スペインリーグ、栄冠の行方は? | 欧州野球狂の詩

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 例年、2月末には開幕を迎えるスペインのディビシオン・デ・オナー。今年はスペイン代表がWBCに参戦していたため、例年よりも遅れての開幕となります。それでも、現地時間3月16日に行われた開幕戦は、ヨーロッパ各国の中では最も早いもの。いよいよ、今年も欧州の地に球春が到来しました。


 今年のスペインリーグは、昨年バレンシア・アストロズを破ってリーグ優勝を遂げた、ベースボール・バルセロナを軸に展開されることになります。開幕戦では、古豪プエルトクルーズ・マーリンズを本拠地モンジュイックで迎え打ちます。一方、バルセロナに王座を阻まれたアストロズは、敵地ブラーダでベースボール・ナヴァーラと対戦することになっています。


 その他の開幕カードですが、今年はC.B.サンボイとC.B.ビラデカンスによるカタルーニャ勢対決がいきなり実現。C.D.パンプローナは、本拠地にエル・イラーノを迎えることになりました。また、昨年冬にヴィーゴ・ファルコンズがリーグを脱退して以降、彼らに代わるチームが結局現れなかったため、今年のスペインリーグは9球団での開催となります。このことから、サンイナジオ・ビルバオが他球団から1週間遅れて、リーグ開幕を迎えることになりました。


 レギュラーシーズンは3月16日から7月28日まで争われ、上位2チームが5回戦制のスペインシリーズに進出、頂点をかけて争うことになります。果たして、今年はアストロズが頂点を奪い取ることができるのか?それとも、バルセロナが王座防衛に成功するのか?ここからは、2013年シーズンに臨む各球団の概況について触れてみたいと思います。


(1)ベースボール・バルセロナ

 過去2シーズンで見事連覇を果たしたベースボール・バルセロナ。財政難により、FCバルセロナ傘下を離れることを余儀なくされたにもかかわらず、スペインはもとよりヨーロッパ全体の中でも、依然としてトップクラスに数えられる強豪チームであり続けている。当然、今季も優勝候補の筆頭に挙げられるチームの1つだ。投手陣には、大エースのリカルド・ヘルナンデス(ネットゥーノ)がイタリアから復帰。アルベルト・マガロンとホルヘ・バルボアの両名が、彼をサポートする役割を担う。オスカー・アングロ、ケビン・マローン、ヘスス・ゴリンダーノ、ホセ・ルイス・リエラ、パウ・サンチョを中心とする打線も強力だ。


(2)バレンシア・アストロズ

 昨季はシーズン1位でスペインシリーズに駒を進め、優勝候補とみられていたものの、バルセロナに敗れて惜しくも準優勝に終わった。その雪辱を期してか、フアン・ガルシア監督は再び強力なチームをリーグに送り込んできた。チームの外国人枠には、ラリー・インファンテ、ブレイク・オチョア、オシリス・パスカルという3選手が並ぶ。投手陣からは、昨季の2枚看板であるトレバー・コフィーとペドロ・パブロ・ベルモンテが抜けたものの、その代わりとしてスペイン代表メンバーのローウィン・サクラメントとペドロ・ルイス・ペラーザを獲得。信頼できる投手の補強で穴は埋まった。


(3)プエルトクルーズ・マーリンズ

 ネスター・ぺレス監督は、リーグの中で最も若く、しかしもっとも強いチームの1つであるマーリンズを、再び指揮することになる。彼らはかつてそうだったように、リーグの中で圧倒的な地位を勝ち得ているわけでこそないが、依然として優勝候補の一角であり続けていることも確かだ。リチャード・モンティエルとレスリー・ナカーの両ベテランは、攻守両面においてチームを引っ張る存在となっている。今年の外国人枠には、エドウィン・エンカーナシオン(もちろん大リーガーの方ではない)、ホセ・マニュエル・メレンデス、ルーベン・レイコフ、ネイサン・ウィートリーという4名で占められた。また、いずれも昨季の主力だったヤンカルロ・フランコ、デイオンとレスターのガルヴァン兄弟、ホセ・ルイス・サラザーの4名も残留を決めている。


(4)C.B.ビラデカンス

 エドガー・ヘルナンデス新監督は、同じカタルーニャ州のクラブであるC.B.サンボイから引き抜かれた。今年は新しい球団で、歴代最多のタイトル獲得数を誇る元の「職場」が、近年続けている成長具合を再現しようとしている。彼がサポートを受けるのは、フェリックス・カノー・シニアと元マイナーリーガーのデニー・デへスス・ニーノの両コーチだ。兼任コーチであるニーノの他、ホセ・モンタナ、ホセ・オヴァレス、ミゲル・バルデスが今季の助っ人としてチームに加入した。また、フェリックス・カノー・ジュニアとポル・ロピスの両主力も残留が決まり、チャンピオンシップを手繰り寄せうるだけの戦力が整った。


(5)C.B.サンボイ

 前指揮官のヘルナンデスをヘッドハンティングされたサンボイは、新たにカンデラリオ・ディアスを監督として迎えた。今季WBCでマウロ・マゾッティ監督の下、スペイン代表のアシスタントコーチとして指導にあたっていた人物だ。エンジェルス傘下で投げていた元マイナーリーガーのホセ・ロペスの他、ルイス・アルベルト・ブルゴス、ステファノ・ピストッチ、ラファエル・リバスが新たに外国人として加わった。マルク・カリー路、ハビア・シビット、ダニエル・マティアス、ヤエコ・バスケス、ウィリアム・ドメロ、ルーベン・フエンテ、ダニエル・マルティネスといった既存の戦力も強力で、今年は何としても4強返り咲きを果たしたいところ。


(6)サンイナジオ・ビルバオ

 今季は球団数が奇数となることから、開幕が他球団と比べて1週間遅れることになるビルバオ。ペドロ・ポルセロ監督以下、チームは今年こそリーグの上位に割って入ろうと意気込んでいる。チーム唯一の外国人選手であるフアン・ホセ・ロペスの他、ケルビン・マリアヌッチ、ラファエル・リアムス、ホセ・モラレスといったチームの中心選手たちが、その目標を果たすうえで中心的な役割を担うことになるだろう。彼らの活躍次第で、今季のチームの命運は大きく変わることになる。


(7)ベースボール・ナヴァーラ

 サンボイ同様、ナヴァーラもまた新指揮官にWBCスペイン代表のコーチを迎えた。スペインジュニア代表監督としての経歴も持つ、ミゲル・エロッズだ。彼は今季、チームを上位へと引き上げる重要な仕事を任されることになる。助っ人外国人選手としては、ルイス・ミゲル・サントスとオカウリー・モンテロが新たに加入。新手法としての期待がかかるモンテロの打棒を、エマニュエル・フェブレスとヘクター・ペローゾの両者がサポートすることになる。一方の投手陣では、若手の成長が大きなカギを握る。アンドレス・カサードとヨーキング・セスペデスの両期待株が、どれだけマウンドで結果を残せるかがポイントだ。


(8)C.D.パンプローナ

 ナヴァーラにとっての同郷のライバルであるパンプローナは、昨季は強豪相手にサプライズな勝利を挙げるなど、印象に残る戦いぶりを演じた。もっとも、そうした金星を以てしても上位進出を果たすには至らず、今季もリーグの下位にとどまることが濃厚とみられている。アルベルト・カサネラス監督は、アレクシス・フメロ、アドニス・アルカンタラ、ジェローム・オリバー・デブライス、ガブリエル・ゲレーロ、ラファエル・ラミレスと精力的な補強を展開したが、中でも最も期待度が高かったゲレーロが、故障のために開幕シリーズ出場を逃したのは痛かった。昨年のチームのトップヒッターであったフェルナンド・ぺレスは、20歳の若さにして今季大爆発する可能性を秘めている。


(9)エル・イラーノ

 エル・イラーノは昨年1部復帰を果たしたものの、特に上位勢とはお世辞にもコンペティティ部な戦いができたとは言えなかった。しかし、36試合中8試合で白星をゲットしたのは、昇格チームの戦績としては悪くない。カルロス・ロペス監督以下、チームが依然として生まれ変わるには長い道のりを擁することは間違いないが。今季の助っ人選手は、ヴィト・ルイス・アバティスタ、ラファエル・アンヘル・バレーラ、ヌエヴォ・デラクルス、ウィルキン・エスカニオ、ヘンリー・ヘンセン、アルフレド・トーレス、ヘクター・ベラスケスという面々。このうち、昨季も主力だったエスカニオが残留したことは、首脳陣にとっては朗報と言えるだろう。


ソース:http://www.mister-baseball.com/spanish-division-de-honor-starts-2013-season/