三浦九段は「不正の証拠無し」。。揺るがぬ未来、「加藤九段-藤井四段を振り返ろう」
本日、午後3時より
三浦弘行九段の「将棋ソフト不正使用疑惑」に関して
日本将棋連盟が委嘱した但木敬一弁護士を委員長とする
第三者調査委員会が会見を開き、その中で
三浦九段が
「不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はない」
との調査結果が発表されました。
証拠もなしに連盟が下した
竜王戦挑戦権剥奪を含める出場停止処分については
「疑惑が解消されないという
非常事態における措置として規律権限の範囲内にあり
当時の判断としてはやむを得なかった」
との見解を示し、一定の理解を示しましたが
疑惑をもたれた対局中のスマホ使用、離席率、そして
ソフトと指し手の一致率に関しては証拠価値に乏しいと
一蹴し、三浦九段のほぼ全面勝訴となりました。
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すっきりしたような、しないような。。
複雑な気持ちですが、今回は先週の土曜日(24日)
クリスマスイブに行なわれました、注目の新・旧神童対決
「加藤一二三九段-藤井聡太四段」の模様を振り返ります。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: なし
先手は加藤九段。
御歳76歳となった「神武以来の天才」の初手は
角道を開く▲7六歩から。。
対します、本局がデビュー戦となる14歳
加藤九段が62年間保持した最年少記録を更新した
神童の記念すべき初手は飛車先を突く▲8四歩でした。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: なし
早々と居飛車を明示した後手に対して
加藤九段は3手目▲6八銀とし「矢倉」を明示。。
29手目▲6八角。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: なし
「矢倉」を得意とする藤井四段も
先手の駒組みに追随し、注目の顔合わせは
いざ、将棋の純文学「相矢倉」を目指します。。
33手目▲8八玉。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: なし
最近のプロ将棋では
急戦調の「矢倉」が幅を利かせますが
本局は、じっくりとした駒組みが進行。。
後手玉に続けて(32手目△2ニ玉)
先手玉も「矢倉囲い」の中へ玉の入城を完了し
格調高く「相矢倉」が完成しました。。
37手目▲1五歩。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: なし
次に両者は突かれた端歩を受けることなく
藤井四段が9筋の位を取れば(36手目△9五歩)
加藤九段は1筋の位を取ります。。
上図から次に
藤井四段が右の桂馬を跳躍させたのをみて。。
(38手目△7三桂)
39手目▲6五歩。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: なし
加藤九段は名刺代わりに6筋の歩を突き出し
孫ほども年の離れた藤井四段の角頭を叩きます。。
49手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲加藤九段: 歩
△藤井四段: 歩2
角を5筋に下げた藤井四段に対して
加藤九段は銀を繰り上げて圧力をかけてから
さらに右の桂馬も跳ねて力を溜めます。。
先に右の桂馬を戦場にぶら下げ(46手目△6五桂)
基点とした藤井四段が次に、飛車先を決めると。。
51手目▲5四歩。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: 歩2
加藤九段は後手の角頭に歩を打ち込み
闘志満々、仕掛けを開始しました。。
藤井四段は△同銀(52手目)と応じて
以下、▲同銀~△同金~▲6三銀~△4三銀に
下図57手目▲2五桂と進行。。
57手目▲2五桂。
上図での持ち駒
▲加藤九段: なし
△藤井四段: 歩2
盤中央付近で駒を捌いた
加藤九段は一気呵成に攻勢を強めます。。
上図から次に
藤井九段が桂先に銀を逃がしたのをみて。。
(58手目△2四銀)
59手目▲1三桂成。
上図での持ち駒
▲加藤九段: 歩
△藤井四段: 歩3
加藤九段は桂馬を1筋に飛び込ませて
端から火の手を上げました。。
73手目▲6五銀。
上図での持ち駒
▲加藤九段: 金、銀、桂
△藤井四段: 銀2、桂、香、歩4
景気良く駒をどんどん捌く
加藤九段は上図で銀を切って桂馬を捕獲。。
75手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲加藤九段: 金、銀、桂
△藤井四段: 銀3、桂、香、歩4
△同歩(74手目)と取らせた
加藤九段は角を迫り出し、藤井飛車を直撃。。
手をつなぎ、さらに勢いを加速します。。
80手目△6九銀。
上図での持ち駒
▲加藤九段: 銀
△藤井四段: 銀2、桂、香、歩3
ここまで先手の攻めを丁寧に受け止めた
藤井四段の反撃は「矢倉」の急所へ手筋となる
銀の打ち込みから。。
それでも加藤九段は構うことなく
金で角を取り込み(81手目▲3一金)
さらなる攻勢に出ますが。。
84手目△8六桂。
上図での持ち駒
▲加藤九段: 銀
△藤井四段: 金、銀2、香、歩3
直後の攻防で
藤井四段は飛車先8筋へ桂馬を打ち込み
唐突に、勝負を決めに出ました。。
92手目△8六銀。
上図での持ち駒
▲加藤九段: 銀、桂
△藤井四段: 金2、銀、香、歩3
さすがの加藤九段も受けに回りますが
しかし、すでに読み切りの藤井四段に迷い無く
噂の終盤力で鋭く寄せに入ります。。
【 投了図・110手目△9四角 】
投了図での持ち駒
▲加藤九段: 飛、金、銀2、歩2
△藤井四段: 金2、銀、歩3
加藤九段も勝利への執念をみせますが
藤井四段は逃さず先手玉を仕留め上げ
上図の局面をみて、加藤九段は無念の
投了を告げました。。
落ち着き払った指し回しで大物の片りんをみせた
藤井四段はプロとしての第一歩を完勝で飾りました。
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ニューヒロイン対決も見どころ満載。。