愛輪との出会い。
海松葉の襲来。
事実の検証。
愛輪が相談に来てから、一日中が目まぐるしいまでに展開していった。
その翌日の朝11時過ぎだった。
愛輪はドジョウ旅館に宿泊しており、休憩処で休んでいたところを呼び出された。
愛輪は再び、事務所にやってきた。
愛輪「おはようございます。本主先生。磐田さん。」
本主「おはようございます。」
磐田「おはようございます。愛輪さん。」
愛輪「おはようございます。磐田さん。また、あの特製柚子ほうじ茶をいただきたいわ。ところで、丸越さんは?いらっしゃらないの?」
本主「丸越くんは、別件の調査で遠出しました。早朝、出発しましたよ。よろしくお伝えください、とのことです。」
愛輪「こちらこそ。大変な仕事ですわ。探偵業に規定のシフトや8時間労働なんて、有って無いようなものなんでしょうね。」
本主「言わずもがな、です。さて、磐田くん。済まないが、愛輪さんにあれを。」
磐田「あ、分かりました!今日は、昼食代わりに、飲茶をごちそうします。ちと早いですけど😅」
愛輪「ありがとう。磐田さん。いただきますわ。実は、朝は何も食べませんでしたから。もう胸苦しくて。」
本主「無理は、なさならないでください。飲茶の用意はしますが、まずは飲み物だけでも、いかがですか?」
愛輪「ええ。でも、特製点心も、いただきますわ。」
磐田が、点心とともに小さなポットや湯のみ🍵を持ってきた。
愛輪がポットを持ち、湯のみ🍵に注ごうと傾けた。
しかし、一向に出てこない。
愛輪が困惑し、ポットの蓋を取った。
次の瞬間、彼女は悲鳴をあげた!
愛輪「えぇ!?」
小さなポットには、何も入ってなかった。
代わりに、小さな巻物📜が!!!
そのまま、愛輪は気を失ってしまった。
愛輪が気付くと、ソファーで横になっていた。
タオルケットが掛けられており、額に冷たいタオルが乗っている。
そばには磐田がいて、額のタオルがぬるくなると、氷水の入ったボールから新しいタオルを取り出した。
ぬるくなったタオルを、またボールの氷水に浸けている。
愛輪「あ、あたくし。どうしてしまったのでしょう?」
磐田「先生!気が付かれたみたいです。」
颯爽と近寄ってきた本主は、本当に心配そうな表情を浮かべていた。
本主「大変、申し訳ない。まさか!ここまでショックを受けるとは思いませんでした。」
愛輪は、あれを思い出して、飛び起きた。
飲茶用の小さなポットに入った巻物📜!
愛輪は震える手で、ポットから取り出し、広げた。
愛輪「ああ!そう!そうです!これです!この手紙です!これを、この手紙を、どれほど取り戻したかったか!」
やっと恐怖と混乱、不安と苦悩から解放された!という安堵の笑顔で、愛輪は本主を見つめた。
愛輪「ああ!ありがとう。本当に、ありがとう。ありがとうございます。この、たった一通だけが問題でしたの。」
本主「あなたの、その笑顔を目の当たりにできて。僕は探偵として・・・。いや、男として、最高の幸せを感じます。少々、ヤンチャが過ぎて、すみませんでした。」
愛輪「ヤムチャじゃなくて、ヤンチャだなんて。あなたも相当、お茶目さんですこと😂」
本主「お茶目と言われたのは、初めてですよ。さあ、今度は本当に飲茶です。まずは、ゆっくりされてください。」
愛輪「後で、皆さんと一緒にいただきたいわ。それより、先生。どうやって、これを?」
本主「少しゆっくりされてからの方が、よろしいのでは?」
愛輪「いえ、早く伺いたいのです。安心してから、"一緒"に、磐田さん特製の飲茶を楽しみたいわ。そもそも、昨日の今日ですよ?昨日、相談したことですよ?まさか、今日解決していただけるなんて。申し訳ないけど、夢幻かとさえ思ったほどです。」
本主「・・・でしょうね。お役に立てて、光栄に感じます。お望み通りに、後で"一緒に"、皆で飲茶を楽しもう!まずは、全てを明かしましょう!」
磐田もタオル類を洗濯に出し、ボールを洗い終えて、自分のデスクに着席した。
何しろ、最近の記録係は磐田の仕事になったからである。
本主「ポイントは、海松葉があなたに手紙一束を"全て"ちらつかせたことにありました。」
愛輪「ええ。あたくしも、気になっておりました。でも、あの一通の内容を確かに言っていましたし、あいつの手中にあるとばかりに。」
本主「そうでしょうね。でも、まずは、ここから話します。海松葉の野郎のデータは、うちの事件簿"ま行"のファイルでも、6割を占めています。魔守屋より多い。海松葉は、相手の弱みを握る為に、必ずスパイを送り込んで調べあげるのです。」
愛輪「ええ。存じてます。」
本主「海松葉が送り込んだスパイは、参密家の使用人として隠密活動を開始した。そして、とうとうスキャンダルにつながる手紙と隠し金庫の存在を知った。あなたの言うように、参密 戒という男。精神的にどこか幼いので、スキャンダルのリスクが分かってない。ただ、あなたとの想い出が忘れられず、あなたを捨てたくせに、手紙は保管していたのです。」
愛輪「そう。中身が幼いのです。彼は、そんなふうに育てられたからかもしれませんわ。あたくしは遊び相手、今の奥さまは結婚相手。自分の気持ちは分からせたいけど、相手の気持ちは分かろうともしない。都合次第で、捨てるか否かを勝手に決める。それでも可愛がられ、褒められてきたのでしょうね。」
本主「そうかもしれませんな。で、スパイは海松葉に報告。奴は、プロの盗賊・虎衣🐯と結託し、虎衣🐯は見事に盗んだ。盗まれたと思い知った時、初めて戒くんはスキャンダルと破滅について、取り返しのつかない一大事と気付いた。彼はパニックになって、あなたとの"その一通の手紙"のことで大騒ぎしたのでしょう。この様子を盗聴記録したスパイから、すぐ海松葉に報告された。だから、海松葉は、大まかな内容までは把握できた。」
愛輪「・・・。」
本主「海松葉は、早速!手紙の束から、あなたに一番、致命的打撃を与える一通の手紙を探した。しかし、見つからなかった。」
愛輪「え?見つからなかった?」
本主「そうです。海松葉のその後の行動が、全てを物語っている。わざわざ、あなたの自宅へ乗り込み、一々、全てを見せつけ、恐喝する。昨日は昨日で、ここへ乗り込み、僕を恐喝してきた。奴が乗り込むなんてこと、一度もないケースでした。必ず標的を屋敷に呼び寄せて、隠し撮りや録音ができないよう、透視検査までしますからね。最新の科学技術で、いとも容易く発見できてしまう。」
愛輪「それにしても、海松葉が、ここにも来たとは恐ろしい人だわ。あたくしの身辺を見張ってるんですね。」
本主「ええ。そうです。しかしながら・・・お陰様で、僕の確信はさらに強化されましたよ。奴は、その一通だけ持っていない!と。その一通が切り札として重要なことは、奴も知っている。だからこそ、あたかも持っていると思い込ませる必要がある。それで、あなたや僕のところに乗り込み、過剰なまでに脅してきた。あの余裕のなさ!弱い奴ほど、強い振りをして喚き散らすものです。自分が内心、恐いから。それ以上に、相手を恐がらせようとする。」
愛輪「ああ。あたくしは、本当に動転しておりましたから。そこまで冷静に判断できませんでしたわ。あいつが持っていなかったなんて。悔しいわ。でも、誰が持っていたのですか?」
本主「虎衣🐯ですよ。盗んだものは、必ず吟味する習癖があるんです。手紙一束を全て読み、虎衣🐯もその一通こそ重要な切り札になる!と気付いた。そして、恐喝屋を逆恐喝したに違いない。おそらく、当初の報酬の何倍もの額を要求したんじゃないだろうか?盗んだものを高く売るのも、虎衣🐯の習癖ですから。」
愛輪は、瞬きも忘れ、ひたすら聞き入った。
本主「海松葉は商談に応じただろう。しかし、その前に虎衣🐯は逮捕され、奴の盗んだもの全てが警察に押収された。海松葉は、それでも奴の隠れ家を調べたに違いない。そして、切り札が手に入らないと知り、あなたや僕に圧力を掛けたというわけです。」
愛輪「まるで、逆空城の計ですわ。」
本主「なるほど。で、僕は旧知の警部に協力願い、虎衣から押収した全てを調べた。そして、やはり!虎衣の押収品の中に、🐭窮鼠猫を咬む😿という作品があった。そのネズミの中に、あなたの一通の手紙が見つかったというわけです。」
愛輪「考えもつきませんわ。まさか、警察署に、これがあったなんて。」
本主「警察と言えども、海松葉に弱みを握られた幹部連中もいるだろう。一刻も早く、見つけなければ、奴の手中に落ちる!だから、昨日の内に急いだ。奴が気付く前に、ケリをつけたかったのです。」
愛輪は「ありがとうございました。」と言うと、ソファーの手前にある机に近寄った。
置かれていた灰皿の上で、近くのライターを手に取り、手紙を燃やしてしまった。
愛輪「さあ!綺麗さっぱり。かえって手書きで正解でしたわ。メールなんかだったら、復元されたり、悪質なアプリで盗られて複製されたり。もう取り返しがつかなかったかもしれませんから。海松葉は、最新の科学技術を使い放題ですし。あの一通は、もうこの世にありません。」
本主「その点は、予め計算済みだったのでは?」
愛輪「あら。お分かりになりまして?先生。この度は、本当にありがとう。助かりました。御礼は予約時に伺いました相談料や諸経費に加え、倍額をお支払します。」
本主「いや、要りませんよ。諸経費なんて、大してかかってません。基本の相談料だけで、充分です。もし、よろしければ、あなたとの記念写真を一枚だけ。お願いできませんか?」
愛輪「分かりましたわ。喜んで。」
磐田はニヤニヤしながら、彼らのツーショットを撮った。
本主「このネガは、ここで現像します。あなたは、要りますか?」
愛輪「ええ。あたくしの分もお願い致します。」
本主「では、後日。連絡しますから、取りにいらしてください。」
それから、三人で早めの昼食だが、飲茶を楽しみ、明るく会食した。
そして、爽やかに、台風一過の青空さながらの笑顔で、愛輪は宿泊をキャンセルし、天の山町へ帰っていった。
磐田「先生。愛輪さんに恋しちゃったんですか?」
本主「そうであって、そうではない。」
磐田「え?」
本主「相思相愛だからさ。」
※探偵 本主観悟郎 in 〇遊記劇場3 1~9の巻における事件等はフィクションです。人物や団体、名称等は架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
─第4部へ、つづく─
海松葉の襲来。
事実の検証。
愛輪が相談に来てから、一日中が目まぐるしいまでに展開していった。
その翌日の朝11時過ぎだった。
愛輪はドジョウ旅館に宿泊しており、休憩処で休んでいたところを呼び出された。
愛輪は再び、事務所にやってきた。
愛輪「おはようございます。本主先生。磐田さん。」
本主「おはようございます。」
磐田「おはようございます。愛輪さん。」
愛輪「おはようございます。磐田さん。また、あの特製柚子ほうじ茶をいただきたいわ。ところで、丸越さんは?いらっしゃらないの?」
本主「丸越くんは、別件の調査で遠出しました。早朝、出発しましたよ。よろしくお伝えください、とのことです。」
愛輪「こちらこそ。大変な仕事ですわ。探偵業に規定のシフトや8時間労働なんて、有って無いようなものなんでしょうね。」
本主「言わずもがな、です。さて、磐田くん。済まないが、愛輪さんにあれを。」
磐田「あ、分かりました!今日は、昼食代わりに、飲茶をごちそうします。ちと早いですけど😅」
愛輪「ありがとう。磐田さん。いただきますわ。実は、朝は何も食べませんでしたから。もう胸苦しくて。」
本主「無理は、なさならないでください。飲茶の用意はしますが、まずは飲み物だけでも、いかがですか?」
愛輪「ええ。でも、特製点心も、いただきますわ。」
磐田が、点心とともに小さなポットや湯のみ🍵を持ってきた。
愛輪がポットを持ち、湯のみ🍵に注ごうと傾けた。
しかし、一向に出てこない。
愛輪が困惑し、ポットの蓋を取った。
次の瞬間、彼女は悲鳴をあげた!
愛輪「えぇ!?」
小さなポットには、何も入ってなかった。
代わりに、小さな巻物📜が!!!
そのまま、愛輪は気を失ってしまった。
愛輪が気付くと、ソファーで横になっていた。
タオルケットが掛けられており、額に冷たいタオルが乗っている。
そばには磐田がいて、額のタオルがぬるくなると、氷水の入ったボールから新しいタオルを取り出した。
ぬるくなったタオルを、またボールの氷水に浸けている。
愛輪「あ、あたくし。どうしてしまったのでしょう?」
磐田「先生!気が付かれたみたいです。」
颯爽と近寄ってきた本主は、本当に心配そうな表情を浮かべていた。
本主「大変、申し訳ない。まさか!ここまでショックを受けるとは思いませんでした。」
愛輪は、あれを思い出して、飛び起きた。
飲茶用の小さなポットに入った巻物📜!
愛輪は震える手で、ポットから取り出し、広げた。
愛輪「ああ!そう!そうです!これです!この手紙です!これを、この手紙を、どれほど取り戻したかったか!」
やっと恐怖と混乱、不安と苦悩から解放された!という安堵の笑顔で、愛輪は本主を見つめた。
愛輪「ああ!ありがとう。本当に、ありがとう。ありがとうございます。この、たった一通だけが問題でしたの。」
本主「あなたの、その笑顔を目の当たりにできて。僕は探偵として・・・。いや、男として、最高の幸せを感じます。少々、ヤンチャが過ぎて、すみませんでした。」
愛輪「ヤムチャじゃなくて、ヤンチャだなんて。あなたも相当、お茶目さんですこと😂」
本主「お茶目と言われたのは、初めてですよ。さあ、今度は本当に飲茶です。まずは、ゆっくりされてください。」
愛輪「後で、皆さんと一緒にいただきたいわ。それより、先生。どうやって、これを?」
本主「少しゆっくりされてからの方が、よろしいのでは?」
愛輪「いえ、早く伺いたいのです。安心してから、"一緒"に、磐田さん特製の飲茶を楽しみたいわ。そもそも、昨日の今日ですよ?昨日、相談したことですよ?まさか、今日解決していただけるなんて。申し訳ないけど、夢幻かとさえ思ったほどです。」
本主「・・・でしょうね。お役に立てて、光栄に感じます。お望み通りに、後で"一緒に"、皆で飲茶を楽しもう!まずは、全てを明かしましょう!」
磐田もタオル類を洗濯に出し、ボールを洗い終えて、自分のデスクに着席した。
何しろ、最近の記録係は磐田の仕事になったからである。
本主「ポイントは、海松葉があなたに手紙一束を"全て"ちらつかせたことにありました。」
愛輪「ええ。あたくしも、気になっておりました。でも、あの一通の内容を確かに言っていましたし、あいつの手中にあるとばかりに。」
本主「そうでしょうね。でも、まずは、ここから話します。海松葉の野郎のデータは、うちの事件簿"ま行"のファイルでも、6割を占めています。魔守屋より多い。海松葉は、相手の弱みを握る為に、必ずスパイを送り込んで調べあげるのです。」
愛輪「ええ。存じてます。」
本主「海松葉が送り込んだスパイは、参密家の使用人として隠密活動を開始した。そして、とうとうスキャンダルにつながる手紙と隠し金庫の存在を知った。あなたの言うように、参密 戒という男。精神的にどこか幼いので、スキャンダルのリスクが分かってない。ただ、あなたとの想い出が忘れられず、あなたを捨てたくせに、手紙は保管していたのです。」
愛輪「そう。中身が幼いのです。彼は、そんなふうに育てられたからかもしれませんわ。あたくしは遊び相手、今の奥さまは結婚相手。自分の気持ちは分からせたいけど、相手の気持ちは分かろうともしない。都合次第で、捨てるか否かを勝手に決める。それでも可愛がられ、褒められてきたのでしょうね。」
本主「そうかもしれませんな。で、スパイは海松葉に報告。奴は、プロの盗賊・虎衣🐯と結託し、虎衣🐯は見事に盗んだ。盗まれたと思い知った時、初めて戒くんはスキャンダルと破滅について、取り返しのつかない一大事と気付いた。彼はパニックになって、あなたとの"その一通の手紙"のことで大騒ぎしたのでしょう。この様子を盗聴記録したスパイから、すぐ海松葉に報告された。だから、海松葉は、大まかな内容までは把握できた。」
愛輪「・・・。」
本主「海松葉は、早速!手紙の束から、あなたに一番、致命的打撃を与える一通の手紙を探した。しかし、見つからなかった。」
愛輪「え?見つからなかった?」
本主「そうです。海松葉のその後の行動が、全てを物語っている。わざわざ、あなたの自宅へ乗り込み、一々、全てを見せつけ、恐喝する。昨日は昨日で、ここへ乗り込み、僕を恐喝してきた。奴が乗り込むなんてこと、一度もないケースでした。必ず標的を屋敷に呼び寄せて、隠し撮りや録音ができないよう、透視検査までしますからね。最新の科学技術で、いとも容易く発見できてしまう。」
愛輪「それにしても、海松葉が、ここにも来たとは恐ろしい人だわ。あたくしの身辺を見張ってるんですね。」
本主「ええ。そうです。しかしながら・・・お陰様で、僕の確信はさらに強化されましたよ。奴は、その一通だけ持っていない!と。その一通が切り札として重要なことは、奴も知っている。だからこそ、あたかも持っていると思い込ませる必要がある。それで、あなたや僕のところに乗り込み、過剰なまでに脅してきた。あの余裕のなさ!弱い奴ほど、強い振りをして喚き散らすものです。自分が内心、恐いから。それ以上に、相手を恐がらせようとする。」
愛輪「ああ。あたくしは、本当に動転しておりましたから。そこまで冷静に判断できませんでしたわ。あいつが持っていなかったなんて。悔しいわ。でも、誰が持っていたのですか?」
本主「虎衣🐯ですよ。盗んだものは、必ず吟味する習癖があるんです。手紙一束を全て読み、虎衣🐯もその一通こそ重要な切り札になる!と気付いた。そして、恐喝屋を逆恐喝したに違いない。おそらく、当初の報酬の何倍もの額を要求したんじゃないだろうか?盗んだものを高く売るのも、虎衣🐯の習癖ですから。」
愛輪は、瞬きも忘れ、ひたすら聞き入った。
本主「海松葉は商談に応じただろう。しかし、その前に虎衣🐯は逮捕され、奴の盗んだもの全てが警察に押収された。海松葉は、それでも奴の隠れ家を調べたに違いない。そして、切り札が手に入らないと知り、あなたや僕に圧力を掛けたというわけです。」
愛輪「まるで、逆空城の計ですわ。」
本主「なるほど。で、僕は旧知の警部に協力願い、虎衣から押収した全てを調べた。そして、やはり!虎衣の押収品の中に、🐭窮鼠猫を咬む😿という作品があった。そのネズミの中に、あなたの一通の手紙が見つかったというわけです。」
愛輪「考えもつきませんわ。まさか、警察署に、これがあったなんて。」
本主「警察と言えども、海松葉に弱みを握られた幹部連中もいるだろう。一刻も早く、見つけなければ、奴の手中に落ちる!だから、昨日の内に急いだ。奴が気付く前に、ケリをつけたかったのです。」
愛輪は「ありがとうございました。」と言うと、ソファーの手前にある机に近寄った。
置かれていた灰皿の上で、近くのライターを手に取り、手紙を燃やしてしまった。
愛輪「さあ!綺麗さっぱり。かえって手書きで正解でしたわ。メールなんかだったら、復元されたり、悪質なアプリで盗られて複製されたり。もう取り返しがつかなかったかもしれませんから。海松葉は、最新の科学技術を使い放題ですし。あの一通は、もうこの世にありません。」
本主「その点は、予め計算済みだったのでは?」
愛輪「あら。お分かりになりまして?先生。この度は、本当にありがとう。助かりました。御礼は予約時に伺いました相談料や諸経費に加え、倍額をお支払します。」
本主「いや、要りませんよ。諸経費なんて、大してかかってません。基本の相談料だけで、充分です。もし、よろしければ、あなたとの記念写真を一枚だけ。お願いできませんか?」
愛輪「分かりましたわ。喜んで。」
磐田はニヤニヤしながら、彼らのツーショットを撮った。
本主「このネガは、ここで現像します。あなたは、要りますか?」
愛輪「ええ。あたくしの分もお願い致します。」
本主「では、後日。連絡しますから、取りにいらしてください。」
それから、三人で早めの昼食だが、飲茶を楽しみ、明るく会食した。
そして、爽やかに、台風一過の青空さながらの笑顔で、愛輪は宿泊をキャンセルし、天の山町へ帰っていった。
磐田「先生。愛輪さんに恋しちゃったんですか?」
本主「そうであって、そうではない。」
磐田「え?」
本主「相思相愛だからさ。」
※探偵 本主観悟郎 in 〇遊記劇場3 1~9の巻における事件等はフィクションです。人物や団体、名称等は架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
─第4部へ、つづく─