自宅ゲーム会146 最終日 後半 TRIUMPH&TRAGEDY | とりあえず日々ボードゲーム

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日本の片隅、島根県の浜田市で日々ボードゲームにはまっている管理人が、とりあえずボードゲームについて色々と書いていく(予定)のブログです。

平成30年6月30日

 

 さて、芋の帰省にあわせたゲーム会最後のゲームです。

 

☆TRIUMPH&TRAGEDY

○概要

作者:CraingBesinque

対象年齢:14歳以上

対象人数:2-3人

標準時間:4-6時間程度

 

 第2次世界大戦時の欧州戦線を舞台にしたゲームです。コロンビアゲームズ製ではありませんが、戦力はブロックで表示され、3人のプレイヤーが連合国、枢軸国、共産国に分かれて欧州の覇権をかけ、軍事・外交・技術開発など多方面で争うゲームです。

 

①1年単位でゲームは進行します。年の初めに勝利条件をチェックし、該当していれば勝利となります。

②前年に戦闘に参加していなければ平和配当(ランダムな勝利点)を受け取れます。

③「資源」「人口」「工業力」によって生産力を決定し、その生産力を使ってユニットの新設または補充、アクションカードまたは資本カードの購入を行います。

④生産が終わると手持ちのカードで政治フェイズが行われます。政治フェイズでは主にアクションカードを用いて中立国を味方に引き込む外交、資本カードによる工業力の強化、資本カードによる技術開発のいずれかを行います。

⑤政治フェイズが終わるとコマンドフェイズとなります。コマンドフェイズでは春夏秋冬の4季節(冬はソ連がソ連国内のみで行動できるだけ)ごとにアクションカードをプレイし、アクションカードに書かれた数のユニットを行動させることが出来ます。

⑥コマンドフェイズにおける移動の結果、他プレイヤーや中立国のユニットのいるエリアに侵入した場合戦闘となります。戦闘はユニットの戦力分のダイスを振り、攻撃を仕掛けるユニットと目標となるユニットによってヒットとなる値が決定されます。

⑦各季節の最後にユニットの補給状況についてチェックし、補給が通っていなければ損害を受けます。

⑧現行の生産レベル、原子力研究、敵主要首都もしくは副次首都の支配、平和配当などにより勝利点が計算されます。1年の最初に規定のポイントがあれば勝利となります。また、いずれか2つの敵主要首都もしくは副次首都を支配すること、原子力爆弾技術の開発をすることでも勝利をすることが出来ます。

⑨1945年経過時に勝利条件をいずれのプレイヤーも満たしていなければ、その時点で最も勝利点の高いプレイヤーが勝利となります。

 

○プレイ経過

 担当国家は管理人が枢軸国、芋がソ連、ちいが連合国です。1936年開始のこのゲームでは、ゲーム開始時にはどの勢力も戦争を起こしておらず、主要国以外の中小国家は全て中立というところからゲームが始まります。

 

 手前のトラックは生産力トラックで、生産力に関わる3要素のブロックがトラック上に配置されています。生産力は3要素の最も小さい要素が基準となるため、ドイツの場合であれば人口、工業力に比べ資源の乏しさが目立ちます。とはいえ、平時であれば資源は生産力の基準からは除くため、ゲーム開始時の生産力はドイツがトップ、工業化の遅れているソ連が最も少ないという状況になります。

 

 最初の年はとりあえず各国とも外交による自勢力への取り込みを積極的に狙います。その中でも、ゲーム開始時の手札が他勢力の概ね倍というドイツは多分に有利で、かなり友好国を増やしていますし早々にスペインを衛生国(以後、外交の対象とならなず、軍事的に侵略されない限り裏切ることのない国家)として枢軸に参加させています。

 

 その翌年には史実に反して、ドイツが衛生国として平和裏にポーランドを併合。また、史実でも枢軸寄りのハンガリーも衛生国となります。この他、オーストリア、ルーマニア、ブルガリア、スウェーデン、デンマークとヨーロッパ各国が枢軸寄りとなっており、おかげで不足していた資源は急上昇、ついでに人口も上昇し、もともと工業化の進んでいるドイツは工業力の強化コストが安く済みそちらも上昇と、生産力で他の2勢力の1.5倍と差をつけます。

 

 ただ、翌1939年もありあまる生産力でアクションカードを買いあさり、引き続き外交攻勢を仕掛けようとしましたが、ここに来てカードがいまいちで1年を経過してもほとんど各国への影響力は変わりませんでした。とはいえ、生産力は順調に伸びておりこのまま外交攻勢を続ければ、平和配当を含め翌年にも勝利条件を達するという状況でした。

 

 

 管理人的にはそれでもいいかなあと思っていた矢先の1940年。史実ではポーランド侵攻後のドイツが返す刀でフランスに侵攻した年ではありますが、先手を撃ったのはドイツでもソ連でもなくちいの指揮する連合国で、フランスの後背に位置するスペインに攻撃を仕掛けたことで第2次世界大戦が勃発します。とはいえ、一旦は跳ね返すことに成功。

 枢軸としてはスペインに兵が向いているうちに、史実どおりベネルクス三国を踏み潰してマジノ線を迂回し、パリへの突入を計画します・・・が、ここで誤算だったのは今まで外交に力を入れすぎた平和主義のドイツはそれほど兵力が回復しておらず、見た目にはユニットがいるのですが、その実ほとんどは戦力2で、額面上の半分程度しかユニットがいない計算になります。

 

 しかも、ベネルクス3国に出現した要塞に一度攻撃がはじき返されるという始末で、連合国に必要な時間を差し出してしまった形となります。

 

 結果、何とか要塞を突破しパリに突入した時点でスペインは陥落しており、パリの防衛体勢もが整ってきています。ちなみに、ソ連方面もかなり危ういです。

 

 さて、そんなパリへの第一波はそれほど損害を与えることなくしのがれますが、第2波は戦力をかき集めて両勢力とも死力を尽くした戦いとなります。しかしながら、ぎりぎりのところでしのがれドイツの敗北。

 

 フランスへの反撃が失敗した時点の状況。どうみてもドイツはやばめですw

 

 連合国の反撃を受け、副次首都のルールが陥落。そのまま連合国のベルリン侵攻をうけ、ここでベルリンが陥落すれば連合国の勝利でゲーム終了でしたが、周囲の兵をかき集め何とか防衛しベルリン陥落だけは免れます。

 

 しかしながら、ベルリン防衛のためソ連との国境が手薄になったこともあって、最後の最後でソ連の侵攻を受け東からもベルリンに迫られたところで、1945年が終了しゲーム終了となります。

 

 この時点でどの勢力も勝利条件を満たしていないため、最終得点による勝負となりますが、連合国とドイツが争っている間に生産力を向上させていたソ連がリードしており、ソ連を担当した芋が勝利という結果でした。

 ちなみに、管理人から見るととソ連はサドンデスでもいいくらいの得点かと思っていましたが、平和配当の引きが見事(平和配当には「0点」のチットも多く含まれる)でほとんど得点に結びついておらず、サドンデスまではまだまだという状況だったみたいです。

 

○評価

 第2次世界大戦の欧州戦線を戦略的視点で描いたタイトルですが、ゲーム開始年度が開戦前の1936年となっているように外交関係もほぼ白紙の状態からのスタートで、大戦勃発までにどの国家を味方陣営に引き込むのか、どの陣営と対立するのか、勝利条件の多彩さもあって、戦争を起こさないことも許される自由度の高さが魅力のゲームとなっています。プレイ人数は2人からになっていますが、ほぼ3人専用といえる内容で、枢軸、連合、共産という3陣営それぞれがどの勝利条件を目指すのか、そして各陣営との関係をどのようにしていくのか、この辺りの駆け引きは難しいところです。戦争を起こさなければ序盤の外交力や工業力にアドバンテージがあるドイツがかなり有利なので、結果的にはいずれかの勢力によって第2次世界大戦が勃発するようなバランスになっているのは上手く出来ていると思いますね。

 面白いのは、外交、軍事、技術開発といった国家の発展要素を生産力の分配によりトレードオフとしているところで、これらの要素にどれくらい生産力をつぎ込むか、各国の情勢や目標とする勝利条件を勘案しながらの分配は毎ラウンド非常に悩ましいところです。なお、この辺りの要素が煩雑になりそうな印象はあるものの、基本的には生産フェイズで購入したものを政治フェイズでプレイするだけとかなりすっきりまとまっているのも好印象ですね。

 なお、状況の設定や積木を使用しているところなどはコロンビアゲームズの「ビクトリーインヨーロッパ(「自宅ゲーム会130 後半」を参照。)」に似た印象を受けますが、より戦略的な視点で構成されており、外交、技術開発などの幅も広く戦略的な自由度は上がっています。また、1エリア1エリアをかなり広範囲で設定していることとユニットのサイズが小さいこともあって視認性は比較的良好で、生産力の管理も勢力ごとにトラックが儲けられているので一目で分かるところなど、全体的なプレイアビリティはかなり優れていると言えます。反面、戦闘という視点で見た時には、同一種類のユニットは一律で同一の性能を持っており技術開発も一斉に適用されるなどキャラクター性という面ではやや味気ないところもあり(そのため、ユニットの情報が少なくてすみコマを小さく出来たともいえそうですが)、またエリアエリアが広範囲な分機動の余地は少なく戦力を集中させた正面からのぶつかり合いになりやすそうです。プレイアビリティはさておき戦闘面だけで見れば「ビクトリーインヨーロッパ」の方に旗が上がりそうですが、まあこの差はどこに重点を置くかなので、個人的にはそれぞれいいところがあって、どちらも面白いと思っています。

 とりあえず、まごうことなく重量級のタイトルでプレイにはかなりの時間がかかり、ウォーゲームらしく若干細々としたルールはあるものの、全体的にまとまっているためプレイはしやすく、第2次世界大戦の欧州戦線ものとして非常に高い評価を受けているのも納得のゲームだと思います。

 

 

 ここで時間となり、今回の芋の帰省にあわせたゲーム会は終了となりました。

 

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