さすがの勝負強さ。。第57期王位戦7番勝負/第6局「羽生王位完勝、決着は最終戦へ」
6連覇を目指す羽生善治王位に
木村一基八段が挑戦する、第57期王位戦7番勝負。
ここまで5局を消化し、木村八段が3勝2敗とリード。
悲願の初タイトル獲得へ王手をかけて迎えた第6局が
昨日より、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」にて開幕。。
第6局の先手は、意気上がる木村八段。
その初手は普段通りに角道を開く▲7六歩から。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: なし
△羽生王位: なし
対します、カド番でもう後のなくなった
羽生王位は2手目に飛車先を突く△8四歩と返し
注目の対局はスタート。。
8手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: なし
△羽生王位: なし
木村八段は3手目▲2六歩として
十八番に据える「角換わり」での勝負を指向。。
一方、羽生王位は
出だしから小刻みに時間を使いながら慎重に
戦型を確定させず駒組みを進めます。。
しかし、上図の局面で羽生王位が
飛車先を決めたことで、「角換わり」が有力に。。
12手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲木村八段: なし
△羽生王位: 角
そのまま定跡手順の進行となり
上図の局面で羽生王位から角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
18手目△6四歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: なし
△羽生王位: なし
角交換成立後は
双方、「ノーマル角換わり」の常套手段である
「腰掛銀」を目指す動きをみせますが。。
26手目△9四歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角
△羽生王位: 角
互いに右銀のポジションを保留したまま
神経質な駒組みがしばし続きます。。
36手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角
△羽生王位: 角
上図の局面でようやく
先に形を決めた先手に続いて(31手目▲5六銀)
羽生王位も銀を中央5筋へと繰り出し、戦型は
「角換わり相腰掛銀」に決定。。
しかし、次に木村八段が4筋の歩を突くと。。
(37手目▲4五歩)
38手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角
△羽生王位: 角
羽生王位はスッと「腰掛銀」を自陣に引き下げ
以後、再び神経質な駒組みが続きます。。
【 一日目終了図・48手目△4四歩 】
上図での持ち駒
▲木村八段: なし
△羽生王位: 角
一日目は上図48手目まで進行。
ここまで専守防衛の構えをみせた羽生王位が
いきなり、4筋の歩を突き合わせ仕掛けた局面で
木村八段が次の手を封じて指し掛けに。。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目。。
49手目▲4四同歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩
△羽生王位: 角
木村八段の「封じ手」は
突き合わされた4筋の歩を取り込む▲4四同歩。
羽生王位の△同銀(50手目)まではこの一手で
次の51手目が、先手の方針の分かれ道。。
▲8八玉と囲いの完成を優先すれば
手番を後手に渡してしばらくは受ける展開に。
争点となった4五の地点に先に歩を打ち込めば
先手から仕掛ける展開となりますが。。
51手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: なし
△羽生王位: 角、歩
悲願の初タイトル奪取へ
受身になんかなってられないと、木村八段は
2分の小考で▲4五歩と打ち込み、攻勢に転じました。
この手に対し、羽生王位は
追われた銀を5筋に引いて(52手目△5三銀)、以下
▲2四歩~△同歩~下図55手目▲同角と進行。。
55手目▲2四同角。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩
△羽生王位: 角、歩2
木村八段は事前に4六の地点に据えた
基点となる角を飛車先2筋へと迫り出しました。。
ここまではほぼ一本道。
手番を握った羽生王位は、次に。。
56手目△2七歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩
△羽生王位: 角、歩
出番に備える木村飛車の頭上を歩で叩きました。。
この手に、木村八段は長考に入ります。。
▲同飛と応じる手も当然、有りますが
次の△5九角が厳しく、先手はどこまで成算を持てるか。。
勝負どころの難しい局面を迎えました。。
57手目▲2九飛。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩
△羽生王位: 角、歩
木村八段は35分の長考の末
▲同飛を断念、飛車を自陣最下段へと引きました。。
この局面で午前の対局は終了、お昼休憩に突入。。
【 お昼のメニュー 】
両者ともに「陣屋特製カレー」。
58手目△5九角。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩
△羽生王位: 歩
午後の対局開始の一手で
羽生王位は手持ちの角を先手陣に投入。。
ジワリと、攻撃の形を整えて行きます。。
この手に対して、木村八段が
2筋に迫り出したままの角を一旦、引き戻し
狙われた3筋の桂馬にヒモをつけると。。
(59手目▲4六角)
60手目△2八歩成。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩
△羽生王位: 歩
羽生王位は2筋の歩突き出して
木村八段にいざ開戦を告げました。。
木村八段はノータイムで▲同飛(61手目)と応じて
以下、△3九角成~▲2六飛~△3三桂~▲5七金に
△2五歩~▲同桂をみて下図68手目△4五桂と進行。。
68手目△4五桂。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩3
△羽生王位: 歩
序盤の重い展開から一転
羽生王位は流れるような指し回しで攻勢を強めると
急に受けに忙しくなった木村八段が次に狙われた
桂馬を引いたのをみて(69手目▲5八金)。。
70手目△5七桂成。
上図での持ち駒
▲木村八段: 歩3
△羽生王位: 歩
羽生王位はそのまま軽快に桂馬をダイブ。。
先手は次に▲同角では△同馬~▲同金に△4八角が
痛打となり形勢を損ねるので角ではこの成桂を払えず。。
シビレる一着で、後手が形勢を掴みます。。
木村八段は苦肉の策で
9筋の端歩を合わせますが(71手目▲9五歩)
以下、△5八成桂~▲同銀~△4八馬~▲2八飛に
△5八馬~▲同飛(77手目)と進行。。
羽生王位は角・桂と金・銀の二枚換えを実現。
さらに握った手番で。。
78手目△4七金。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、桂、歩3
△羽生王位: 銀、歩
金を先手陣に打ち込み飛車・角両取り。。
面白いように駒を回転させながら、先手陣を
かき乱します。。
90手目△4一歩。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、桂、歩3
△羽生王位: 角、銀、桂、歩
木村八段も意地をみせ
先に飛車の成り込みに成功しますが
しかし、羽生王位は飛車の真下に歩を配置し
簡単には自陣の突破を許しません。。
95手目▲2九龍。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、桂、歩3
△羽生王位: 銀、桂、歩
生王位が金に角を引っ掛け(94手目△6九角)
寄せに態勢入ると、木村八段は慌てて龍を引き戻し
得意の受けに全てをかけます。。
が、しかし。。
96手目△7八角成。
上図での持ち駒
▲木村八段: 角、桂、歩3
△羽生王位: 金、銀、桂、歩
羽生王位は構うことなく角をぶつけて王手。。
勝負を決めに出ました。。
【 投了図・114手目△6一玉 】
上図での持ち駒
▲木村八段: 角2、香、歩5
△羽生王位: 歩2
羽生王位の猛攻を前にして
木村八段は為す術を失い、上図の局面をみて
無念の投了を告げました。。
羽生王位はさすがの勝負強さをみせつけ
カド番を凌ぎ、番勝負は3勝3敗のイーブンに。。
決着は最終戦、第7局までもつれこみました。。
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王位戦/第6局・一日目の所感。。