前回と前々回の続きの記事です。

 

(下にリンク貼っておきますね。)

 

 

 

テーマは、

 

 

「国際戦争を助長したものは何か、それは抑制可能であったか?」

 

 

様々な戦争観があるでしょうが、

 

どんな観点を持ち込もうと、

 

 

 

 

文章のアタマからケツまで、

 

一貫性のある解答を作成することは、

 

なかなか難しい。

 

 

 

 

自分の知ってる歴史的事実をを切り貼りしていくだけでは、

 

 

優位な解答にはなりえない。

 

 

 

 

 

(今回の添削ネタになる記事。こちらの2つ。)

 

 

東大世界史論述 後編 模範解答【2006】

 

 

 

 

 

【論述の基本 一文と一文の相関性・連続性】

 

 

HN ナポレオンさんから頂いた解答を添削。

 

 

 

久しぶりのフルボッコ添削です。

 

 

 

内容云々の前に、

 

 

文章構成上、

 

問題ありそうな点を、

 

 

まずは精査!

 

 

 

今回は、内容については度外視します。

 

 

 

あくまで、文章構成のお話です。

 

 

 

※便宜上 数字を振りますね~

 

 

 

【第一答案】

 

 

テーマは、

 

「国際戦争を助長したものは何か、それは抑制可能であったか?」

 

 

 

※太字(黒)がナポレオンさんの解答です※

 

 

 

①ドイツで起きた三十年戦争を助長したのは、各国の宗教観の違いであった。

 

②この戦争の終結時に定められたウェストファリア条約を機に、主権国家同士が条約で平等な関係を築くという、新たな国際社会が形成された。

 

 

 

 

まず、それぞれの文章を勝手に要約するけど、

 

 

①宗教観の違いによって三十年戦争が生じた。

 

②戦争の終結時のウェストファリア条約によって、主権国家間の平等な関係が確認された。

 

 

 

さて、「宗教観の違い」「主権国家間の平等な関係」を並べてみても、

 

 

何を説明したいのかが、いまいちピンとこない。

 

 

文章と文章の関連性というか、具体的な展開になってないのよ。

 

 

え、じゃあ、宗教観が統一されると、主権国家間は平等になるってこと?

 

 

と、ツッコまれる可能性を残してしまうのだ。

 

 

文を並べる以上は、物事の順を追って説明していく必要がある。

 

 

前文の内容との相関性を確認しながら、筆を進めていきたいわけよ。

 

 

 

 

③その後発生したフランス革命では、主権国家の中で熟成された国民意識が、他民族への排他的意識を促した。

 

④これにより徴兵制が可能となり、戦争の主体が国民へと移った。

 

 

 

ここでも、勝手に要約。

 

 

 

③フランス革命においては、国民意識が芽生えて、他民族に対して排他的になっていく。

(そもそも誰が?)

 

④これによって徴兵制が生まれて、戦争の主体が国民へと移った。

 

 

 

徴兵制の成立要件として、「他民族に対する排他性」を挙げてるね。

 

 

ぎりぎり、ピンと来る。

 

 

「戦争の主体が国民に移った」に関しては、誰から国民へと移ったのかが不明瞭。

 

 

英語の文章読んでいて、from A to BのfromAがない感じ。

 

 

 

⑤また、第一次世界大戦では、世界的不況で多くの国が植民地拡大を図っていたこともあり、各国のナショナズムがさらに激化し、産業革命での技術革新による武器の大量生産も相まって、国家総力戦へと発展した。

 

⑥このように、国家と国民の一体化が進み、国際社会が変容を遂げる中、戦争を抑止する力も働いていた。

 

 

 

要約版

 

⑤帝国主義の利害衝突・ナショナリズムの激化・技術革新によって、第一次世界大戦は総力戦となった。

 

⑥このように、国家と国民の一体化によって国際社会が変容した。一方で戦争を抑止する力も働いた。

 

 

まず、「このように」の範囲がよく分からない。

 

前文の内容かな?と思われた瞬間に詰みます。

 

 

 

そして⑥の文では、

 

「国家と国民の一体化による国際社会の変容」「戦争を抑止」を並べているが、

 

(とりあえず、国民国家の出現による国際社会の変容と解釈しますが、)

 

 

あくまで今回のテーマは、

 

戦争を助長したものと、戦争を抑止したもの」を論じるのよ。

 

 

 

「国際社会の変容」で総括してしまうと、

 

主旨を理解しているのかね?と判断されてもおかしくない。

 

 

 

国際社会の変容=「戦争の助長」にしたいなら、表現を変えた方がよい。

 

 

 

 

⑦三十年戦争時には、戦禍の悲惨さに衝撃を受けたグロティウスが「平和と戦争の法」を著し、国際法を体系化した。

 

⑧フランス革命戦争後にはウィーン体制が敷かれ、自由主義やナショナリズムを抑制することで戦争を抑止しようとした。

 

⑨また、第一次世界大戦時には、国際協調を目指してロシアのソヴィエト政権が平和に関する布告を出し、アメリカのウィルソンは十四か条を発表し、国際連盟発足の先駆けとなった。

 

 

要約版

 

⑦⑧⑨では、「戦争を抑止する試み」の具体例を列挙してます。

 

 

⑦では三十年戦争による戦禍、

 

⑧では自由主義・ナショナリズムの脅威

 

 

以上に対しての、リアクションとして、

 

戦争の抑制を図ろうとしているらしいが、

 

 

⑦に関しては①で戦禍について触れた方が良いかと。

 

(戦争を助長したものに対して、抑制を働かせるわけなので。)

 

 

 

⑨に関しては、どういう手段で戦争を抑制しようと書かれていない。

 

 

 

一文と一文の相関性がちぐはぐで、

 

それが延々と続くと、

 

 

文章「全体」を通じて、

 

 

何が言いたいのか、

 

分からなくなってしまいますよね。

 

 

 

と、ここまでフルボッコ添削をしてしまったわけですが、

 

 

よかった部分もございました。

 

 

それは、ナポさんが送ってくれた第三解答だ!

 

 

 

【採点したくなる答案】

 

 

【第三答案】

 

 

①三十年戦争について。多くの領邦が分立していたドイツでの争いは、外国勢力による領土や覇権獲得に利用され、宗教戦争を越えて諸国間の権力争いへと移行した。

 

②この戦争を受けてグロティウスが発表した『戦争と平和の法』は国際法的思考に大きな影響を与え、ウェストファリア条約は、国家間の関係を規律する法として機能した。

 

 

要約版

 

①三十年戦争は、宗教戦争から政治戦争へと性格が変わる。ドイツ国内の戦乱に干渉する諸外国がウジャウジャ現れたからだ!

 

②だから、国家間の戦争ルールをしっかり国際法で定義しよう!

 

いい流れだ。とても読む気になる。

 

 

 

③フランス革命戦争について。自由主義やナショナリズムの高揚に加え啓蒙思想の広まりが、市民による革命戦争を激化させた。

 

④対外戦争への対応策として徴兵制を実施したことも戦争の拡大を促した。

 

⑤フランスによる一連の戦争の戦後処理のためにヨーロッパが一体となってウィーン会議を開き、戦争を助長した自由主義やナショナリズムの動きは抑えられた。

 

 

③・④ フランス革命においては、強固なイデオロギーと徴兵制によって、戦争は激化した。

⑤ 強固なイデオロギーは列国に対しての脅威になるので、ウィーン会議においては抑制対象になった。

 

 

戦争を「助長したもの」と戦争を「抑制したもの」の相関性があるよね。

 

 

(中略)

 

 

⑦第一次世界大戦について。帝国主義で多くの物資や労働力が調達できたこと、総力戦体制がつくられたこと、新兵器の開発によって戦争は長期化した。

 

⑧戦後は、レーニンによる平和に関する布告やウィルソンによる十四か条で平和への取り組みがしめされ、平和維持機構として国際連盟も設置された。

 

 

⑦ 一次大戦においては、「戦争規模の拡大」「総力戦」「新兵器の開発」によって戦争は長期化した。

⑧ 戦後は、世界平和が目指された。

 

 

①②・③④⑤のセットに比べると、ここは少し弱く見えるよね。

 

一次大戦の性格に対して、何を抑制しようとしたのかが欲しいところです。

 

 

 

答案を2つ並べてみましたが、

 

採点する気になるのは俄然、「第三答案」の方です。

 

 

「第三答案」のように、

 

要点が見えやすい文章構成になって初めて

 

「減点法」に入れるのかと。

 

 

 

 

【文章全体でストーリー立たせる】

 

 

可能な限り、文章全体を通じて、

 

論述したいことが明確になっている方が、好ましい。

 

 

 

「物語る」

 

 

 

これが一番わかりやすい表現かもしれないですね。

 

 

「物語る」コツは、順を追って説明することです。

 

 

 

まずはラフな形でも何でもいいので、

 

 

一文と一文の相関性を意識しながら、

 

 

解答を作っていくといいでしょう。

 

 

 

慣れてきたら、

 

 

一発で500字、600字を書きこんでいく練習をしていくと良いです。

 

 

参考程度に、前回記事の模範解答のラフ版を。

 

 

(17~20世紀にかけて、)

 

①近代国際戦争は、主権国家間の同盟関係と徴兵制によって、その規模が拡大した。(導入・結論)

 

 

(17~18世紀)

 

②そもそも主権国家は神聖ローマ帝国の衰退に伴って出現する。(国際ルールなき時代)

 

③皇帝権の衰退によって、主権を拡大した諸邦は傭兵を使いまくる。(国際ルールなき時代の戦争観)

 

④傭兵暴れる・ヨーロッパ荒れる。(国際ルール無い結果)

 

⑤反省・国際法に平和を求める。(リアクション・戦争抑制)

 

⑥しかし戦争はなくならない!(逆説的結果)

 

 

(19~20世紀)

 

⑦挙句、近代になると徴兵制が爆誕。(戦争観の変化)

 

⑧ナショナリズムと結びついた徴兵制は脅威だった。(戦争観の変化)

 

⑨反省・大国中心の勢力均衡と安全保障に平和を求める。(リアクション・戦争抑制)

 

⑩しかし戦争はなくならない!挙句、安全保障は秘密外交の温床になる。(逆説的結果)

 

⑪秘密外交によって列強間は対立・でかい戦争になる。(戦争規模の拡大)

 

⑫反省・秘密外交ダメ絶対!集団安全保障に平和を求める。(リアクション・戦争抑制)

 

⑬しかし戦争はなくならない!(逆説的結果)

 

 

 

【模範解答】

 

近代の国際戦争は、主権国家間の同盟関係と徴兵制によって、その規模が拡大した。主権国家が認識されるようになったのは、三十年戦争で皇帝権が徐々に無効化されたことに始まる。対内的な主権を拡大する各国は傭兵を戦争に導入し、ヨーロッパでは略奪が繰り返されるようになった。ウェストファリア条約以降、国際法による国際秩序の構築が求められるようになり、グロテティウスの「戦争と平和の法」でも平和が期待された。しかし、主権国家間の戦争を抑止はできず、フランス革命戦争に至っては、ナショナリズムの高揚によって、国民自身が戦争参加する徴兵制が生まれた。特にナポレオン時代の国民軍はとても強力で、再びヨーロッパに混乱を招いただけでなく、徴兵制を各国に定着させる契機でもあった。ウィーン会議以降、大国間の安全保障によって勢力均衡が目指されたが、安全保障は徐々に秘密外交に転じていく。秘密外交によってもたらされた第一次世界大戦では、戦争は長期化、徴兵制が拡大解釈され、総力戦にもつれこんだ。終戦後、十四か条や平和に関する布告で秘密外交は禁止とされ、国際連盟で集団安全保障による平和構築が目指されたが、第二次世界大戦を防ぐことはできなかった。

 

 

 

 

【武帝さんの論述解答も見てみる】

 

 

 

京大 2018年 大問3

 

 

【テーマ】

 

① 200年にわたる十字軍運動の性格はいかにして変化したのか?

 

② 十字軍道はヨーロッパの政治・宗教・経済にどのような影響を与えたのか?

 

 

定番の問題ですね。

 

 

※太字(黒)が武帝さんの解答です※

 

 

【一文が長過ぎ問題】

 

①当初十字軍はセルジューク朝に圧迫されたビザンツ帝国の要請を受け始められ、イェルサレムを奪い返すという宗教的な色彩を帯びており、第1回十字軍でイェルサレムを占領し、イェルサレム王国を建てたが、第4回十字軍でヴェネツィア商人の策略でビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを占領し、ラテン帝国を占領するなど後に経済的な色彩を帯びるもののなった。

 

 

 

①は、十字軍運動の性格の変化についてですが、一文がとても長い。

 

 

(1)十字軍は、イェルサレムを奪還するという宗教的情熱から始まった。(初期の性格)

 

(2)しかし、第四回の遠征で十字軍の性格が変容した。(性格の変容)

 

(3)ヴェネツィア軍がコンスタンティノープルを占領し、十字軍は世俗的な様相を見せた。(具体例)

 

 

 

少なくとも3文で構成できる。

 

 

一文ずつの役割を明確にした方が、採点者にも優しい。

 

 

 

 

第五回、第六回、第七回十字軍を「世俗的」と論述すると、多分減点されるので注意。

 

第五回でフリードリヒ2世はイェルサレムを回復している。

 

6回7回のルイ9世はエジプト方面に向かうも、アイユーブ朝とマムルーク朝の撃破はイェルサレム奪還の要件であったので、「世俗的」と断定するのは危険かと。

 

 

 

【列挙する順番もこだわれ!】

 

 

②十字軍運動により宗教面では教皇の権威が低下した。

 

③また政治面では十字軍に従軍した諸侯が没落し、国王の権威が上昇した。

 

④経済面では東西交通が盛んになり、貨幣経済が浸透し、封建社会の崩壊が促進された。

 

 

 

 

②と③と④の順番もこだわりたい。

 

 

十字軍の性格の変化を、

 

「宗教的」→「商業的」と定義しているのだから、

 

先に書くべきは、経済面における影響。

 

 

 

(4)十字軍を通じて、商業が活発化し、都市が成長した。(経済的影響)

 

 

次に、(4)を受けて、相対的に荘園における経済活動の停滞した内容を入れる。

 

この際、戦争の長期化による諸侯の没落も盛り込んでも良いと思う。

 

 

(5) 荘園の停滞、また戦争の長期化も相まって、諸侯の没落してゆく。(経済的変化及び政治的変化

 

(6)諸侯の没落は相対的に王権の伸張を促す(政治的変化その②

 

 

 

最後に、宗教面の影響を書けばよいが、

 

教皇は為政者でもあったし、世俗的権力と相対可能であるので、政治的変化としても扱う。

 

 

(7)また、宗教面では十字軍が失敗したことによって教皇権の失墜

   →これも相対的に王権の伸張を促す。(宗教的政治的変化

 

 

 

経済・政治・宗教に対する影響を、列挙するだけでなく、

 

経済的影響も宗教的影響も、政治的変化に繋がっていくよう描く。

 

 

つまり、経済・政治・宗教を有機的に捉えると良い!

 

 

 

 

 

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