開始直前。。電王戦FINAL/第5局「阿久津八段-AWAKE」
プロ棋士と将棋ソフトの代表による5対5団体戦。
毎週土曜日に好評開催中の電王戦FINAL。
ここまで4局を消化し、対戦成績は2勝2敗の五分。
本日いよいよシリーズ最終戦となる大将戦/第5局が
東京・将棋会館にて行われます。
大将戦のカードは
「阿久津主税八段-AWAKE」
「AWAKE」の開発者・巨瀬亮一氏は
元奨励会員で阿久津八段とは同期入会という因縁も。。
ここまでの対局をみる限り
将棋ソフト側の品質にかなりの差を感じるだけに
電王戦初出場にして大将をつとめる「AWAKE」の実力に
大きな注目が集まります。
プロ棋士側代表の阿久津八段は現在32歳。
居飛車、振り飛車を問わず柔軟で意欲的な序盤戦術に
強味と魅力を持ち、本局も出来るだけ早い段階から自らの
想定局面に誘導して、研究勝負に持ち込みたいところ。
逆に、指運がものをいうような
泥沼の終盤戦になれば将棋ソフトの独壇場となり
ほぼ勝ち目がないだけに、先手となる阿久津八段の
序盤戦術が勝敗の大きな鍵となりそうです。。
対局開始は午前10時予定。
電王戦シリーズの最後を飾る熱き戦いを
ぜひ、お見逃しなく。。
けじめの一局。。明日は電王戦FINAL/第5局「阿久津八段-AWAKE」
プロ棋士と将棋ソフトの代表による5対5団体戦。
毎週土曜日に好評開催中の電王戦FINAL。。
3月14日の開幕戦から
ここまで4局を戦い、2勝2敗のイーブン。
【 第1局 】
3月14日 京都府京都市「二条城」にて。
「斎藤慎太郎五段-Aprey」
【 投了図・115手目▲8二同飛成 】
投了図での持ち駒
投了図での持ち駒
▲斎藤五段: 飛、金、銀4、歩3
△Apery: 歩
戦型は「Aprey」の角道を止める「四間飛車」を
斎藤五段が居飛車に迎え撃つ「対抗形」。。
中盤の攻防で2筋突破に成功した
斎藤五段が圧倒。開幕戦勝利をものにしました。
【 第2局 】
3月21日 高知県高知市「高知城」にて。
「永瀬拓矢六段-Selene」
88手目▲2七角不成。
上図での持ち駒
▲Selene: 金、銀、歩
△永瀬六段: 角、桂2、歩2
相居飛車の力戦模様から
難解なねじり合いとなった第2局は意外な結末が。。
「Selene」の猛攻を凌ぎ永瀬六段が反撃に転じて
上図の局面で「Selene」は角の不成りを何と認識出来ず
王手放置の反則負けとなりました。。
【 第3局 】
3月28日 北海道函館市「五稜郭」にて。
「稲葉陽七段-やねうら王」
【 投了図・116手目△4六龍 】
投了図での持ち駒
▲稲葉七段: 飛、金、銀、香、歩2
△やねうら王: 角、金2、銀2、桂、歩6
プロ棋士側の開幕2連勝で迎えた第3局
将棋ソフトの代表として昨年の大会でも高評価を得た
「やねうら王」が満を持して登場。
将棋界の次代の担い手
「関西若手四天王」の一角・稲葉七段を向こうに回し
後手番で古式ゆかしい「横歩取り△3三桂」型を
飄々と投入しました。。
内容的には「やねうら王」の圧勝。
序盤、中盤、終盤ともにつけ入る隙を全く与えず
完成度の高さをみせつけ、将棋ソフト側の初白星を飾り
シリーズの流れをガラリと変えます。。
【 第4局 】
4月4日 奈良県奈良市「薬師寺」にて
「村山慈明七段-ponanza」
【 投了図・97手目▲2一飛打 】
投了図での持ち駒
▲ponanza: 銀、歩4
△村山七段: 金、銀、桂2、歩
続く副将戦には
将棋ソフト界のアイコンであるスーパーエリート
山本一成氏開発の「ponanza」が登場。。
前回大会では大将戦で屋敷伸之九段に勝利 しており
本局も戦前の予想では「ponanza」を押す声が圧倒的でしたが
結果はその予想通り、村山七段に見せ場すら与えず圧勝。。
戦型は村山七段の注文で「相横歩取り」。
自陣に手厚い要塞を築いた「ponanza]は余裕の駒運びで
村山七段を押さえ込み、最後は華麗な寄せで一本勝ち。
堂々の対プロ棋士3連勝で、対戦成績を五分に戻しました。
プロ棋士側の開幕2連勝からの2連敗で迎える
明日はいよいよ大将戦。この形式での大会も今回で最後となり
文字通りの最終戦を戦うのは、フレッシュな両雄。。
プロ棋士側の大将は、阿久津主税七段。
兵庫県西宮市のご出身で、滝誠一郎七段門下。
奨励会在籍の頃より、将来を嘱望された逸材で
若干17歳にして「四段、プロデビュー」を果たしました。
タイトル獲得こそまだないものの棋戦優勝2回を誇り
プロ入り後も着々と実績を積み上げながら出世街道を
ひたむきに歩続けます。。
しかし、前期の成績は32戦14勝18敗(.438)。
初参戦を果たしたA級順位戦では最高峰の洗礼を受け
一つの白星も飾ることなく9戦全敗。。
高くて厚い壁にはね返された
辛くて厳しいシーズンを過ごしましたが、現在32歳の
阿久津八段が指し盛りを迎えるのはむしろこれから。。
端正でスマートな見た目そのままに
阿久津八段の構えも気取りもない自然体の物腰は
育ちの良さを如実に物語りますが、明日は勝負師の本能を
全開にして、プロ棋士側初の勝ち越しを決めて欲しい!
一方、将棋ソフトの大将をつとめるのは
巨瀬亮一氏開発の[AWAKE」。
あの「ponanza」を制して
第2回電王トーナメントに優勝した謎のソフトがついに
電王戦FINALでそのベールを脱ぎます。。
巨瀬氏もかつて奨励会に在籍しプロ棋士を目指したひとりであり
くしくも奨励会入会は平成14年と阿久津八段とは同期の関係に。
巨瀬氏で印象的なのは
第2回電王戦トーナメント優勝後のインタビュー。。
「(「電王戦FINALのテーマは)プロのレベルを引き上げること」
「(だからといって)わざと負けたりはしない」
やはり同じく奨励会入会同期である
第2回電王戦出場の佐藤慎一五段ばりにテンパりながら
声を震わせ、電王戦への抱負を語った巨瀬氏。
その時、胸中に去来していたものは何だったのか?
自信か、自負か。。そもそも誰に向けられた言葉だったのか。
今泉新四段の自伝 を読んで
奨励会の過酷さを生々しく感じている今にして思うと
巨瀬氏の言葉は重く、切なく、そして生命力を漲らせながら
心にズッシリと響きます。
将棋の魅力は自分との戦い。
怠け者の寝言や弱虫の涙が入り込む余地のない
完全実力制の過酷な世界だからこそ興味を惹かれる。
電王戦のテーマは本当に
人間対コンピュータプログラムだったのか?
個人的には明日の大将戦は
電王戦FINALの最後を飾るにふさわしいカードだと感じ
この日が来るのを心待ちにしていました。
試されるのが人間力とは言いませんが、ただ
明日、何がしかのドラマが生まれるとするならば
それは人の「意志」からであると信じています。。
□□□
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【 序 章 】
「私と将棋界」
柔らかブログ誕生のきっかけとなった
第21期竜王戦以降の将棋界を熱く振り返ります。
【 第一章 】
「愛知女子将棋界の駒音」
山口真子さん/中澤沙耶さんインタビュー
【 第二章 】
「明日咲く花」
今泉健司さんへのエール&ミニインタビュー
第73期名人戦7番勝負/第1局「終局直後」
【 投了図・60手目△4三銀 】
投了図での持ち駒
▲行方八段: 金、歩5
△羽生名人: 金、銀、歩
昨日、決着をみました
注目の 第73期名人戦7番勝負/第1局は
上図60手までで、後手・羽生善治名人が勝利。
「相矢倉」の出だしから行方八段が「早囲い」をみせると
羽生名人が「急戦」を示唆して、力戦模様の将棋となり
先手の構想を巧みに封じ込めた羽生名人が短手数で
勝利をものにし、圧巻の白星発進を決めました。。
【 終局直後の談話 】
羽生名人
似たような将棋を指したことがあり
6八飛はもしかしたらあるのではないかと思った。
39手目▲6八飛。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩3
△羽生名人: 歩2
2日目の夕刻時点では互いに
目的がはっきりしない将棋でこちらも形がゆがんでおり
分からなかった。
銀を取って駒得になりよくなったと思った。
58手目△6四角。
上図での持ち駒
▲行方八段: 金、歩5
△羽生名人: 金、銀、歩
行方八段
6八飛は指そうと思っていた手。
いざ指す段になってどうなるかと思って長考した。
封じ手の4三金左も正直あまり考えてなく
40手目△4三金左。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩3
△羽生名人: 歩2
5三金寄(46手目)で作戦をとがめられてしまった。
これでは話にならない。もっとましな将棋を指します。
46手目△5三金。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩4
△羽生名人: 歩2