共通テスト世界史B 問題番号25について。
受講生や知り合いの塾関係者からの質問が相次いだ。
「考え方がイマイチわからん。」
「なんでこっちの解答がアカンのか。」
などなど。
中には「戦時下の日本は国民社会主義じゃないの?」といった質問まで。
いずれにせよ、質問が数多く飛んできたので
クロニクル的な見解を示したいと思う。
今回の記事では、あくまで、
「大学入試問題」に取り組む際の、受験生に望まれる「好ましい態度」に
話を限定させて頂くことにする。
要するに、いわゆる「歴史認識」についての議論はする気はなく、
歴史認識マウンターたちの批判は全スルーさせて頂きます・・・
という感じの「THE 弱腰ブログ」となっているので、悪しからず。
どうやってテストで点を取る確率を高くするのか、
そういった議論の足しになれば、と祈りながら、
本題に入ろう。
改めて問題を。
問題番号25については下線部Cについて。
下線部は、
日本の戦時体制はファシズム(独伊)と同様のものか、区別すべきか、といった主旨。
これについて議論する場合、
それぞれの根拠として、最も適当な根拠を選択しましょう
という設問が後に続いた。
独立行政法人大学入試センターが発表した解答は①。
で、今回のメイントピックとなるわけだが
・世界史論述の受講生の中には⑥を選択した者も多く
・知り合いの塾でも⑥を選択した受験生も多かったらしく
・ツイッター界隈では⑥も正解にすべきだという運動もあるらしく
とにかく「⑥はダメなのー?勢力」の批判が相次いたわけだ。
実際に問題を解き進めている時、私自身も迷わず①にしたが、特になんの不自然さも感じなかった。
不自然さを感じない理由はなんだったのか。
おそらく「設問に対する態度」にあると思われる。
そのことを踏まえて、設問25 ⑥はダメなの?に対する
クロニクル的見解は以下である。
受験生の「試験当日」における好ましい態度とは何か?を考える場合に
戦時下の日本をファシズムと評するのは「歴史認識として妥当か?」を考えることと、
日本とファシズム体制(独伊)の共通項を見出すにあたって「最も適当な根拠」を選ぶ作業を混同してはいけない。
この一言に尽きる。
つまり、
「最も適当な根拠」とは「客観的な事実」を想起できるかどうか、っていう認識が必要でしょうよ
と言いたい。
W ソ連を脅威とみなし、共産主義運動に対抗する陣営に加わった。については、
日独防共協定(1936)・日独伊三国防共協定(1937)という
「客観的な事実」を想起することが可能であるし、
ファシズムを特徴づけるものとしても、妥当である。
(「反共産主義」以外にも「個人の自由の否定」「議会制民主主義の否定」・「過激なナショナリズム」などがファシズムを特徴づけられるものに挙げられる)」
一方で、
Y 政府の指導者が国民社会主義を標榜し、経済活動を統制した。については、
国家総動員法(1938)が発令されたことによって、経済統制がたしかに行われたが、
当時の日本政府の指導者が「国民社会主義」を「標榜した」かどうかは、疑問が残る。
ドイツの場合は、
Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei(国民(国家)社会主義ドイツ労働者党)
という政党が実在したわけで、これについては、
「標榜した」という認識をしてもギリギリ良いんじゃね?と思われる。
(実際に「標榜」されたのは、反共産主義・過度な民族主義・反ユダヤ主義と心得てる。)
それに対して、当時の日本政権が「国民社会主義」を「標榜した」事実は見当たらない。
たしかに、国家総動員法(1938)が発令された際には、
「挙国一致・尽忠報国・堅忍持久」が国民に呼びかけられたが、
そのことについて「国民(国家)社会主義」的だよね〜と評価することと、
「国民社会主義」を「標榜した」という事実認識をすることとは、全く異なる。
あくまで、「国民(国家)社会主義」とは、あらゆる政治体制とナチズムを区別するための訳語に過ぎない。
当時の政権がそれを「標榜した」事実が思いつかない以上は、
「日本がファシズムであった」という言説の「適当な根拠」に挙げても良いものだろうか。
「最も」適当な根拠を選べと言われた以上は、「防共協定」(客観的な事実)を想起できる選択肢を選ぶべきなのではないだろうか。
以上がクロニクル的な見解である。
当然、ファシズムを「自由主義を抑圧した」ものと心得てるし、
「反共産主義」と特徴付けるだけじゃ、当時の日本の状況を「中立」に見てるとも言い難いよね〜という、
「個人的な見解」もあるのも認める。
しかし、あくまで、「客観的な事実」を「根拠」にすることが受験生のなすべきことであり、
「反共産主義的だった」という抽象的な表現と「防共協定」という客観的な事実を紐づけることが
受験生でも実現可能な作業だったのではないかと思われる。
「設問の要求に応じる」ことが、正解する確率をあげる第一歩目であって、
「最も適当(客観的)な根拠」を考えるのではなく、
「ファシズムとは何か」「国民社会主義とは何か」について
思考することに時間を多く費やしてしまった、受験生の多くは失点しまったのでないだろうか。
「最も適当なもの」を選べ、という選択式問題が
大学受験において主流である以上、
より一層の注意喚起を受講生にも呼びかけていきたい。
最近読まれてる記事。
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上智大 世界史 TEAP利用型 徹底解説③ 解答の作成の基本路線
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