる腰痛と感じている場合もある。 1ヵ所骨折すると、その周囲の骨にも負担がかかり、連鎖的な骨折につながりやすい。骨そしょう症になると治りづらいので、ならないための食事を普段から意識して実践していくべきだと思う。



転んだだけで骨折した時は、すでに骨粗しょう症に侵されているのかもしれない。身体は常にメッセージを送っている。