新春お好み対局「藤井奨励会三段-稲葉アマを振り返ろう」
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲藤井三段: なし
△稲葉アマ: なし
今回は元旦の中日スポーツに掲載されました
異色のカード「藤井聡太奨励会三段-稲葉聡アマ」の
新春お好み対局の模様をご紹介させていただきます。
先手・藤井三段の初手▲7六歩に対して
稲葉アマは2手目△8四歩と返し対局はスタート。。
早々と居飛車を明示した後手に対して
藤井三段は3手目▲6八銀とし「矢倉」を明示しました。
25手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲藤井三段: なし
△稲葉アマ: なし
ともに居飛車党ということで
戦型は予想通りの「相矢倉」模様へと進行。。
しかし、プロの対局でよくみる定跡形ではなく
双方、工夫を凝らした駒組みが続きます。。
44手目△8五桂。
上図での持ち駒
▲藤井三段: なし
△稲葉アマ: なし
ともに端の位を確保してから、藤井三段が
攻撃的な「▲4六銀3七桂型」に組み上げると
先に玉の入城をすませた稲葉アマが右の桂馬に
二度目の跳躍を施し、仕掛けを開始しました。。
次に、藤井九段が
▲8六銀(45手目)と受けたのをみて。。
46手目△9七桂不成。
上図での持ち駒
▲藤井三段: なし
△稲葉アマ: 歩
稲葉アマは9筋に桂馬を不成で飛び込ませる
趣向の一手を披露しました。。
紙面の解説によりますと
「先に桂損するものの、先手陣に嫌みをつけておいて
相手の攻めを待つというのが、稲葉アマの着想」
ということです。。
しかし、ここからの攻防で
藤井三段は非凡な才能の一端を示します。。
上図から、以下
▲同銀~△8五歩~▲2五歩~△3三銀に
下図51手目▲2八飛と進行。。
51手目▲2八飛。
上図での持ち駒
▲藤井三段: 桂
△稲葉アマ: 歩
▲2五歩~△3三銀~▲2八飛が
「2七にあったキズを消しつつ『やってこい』と
逆に受けに回った」3手一組の好構想。。
「後手が何もやってこなければ
入手した桂馬を生かす▲2四桂や▲1六桂の
攻めが」速く、この指し回しには藤井三段の師匠
杉本昌隆七段も「センスの固まり」と脱帽します。。
71手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲藤井三段: 桂、香、歩4
△稲葉アマ: 桂、香、歩
「やってこい」と挑発された稲葉アマは
嫌みをつけた9筋の端から噛み付きますが
冷静に対処した藤井三段は形勢を損ねることなく
上図で飛車先2筋から反撃開始。。
稲葉アマが△同歩(72手目)と応じると。。
73手目▲3四桂。
上図での持ち駒
▲藤井三段: 香、歩4
△稲葉アマ: 桂、香、歩2
この局面で手持ちの桂馬を王手で投入。。
稲葉玉の頭上から重厚長大に絡みつきます。。
87手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲藤井三段: 香
△稲葉アマ: 香、歩3
光よりも速く相手の玉を詰ませてみせる
「光速流」で一世を風靡した谷川浩司九段の
終盤力を彷彿させると噂される藤井三段は
本局でもその豪腕を遺憾なく発揮。。
しぶとく粘る稲葉アマを向こうに回して淡々と
剛直な攻め手を重ねて形勢の差を広げます。。
【 投了図・133手目▲3二桂成 】
投了図での持ち駒
▲藤井三段: 飛、銀、歩2
△稲葉アマ: 角、金2、銀、桂、香2、歩5
藤井三段の攻勢は最後まで途切れることなく
現在アマ最強との呼び声も高い稲葉アマを圧倒。
上図133手目の局面をみて
稲葉アマは無念の投了を告げました。
噂に違わぬ実力をみせつけた
藤井三段が今年の飛躍を暗示するように
元日の紙面を鮮やかに彩りました。。
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