しっかりせよ!日本企業
川重製MRT車両、試運転中に故障
品質の代名詞である「メイドインジャパン」が輝きを失いつつある。
日本が憧れの目で見られたのは、この「日本製」も大切な要因だった。
90年代前半、マレーシアで製造したソニーのTVが発火し、
人的被害が複数出たことから、アジア人が抱いていた「ソニーは最高」という
神話が崩れた。当時、上海に居た私は、「ソニーは値段が高いだけ」と話す
中国人に何人も出会った。
ソニーはその後、携帯電話でも韓国製に敗れ、「ソニー神話」は潰えた。
そんな中で、台湾は今でも「日本製」が高く評価されている国だが、
その台湾で、日本企業が「信用」を失墜させかねない事故を起こした。
台湾第二の都市 台中市が10年の歳月を掛けて、完成させたMRTの
試運転が16日から始まった。
試運転期間中は無料とあって、5日で30万人の市民が乗り心地を体験していた。
そのMRTが21日、突然車両故障を起こし、試運転が中止された。
(故障部品の説明を受ける盧秀燕台中市長 真ん中の女性)
MRT側は、12月19日の正式開業の日程に影響はない、と発表した。
車両17両を製造した川崎重工業は、謝罪を表明、
故障したコネクタターは米国製品で、現在製造元へ問い合わせ中とした。
部品がどこ製だろうと利用者には関係ないことだ。
今は、多国籍の部品で物を造る時代で、どこの何を使おうが、
徹底した安全を確かめて、納入するのが大原則、
川重のコメントは、製造元とは思えない誠実さに欠ける。
別の16両のコネクターは安全なのか、市民からは徹底点検を求める声が
相次いだ。
私が危惧するのは、2年前日本製の車両が運転士の運転ミスで
大事故を起こしたことが関係している。
2018年10月21日、台北から花蓮に向かっていた台湾鉄道の特急プユマ号が、
スピードの出し過ぎでカーブを曲がり切れず、8両すべてが脱線、
うち5両が転覆して、198人の死傷者を出した。
車両は日本車両が製造した振り子式の新型車両だった。
この事故では、速度遠隔監視装置が配線ミスで作動しないまま輸出されていたことが
判明した。
事故の直接原因ではなかったが、この時「日本製は大丈夫か?」という疑問が
各方面から起きた。
大事故から2年後に起きた台中市のMRT故障事故、
今回は乗客に被害はなかったが、「メイドインジャパン」の信頼は
こうしたことの繰り返しで、失われていくことを関係者は肝に銘ずるべきだ。